FGOってデータが引き継げないときっとこんな感じ 作:ピリの唄
そしてエミヤ、ごめんなさい。
ランサーメドゥーサを倒し、一息をつこうとしたときに、幾つもの特異点を修復した記憶のある立香の背中に寒いものが走った。
それに立香が気付いたのはその英霊と長い時間過ごした経験があったからだった。そしてキャスターで召喚されているがクー・フーリンにとってもランサーとして幾度となく戦った縁のある相手だった。
「マシュ!構えて!!」
「チッ!!あの野郎、やっぱり狙ってやがったか!」
立香の声に反応できたのはキャスターのみ。
キャスニキが選択したのは魔術での迎撃ではなく、人間である立香とオルガマリーを抱えてその場から移動することだった。
立っていた場所に捻れた矢が突き刺さる直前、立香はなんとなく見上げたマンションに立っていた黒い服の弓兵と目が合った気がした。
***
「あの矢、お、覚えがあるわ」
一度その場を離れた後に、エリザベートは立香たちに向けてそう言った。
立香は驚いていたが納得もしていた。
彼女と特異点で会った時には他の特異点で会ったことを覚えていたことがあったから。・・・・・・それほど多く特異点で会ったことがあるということだが。何度も出てきて恥ずかしくないのだろうか。
相手のアーチャーがどういうサーヴァントか知っているが一応尋ねる。
オルガマリーが。
「相手のアーチャーに覚えがあるのね?」
「ええ、変態よ」
立香の頭ではエミヤ=変態は結び付かなかった。黒ひげならすぐに結び付くのだが。
「・・・・・・変態?」
「ええ、そうよ。マッチョの変態よ」
確かにムキムキではある。
だが、立香の記憶の中にあるエミヤは心優しいお人好しだ。料理人だ。嫌味を交えることはあってもどうしても変態とは結び付かない。
キャスニキは腹を抱えて笑っている。
それでも立香にとっては笑い事ではない。何せ、全ての特異点をマシュとエミヤ(他にもサーヴァントは大勢いたが)攻略してきたのだから。
「先輩、私のもとになったサーヴァントは決して変態とは程遠いです!!」
「うん、マシュ。大丈夫、わかってる」
「はい!王妃を寝とるようなろくでなし騎士とは違うんです!!」
「うん、わかって・・・あれ、マシュ?」
もしかしたら霊基から記憶が流れ込んでいるのかも知れない。
わからないことはエミヤとエリザベートの関係だけではなくなった。
立香とマシュのやり取りをスルーしながら
「ええっと、何かあったの?」
だが、オルガマリー所長ですら聞くことに迷っていた。
サーヴァントとは英霊で、変態が成れるようなものではないと思うのだから。
男色の英雄や両方イケル英雄がいることは否定できないし、女性にとっては貞操の危機になるような英雄もいることも否定はしにくいのだから。
「子ブタと一緒にいたいけなアイドルを捕まえて、突然指を突きつけて処女認定して来たのよ! 恐いわ! 助けてお父様ーーー!!」
一種のトラウマなのか途中で父親(ヴラド)に助けを求めて叫ぶエリザベート。
立香は思わず呟いていた。
「エミヤ、ギルティ」
エミヤは比較的近代どころか、今この時代に生きている可能性すらある英霊である。なので立香と男女の差はあれど価値観は近いだろう。
だからこそギルティ。エミヤ、君は女難の相じゃない。女性に対してのデリカシーがないからそうなっているんだ。
状況を知らないから正確にはアウトではないのかも・・・・・・いや、アウトだ。
どう考えても指を突き付けて処女認定を男がやっていいものじゃない。
子ブタがどなたかはわからないけれども。
「徹底的に倒そう。女の敵だ」
立香にとってエミヤは今までは頼れる兄貴分だったのが、一発殴らないと許せないサーヴァントへと変化していた。
エミヤは好きです。決してアンチではありません。
それにしてもCCCのイベントが遂に始まりますなー
私?砂漠を抜けて今ガウェイン卿が正門で宝具をこちらに向けて振り回していますよ?
間に合わなかったさ!!!なんとなくはそんな気がしてたけどさ!?
スタミナがオーバーしてても林檎で回転しても勝てなかったら意味がないのですよ
時間を下さい!!!