「あっついわねー……」
「暑いなぁ……」
私は今執務室で天津風とともに扇風機にあたりながらも暑さについて言葉を出していた。
昨日の花火大会から少しは納涼できたのではないかと思っていたけどそんな考えは甘かったようだ。
それはそれとして天津風の頭の煙突から立ち上るハート型の煙がとてもチャーミングである。
「ちょっとあなた? もしかしてだけど私のこの煙を取ろうとしていないわよね?」
「いや、気を紛らわすのにいいかなぁとね」
「ちょっとやめてちょうだいね! さすがに私の煙突から出たのを取られるのは恥ずかしいから……」
それで天津風は手で煙突を押さえながらも威嚇をして来ていた。
うーん、可愛らしい威嚇だな。
と、そこで足元のズボンの生地を引っ張られる感じがしたのでそちらに視線を向けてみると連装砲くんがいた。
「連装砲くん、どうしたの……?」
「遊んでもらいたいのか?」
「ギギッ!」
連装砲くんはどうやら正解だったらしく島風の連装砲ちゃん達みたいに跳ねていた。
「そっか。どうする天津風?」
「あなたが決めていいわよ。私もそれに従うから」
天津風も特に異論はないらしく私に一任するそうである。
しかし、連装砲くんと遊ぶとなるとなにがいいだろうか?
「うーん……どうやって遊ぶか思い付かないからここは島風でも呼ぶか……? 連装砲ちゃん達もいれば楽しそうだし」
「そうね。島風ならいても退屈しないだろうしね」
天津風はそれで微かに笑みを浮かべていた。
島風は天津風とはある意味では姉妹みたいなものだから仲がいいのは頷けるものだろう。
それで私はさっそく島風の部屋に電話をかけようとしたんだけど、
『ツー、ツー、ツー……』
受話器の向こうからは誰もいないのだろう電子音だけが響いてきていただけだった。
それで島風はどこかに出ているのだろうと思い私は受話器を置く。
「どうしたの……?」
「どうやら島風は留守らしいな。電話には出なかったから」
「そうなの。それは残念ね……」
「ギギィ……」
それで残念がっていたのだけどそこで誰かが執務室の扉を開いてきた。
何事だと思ったらそこには連装砲ちゃんズを連れた島風の姿があった。
「提督ー! 島風をお呼びでしょうかー!」
「えっ……? ま、まぁ部屋に電話をしたのは確かだけど。……え? まさか電話が鳴ったのを合図に部屋を飛び出してきたのか……?」
「おうっ!」
返事の叫びにそう叫んだ島風。
そんな姿に天津風は呆れていたのだろう口を出した。
「あなたねぇ……電話くらいでなさいよ」
「あっ! 天津風ちゃんもいたんだね! かけっこしよう!」
「話を聞きなさいったら!」
それで対照的な二人は話が噛み合わない会話をし続けていた。
島風が一方的に騒いで天津風がさらに呆れるというある意味悪循環のような感じである。
このままでは埒があかないので、
「島風? いろいろ言いたいことはあるけどまずはちゃんと電話には出ような」
「うー……ごめんなさい。気を付けます」
「よし。それじゃもうこの話は終わりな」
「そうね。……はぁ、なにか余計に疲れたわ」
天津風はそれで無駄に体力を消耗したのか肩を落としている。
島風の相手は疲れるんだろうな。普段からよく一緒にいるのを見かけるし。
「それで提督ー? 私になにかご用でしょうかー?」
「うん。天津風の連装砲くんがなにかして遊びたいらしいらしくなにをするか困っていたんだ。それで島風はなにかいい案はないだろうか?」
そうすると島風は腕を組んで少し悩むそぶりをしたあとに、
「それじゃ連装砲くん、天津風ちゃんと一緒に私とかけっこしよう!」
「やっぱりねぇ……あなたはそうよね。予想通りすぎてなんとも言えないわ」
島風のそんな台詞に天津風はどこか諦めていたような表情をしていた。
「えー ? かけっこ楽しいじゃない! やろうよー!」
そう言って天津風を揺すっている島風。
どこか否定されたと思っているのだろう島風は目尻に涙を溜めていた。
そこまでかけっこしたいか……?
と、そこで以前にかけっこしようという約束をしたのを思い出した。なので、
「島風。それじゃ今から私も混ぜてもらってもいいだろうか?」
「いいの……?」
「あなた、大丈夫? 島風が走り出すとどこまでも走らされるわよ?」
「まぁ、そうだろうけど無下に断るのも悪いだろう? だからこれくらいなら付き合ってもいいと思ってな」
「やったー!」
「ギッギッ!」
「ギギィ!」
島風がそれで喜びを表現するために跳び跳ねていて、連装砲ちゃんと連装砲くんも一緒になって跳び跳ねているではないか。
「連装砲くんまで……もうそれじゃ仕方がないわね。私も付き合ってあげるわよ」
一人仲間はずれも嫌だったようで頬を赤くさせながら天津風も付き合うと言ってくれた。
ふふ、素直じゃないなぁ……。
「………なによ? あなた、なにか変なこと考えていないかしら?」
「そんな事はないぞー? それじゃ仕事を終わらせたあとに走りにでもいくとしようか」
「わーい!」
それで私たちは仕事を終わらせたあと、鎮守府周りを何度も走り込みをしていた。
そしていい感じに時間は経過して息も絶え絶えになりながらも、
「少しは気張らしになったかな……はぁ、はぁ……」
「そ、そうね……余計に暑くもなったけどね」
「提督も天津風ちゃんも情けないよー!」
私と天津風はかなり疲労しているのにまだ島風は元気のようだった。
この有り余る体力はどこから湧いてくるのか……?
まぁ、楽しかったので私は島風の頭に手を乗せて撫でてやりながらも、
「今日は楽しかったよ島風」
「うん! 私も楽しかったです! また走ろうね!」
「私は当分はもういいわ……」
私も天津風には同意しておきたいかな。
そんな事を思っていた帰りに、
《提督、お疲れ様です》
「ああ。榛名」
《もう今日はすぐにお風呂に入って汗を流してしまいましょう》
「そうだな」
それで私はすぐにお風呂に入ったんだけど金剛が乱入してきたので休まる暇がなかったなと思った次第だった。
今回は前から書きたかった二人を出していました。
イベントに突入したらほとんどキャラ話はできませんから今のうちにやっておくのもいいですよね。
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