【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0117話『古鷹の着付け』

 

 

 

 

 

私は任務を終わらせた後にとある艦娘に部屋へと呼ばれていた。

それで向かう道中で加古と遭遇する。

珍しいな。加古がこの時間帯に起きているのは……。

普段は古鷹に起こされるまでは寝ていたというのを記憶している。

 

「んあ? あ、提督じゃん」

「やぁ加古。それより君が普通に起きているなんて珍しいな」

「そうか? まぁそうなんだろうね。なんでも古鷹の奴にちょっと外に行っててって言われて部屋を追い出されちまってな」

「そうなのか。私も今から古鷹の部屋に呼ばれたので行くところなんだけどそれじゃ一緒にいくか?」

「いくいく! こうしてダラダラしていてもなんかつまらないからな。あたしもそれなら古鷹に部屋を追い出された理由を知りたいしね」

 

それで加古は私とともに古鷹の部屋へと向かう事になった。

だけど途中で加古にある事を聞かれた。

 

「ところで提督。古鷹になにか聞いてるかい? あたしもただ追い出されただけだからなにも聞いてなくてね」

「私もだよ。ただ一言『見てください』とだけ……」

「見てください、ね……あの恥ずかしがり屋の古鷹がね。なにを見てもらいたいんだろう……?」

「わからん。でも古鷹にとってはたぶん大事な事なんだと思うからしっかりと確認をしてやらないとな」

「だなー」

 

そして私と加古は古鷹の部屋の前へと到着した。

ノックすると中から『はい、います』という古鷹の声が聞こえてきた。

 

「古鷹。私だ」

『あ、提督。来てくれたんですね』

「ああ。それと道中で加古を拾ったんで一緒に連れてきたんだけど大丈夫か?」

『加古もいるの? はい、大丈夫ですよ』

「古鷹ー。それじゃ入るよー」

「失礼するよ」

 

それで私と加古は部屋の中へと入らせてもらう。

すると出迎えてくれたのは浴衣姿の古鷹の姿だった。

 

「提督、それに加古もいらっしゃい!」

「お、おう……」

 

加古の声が驚きで少しどもっているな。

私も加古がいなければこうなっていたかもしれないと思う。

だって、あの古鷹が浴衣に着替えていたのだ。

普段から可愛らしい古鷹だ。

それが浴衣に着替えていてさらに魅力が増しているともいえる。

だけど古鷹は私と加古の反応に首を傾げていた。

……もしかして自覚がないのか?

 

「そのだな、古鷹」

「はい、なんでしょうか?」

「もしかして見てもらいたいというのはその浴衣姿の事か……?」

 

それで古鷹も「あっ!」と言って気づいたのだろう。

 

「はい! 提督に一人で着付けをして着替えた浴衣を最初に見てもらいたくて呼ばせていただきました」

「そうか。それじゃ……似合っているよ古鷹。普段からはあまり想像できない姿だったから少し驚いてしまったよ」

「ふふ……ありがとうごうございます。提督」

 

それで古鷹は嬉しそうに頬を赤く染める。

だけどそこでやっと加古も現実に戻ってきたのか、

 

「うわー! うわー! 古鷹、とっても可愛いよ!」

 

どうも少し暴走気味で古鷹の肩を掴んで何度も揺すっていた。

それで少し困り顔の古鷹が、

 

「か、加古。落ち着いて……浴衣がほつれちゃうから」

「あ、ごめん……。でも本当に似合っているから見惚れちゃったよー」

「ありがと、加古」

 

加古の素直な感想に古鷹も嬉しそうに表情を綻ばせていた。

しかし、いったいどうして今こんな格好をしているのだろうか……?

私はそこが疑問になったので古鷹に聞いてみることにした。

 

「古鷹。どうして浴衣を今着ているんだ? なにか祭りが予定でもあったか……?」

「えっ? 提督はご存知じゃないんですか? 今週末にいつもの町で小規模ですけど花火大会が行われるんですよ。それで今から予行のために着付けの練習をしていたんです」

「そうだったのか……」

 

それで私も思い出す。

そういえば回覧板にそんな事が書かれたいたなと。

任務の資料と一緒になっていたから思わず忘れそうになっていたな。

 

「そういえばそんな広告記事が資料の中にあったよ」

「でしょう? ですから提督も一緒に行きませんか?」

「まぁ……今週末ならまだ大規模作戦は行われていないから大丈夫だと思うよ」

「よかった。他にも一緒に行きたいって子が何人もいるんで喜ぶと思います」

「まぁそれはいるだろうな。ただでさえうちの鎮守府は200人以上はいるんだから不思議じゃないし。今のうちに楽しんでおきたいんだろうな」

「だと思います。それと多分ですけど花火大会の件でそろそろ町から警備の要請が来ると思うんです。だからその前に私は祭りに行くっていう話をしておこうと思いまして……」

 

それで古鷹は舌を出して照れていた。

確かに事前に言っておいてくれればシフトから外すのもありだな。

そうだな。他のみんなにも予定を聞いておくか。直前で言われて花火大会の警備でいけないと騒がれても後で非難を浴びそうだし。

 

「古鷹の言い分はわかった。それじゃ今日中に花火大会に行くメンバーの名前を名簿を作成して私に渡してくれ。今のうちに予定を立てておけば警備に出せるメンバーも選びやすいし」

「わかりました」

 

それで古鷹の話は終わりなのだろう。加古と楽しく談笑している。

だけどそこで誰かが部屋の中に入ってきた。

 

「あやや。古鷹さん、また珍しい格好をしていますね」

「本当ね。なに? 祭りにでもいく準備? それならこの衣笠さんも混ぜてよ」

「あ。青葉に衣笠……」

 

うん? この展開はもしかして……。

 

「それじゃせっかくですから古鷹さんの浴衣の撮影会でもしましょうかね!」

「いいんじゃない?」

「いいと思うよ!」

 

古鷹以外の三人はそれで乗り気になっていた。

それで古鷹を見ると「仕方ないなぁ……」と言葉を零しながら、

 

「少しだけだよ?」

「わかってますよー。後で写真は渡しますね」

 

そう言って青葉による撮影会が始まったので少しだけ部屋の中は賑やかなのであった。

 

 

 




古鷹の浴衣姿は可愛いですよね。
来年にはもっと浴衣姿の子は増えてほしいですね。



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