【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0103話『五十鈴のお誘い』

 

 

 

 

五十鈴は私室で鏡の前に立ちながらも気分が言い様で「ふんふんふんっ♪」と鼻歌を歌いながら水着に着替えていた。

今日はプールでひと泳ぎしようと考えていたのだ。

青いオーシャンブルーのような柄の水着に身を包んだ五十鈴は気分よくプールへと向かっていった。

最近は対潜作業も海防艦の子達に奪われ気味なので御無沙汰なのだ。

だから今のうちに遊んでおこうという算段だ。

大規模作戦にでもなれば潜水艦相手に活躍というか酷使される未来が待っているのだ。

だから、そう、今のうちにね……。

 

そんな思いで五十鈴は向かっていたが途中で夏服の初月に遭遇する。

 

「あら。初月じゃない」

「ッ! 五十鈴か……」

 

五十鈴は結構気にしていなかったのだけれど初月は突然水着姿の五十鈴に遭遇したために驚きの表情をしていた。

 

「……あんた。夏服になったっていうのに相変わらずインナー服なのねぇ」

 

五十鈴は初月の恰好に少し呆れの表情を持っていた。

それで少し初月はムッとしたのか、

 

「悪いか……? これでも少しは通気性もあって涼しいんだぞ」

「ああ、怒らないで。ただ暑くないのかなって思っただけだから」

「そうか……」

「ところでさ、どうせならあんたもプールに行かない? 私も今から向かおうと思っていたところなのよ」

「いや、僕は秋月姉さんに野暮用があってだな……」

「どんな用? すぐに済みそう……?」

「まぁ、すぐに終わるものだが……五十鈴、僕を誘っても特に得られるものはないぞ?」

「別にいいのよ。私が誘いたいだけなんだから」

「うーん……そう言われてしまうと迷うな」

 

それで少し考えだす初月。

だけど五十鈴はどうやら待ってくれないらしく初月の手を掴んで、

 

「さっさと用を済ませちゃいましょう。いくわよ」

「わっ!? ちょっと引っ張らないでくれ!」

 

そんなこんなで秋月の部屋へとやってきて、初月はすぐに用が終わったのか秋月に、

 

「初月。部屋で涼んでいかない?」

「すまない秋月姉さん。ちょっと五十鈴に捕まってしまっていてな」

「五十鈴さん?」

「ああ。今は外で待ってもらっているがどうやらなにをしてでも僕をプールに誘いたいらしいんだ」

「いいじゃない? 初月もたまには楽しんできたらどう?」

「そうか……?」

「はい。初月も遊びの心が必要だと思うのよ。だからいってらっしゃい」

「……わかった。善処してみる」

 

それで秋月に送り出されながらも初月は色々と諦めていた。

なので外に出て五十鈴と顔を合わせると、

 

「五十鈴。わかった、君に少しだけど付き合う事にするよ」

「そうそう。素直が一番よ。それじゃさっさと水着に着替えちゃいましょうか」

 

それでまたしても五十鈴に腕を引っ張られてしまい初月は少し疲れた表情をしていたのは仕方のない事だった。

その後に初月の私室で水着に着替えて着替えも持って出ていくと、

 

「うんうん。やっぱり初月は黒の水着なのね。しかも私と同じタイプか」

「どうだろうか……? 似合っているとは思っていないのだが……」

「あら。そんなことはないわよ。とっても似合っているわよ」

「そ、そうか……まぁありがたいな。……そうだな。まだ五十鈴の姿を褒めていなかったな」

 

それで今度は初月から五十鈴の手を持って、

 

「とても似合っているぞ五十鈴」

 

そんな、初月のイケメンボイスで五十鈴は褒められてしまったために少し五十鈴は顔を赤くさせながらも、

 

「あ、ありがとう……」

 

必死にそっぽを向いて顔が赤くなっているのを悟られないようにしていた。

まぁそれでも初月は気づいているのだけど「可愛いな」と思いつつ敢えて気づかないふりをしていた。

初月は紳士なのだ。だから無粋な事は言わないと決めている。

 

「そ、それじゃいきましょうか」

「ああ」

 

それで二人は仲良く手を繋ぎながらプールへと向かっていった。

そしてプールへと到着するとそこには見張り員をしているのか提督が高台に乗って監視している姿があった。

 

「あら。あなた、なにをしているの?」

「五十鈴か。見てわからないか? 誰がおぼれた時に助けられるように監視しているんだ。危険な飛び込みをする子は今はいないけど普段水上の上に立っている事が多いから慣れない子もいるだろうし」

「そうなの。頑張ってね」

「ああ。ところで初月も来たのか。珍しいな」

「うむ。五十鈴に誘われてしまってな。たまにはいいかなと思って来させてもらったんだ」

「そうか。それなら楽しんでいってくれ」

 

提督はそう言ってまた監視作業へと入っていった。

プールの方から、

 

「司令官も一緒に入りましょうよー!」

 

とか色々聞こえてきて、提督は「もう少し監視をして平気だと思ったら入らせてもらうよ!」と叫んでいる光景を見てしっかりライフセイバーをやっているなという感想を二人は思ったのであった。

 

「ま、いいわ。それじゃ初月。プールに入る前に体操でもしましょうか」

「そうだな」

 

それで二人して体操をした後にゆっくりとプールの中へと入っていく。

初月はプールに入る際に、

 

「冷たッ……そうか。これがプールに入るという事なのか」

「そういえば初月は水の中に入るというのは初めてだったかしら?」

「ああ。生前も沈む際に体験はしているんだけどな。それとはまた違った感触だ」

「またそんな後ろめたい感想を持っちゃって……今は今なんだから昔の事なんて今は忘れておきなさいな」

「すまない……不謹慎だったな」

 

謝りつつも初月はプールの中へと入っていき、少しづつだけど泳ぎ始めた。

五十鈴もそれに倣って泳ぎ始める。

 

「うん。やっぱり冷たくていいモノね。日差しが暑い分、体が冷えるからちょうどいいわ」

「そうだな。こういうのもたまにはいいものだな」

 

二人してはしゃぎはしないけどそれでも楽しんでいるようである。

そんな時だった。

 

「ふあー!? 足がッ!!」

 

そこで文月の叫び声が聞こえてきたために、

 

「初月!」

「了解した!」

 

それで二人はすぐに慣れた手つきで泳いでいき溺れてしまっている文月の場所へとたどり着いてすぐに引き上げる。

 

「ケホッ、ケホッ……ありがとうー」

「気にするな。それより大丈夫だったか文月?」

「うん。足が攣っちゃったけどすぐに初月ちゃんと五十鈴さんが助けてくれたから大丈夫だよ」

 

ほんわかと笑いながら文月は二人に感謝していた。

そこに提督が、

 

「文月ー! 大丈夫かー?」

「うんー。大丈夫だよ」

「そうか。でも一応足が攣っているんだから一度上がって来い!」

「わかったー!」

「それじゃ僕が連れて行くよ」

「お願いね」

 

五十鈴は文月の面倒を初月に任せて見送った。

その際に、

 

「(ふふふっ……やっぱり頼もしいじゃない初月の奴。誘って正解だったわ)」

 

内心でそんな事を思っていたのであった。

それから仕切り直しで半日遊び倒したのであった。

 

 

 




水着第二弾は五十鈴にしてみました。
まだメインを張った事がなかったのでちょうどよかったです。
ついでに初月も出してみました。
五十鈴と初月のカップリングはよく見ますよね。



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