【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。   作:炎の剣製

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更新します。


0101話『何にでも挑戦したいお年頃』

 

 

 

 

昨日から始まった海軍と某コンビニのコラボ企画ですでにグッズが色々と売れていて大はつかないけどそれなりに盛況らしい。

それは私の鎮守府がある地元のコンビニでも同様であり今回もコンビニの目玉である艦娘が大本営直轄から派遣されることになっている。

派遣される艦娘は少し不安が残るけどポーラだという。

それでうちのポーラもやりたいやりたいと今現在執務室で駄々をこねているんだけどどうしたものだろうか……。

 

「提督~。ポーラもコンビニ体験をしたいですよ~」

「そうは言ってもな。大本営からすでに別のポーラが着任しているから今回はお前の出番はないぞ、ポーラ」

「そんな~。ひどすぎです~」

 

それでポーラが泣きそうになっているのを見て良心が掻き立てられるが我慢だ。

ここでポーラを解放してしまったら迷惑がかかるかもしれないからだ。

ただでさえコンビニにポーラが行くものなら仕事中にコンビニのお酒を飲みだしてしまうかもしれないという危機感があり、主にうちのポーラは派遣はされないというのにザラがお腹を痛めているのが主に挙げられる。

 

「別の私、いいな~。ポーラもコンビニで働いてご褒美にお酒を頂きたいです~」

「……そう言う所があるからあまり今回は派遣に大本営も前向きじゃないんじゃないか?」

「え~? そうですかね~?」

「そうよ!」

「「ッ!?」」

 

っと、そこでいきなりどこに隠れていたのかザラが顔を出してきた。

どこに隠れていたんだ……?

 

「ポーラ? 何事も節度というものがあるのよ? あなたがコンビニで働くと思うと私、心配になっちゃうわ」

「ザラ姉様、大丈夫だよ~。ポーラ、しっかりとやるから~」

「だからな、ポーラ? お前は派遣されないからな」

「え~?」

 

なんだこの堂々巡りは……。

ポーラは言われたことを忘れてしまう子だったのか? いや、ただ酔いが回っていて正常な判断が出来ていないだけなのだろうか……?

そう考えると、

 

「なんだろう……? 私も今物凄く心配になってきたんだけど……」

「提督もそう思いますか? はい、私のポーラじゃないですけどぜひ確認に行きたいものです!」

 

ふんすっ!とザラは握りこぶしを作っている。

そこまで心配なら見学に行くのも吝かではないけどそのうち情報が伝わってくるだろうしな。

そんな話を午前中にしている時であった。

 

 

 

それから午後になって今日の任務を確認している時だった。

執務室の扉が開かれて入ってきたのはまたしてもポーラだった。

だけどいつもの恰好ではなかった。

 

「じゃ~ん。提督~、鹿島さんから制服を借りてみました~。どうですか? 似合いますか~?」

 

そう、ポーラは某コンビニの制服を着ていたのだ。

鹿島とポーラは体型は似ているからちょうどいいのだろうな。

 

「まぁ似合っているよ」

「やった~。それじゃこのままちょっとマミーヤまで行ってきますね~」

「待った。間宮で何をするつもりだ……?」

「なんですか~? お手伝いに決まっているじゃないですか~」

「そ、そうか……。ポーラから自発的にやりだすというのはにわかに信じられないけど今回は少し頼もしさを感じるな」

「そうでしょう~。それではなんにでも挑戦したいお年頃のポーラ。行ってまいりま~す」

 

そう言ってポーラは執務室を出て行っておそらく間宮に向かったのだろう。

不安だ、不安だけど……自発的にやりだしたのなら止める術はないんだよな。

飽きるまで待つのもありだろう。

間宮さんもなにか不祥事をポーラが起こしたら止めるだろうし。

それで一応は様子見をすることにしたんだけど、そこで榛名が出てきて、

 

《提督……なにやら嫌な予感がするのは私の気のせいでしょうか?》

「榛名はそう感じるんだな。うーん……やっぱり一回見に行ってみるかぁ……」

 

それで私は少し重く感じる足をなんとか進めて間宮へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

もう、ザラ姉様も提督も失礼です~。

ポーラだってやる時はやるんですよ~?

 

「マミーヤさん。ちょっといいでしょうか~?」

「あ、はい。なんでしょうか、ポーラさん。……あら、その恰好は?」

「はい~。鹿島さんに借りてみたんです~。それでせっかくですからマミーヤさんのお手伝いもしたいと思っているんですよ~」

「そうですか。でも今は別段忙しくないんですが、どうしますか……?」

「そうですね~。それでは店番をやってみたいです~」

「店番をですか。構いませんよ。でも勝手にお店のお酒は飲んだら駄目ですからね?」

 

あら~、マミーヤさんにも注意されてしまいました~。

ポーラってそこまで信用ないんでしょうか……?

少し傷つきますね~。

 

「ポーラにお任せください~。見事仕事を務ませてもらいます~」

「くれぐれもお願いしますね……それでは少し席を外して裏方に回っていますね」

「は~い!」

 

マミーヤさんはそれで少し席を外して裏に入っていきました。

さて、ポーラも頑張らせていただきますね~。

それから何人かマミーヤにお客さんが来ましたけど、来るたびに、

 

「あれ!? ポーラさんが店番ですか!?」

 

やら、

 

「ポーラさん……なかなかやるわね」

 

とか、

 

「さっすがやる時はやるわね。ポーラ!」

 

色々と言われてとても気分がいいです~。

なんでしょうか……? とっても今充実していますね~。

これが働くっていうことですか。

とても気持ちいいモノですね~。

今ならお酒を飲んだらとても美酒な気持ちになれるんでしょうね。

と、そこでポーラの禁断症状が出始めてきてしまいました。

手が……震えてきましたけど、どうしましょうか。

とても……とてもお酒が飲みたい!

ああ、お酒が飲みたい!

でも、任されたからにはしっかりとやらないと~!

ああ……でも、もう限界かもしれません……。

ポーラはそれでふらふらと目の前のお酒に歩み出そうとしてふと誰かに肩を支えられました。

誰でしょうか~?

 

「……ふぅ、まったく禁断症状が出るまで我慢するなんてお前らしくないぞポーラ」

「あ、提督~?」

「そうよ、ポーラ。無理はしちゃだめよ」

「ザラ姉様も……? なんで……?」

 

それで二人は曖昧な表情を浮かべながらも、

 

「ポーラが心配になってな」

「それで禁断症状が出始めたのを見てとっさに支えたのよ」

「そうだったんですか~。ポーラ、いいところを見せようとしたのにダメでしたね……」

 

それで落ち込みましたけどそんなポーラの頭を提督は優しく撫でてくれながら、

 

「いや、落ち込むことは無いぞ。真面目に取り組んでくれるポーラを見れて私は嬉しい」

「そうよ。最後は禁断症状が出ちゃったけど真面目なポーラも見れたからお姉ちゃんとしては合格点を上げたいわ」

 

それでザラ姉様もポーラの頭を撫でてくれました。

う~……。

恥ずかしいです~。

 

「恥ずかしい~! こんな時はお酒を飲むのに限ります~!」

「やっぱりいつも通りのポーラだな」

「ですね、提督」

 

二人は呆れていますけどポーラはこれでいいんです~。

いつも通りが一番~!

 

 

 




ポーラは果たしてコンビニ店員としてやっていけるのか……?
いつもの禁断症状が出るのが頭に浮かびますね。



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