FGOってデータが引き継げないときっとこんな感じ 作:ピリの唄
FGOの二次創作でこんなに長く汚染都市?冬木をやっている作品はこれだけじゃないだろうか、と。
「安心しなさい、修復するだけならもう一つだけ方法はあるわよ?」
絶望感の漂っていた空間に少女の言葉で一筋の希望が差し込む。
まあ、その絶望をばら蒔いたのもそう言った少女なのだが。
「この場でセイバーとアーチャーの二人が大聖杯と契約を切ってカルデアと再契約すればこの特異点は修復されるわよ?」
(何故最初にそれを言わなかった、この悪魔っ子!!)
立香が口に出さず、心の中で愚痴るのも仕方の無いことだと思う。
「でもそれだと一人、確実に死人が出るのよ」
「どうしてだよイリヤ。バーサーカーを相手に戦うのも死人が出るかもしれないんだぞ」
エミヤリリィの言葉に何度もうなずく立香。
強化されたバーサーカーなんて見たくない。あの怪物を12回も殺す前にこちらが死ぬと思う。
「まさか・・・」
「あら、アーチャーは知っていたのね?この中で一人だけ三要素の一つが欠けていることを」
「ちょっと待ちなさいイリヤ?三要素が欠けていたら生きていられる訳がないでしょ!」
「特異点だから行動できているだけよ。空気中に大量に存在する魔力が身体の代わりをしているからね」
その言葉で立香は思い出す。
前回の特異点Fの最後に所長を焼いたレフが今回呆気なさすぎた(気付いたら倒れていた)ためにてっきり大丈夫なのかと思っていたが、今所長の身体は存在していないのだ。
カルデアで肉片になり、死んだ結果適性の無いここに存在できているのが今のオルガマリー所長である。
「バーサーカーを倒せば肉体を戻せるの?」
それが事実なら立香は逃げない。
もう一度、所長が死ぬときの顔なんて見たくない。
「え?無理よ?」
「えっ!?」
台無しである。色々と期待したのに台無しである。
「別世界の身体を治すなんて不可能よ。それこそ回復に特化したサーヴァントでも無理よ。可能性があるとすれば、グランドキャスターを呼んできなさい」
「・・・・・・ロマニ」
「僕にそんな知り合いなんているわけ無いじゃないか!!?」
「そうですよ先輩。そしてドクター、言葉がおかしいです」
「・・・・・・そうだよね・・・」
可能だったらやさしいロマニのことだ、きっと所長を助けていただろう。だけど前回の人理修復の時も所長は助からなかった。
つまりはそういうことなのだ。
「だから代わりを用意してあげる。わたしはどうでもいいけどシロウが気に病むもの」
「えっ?」
それはつまり、
「ただし、これは貸しよ?よーく覚えて置きなさいね、カルデアのドクター」
「なんで僕一人に限定されるのかなー!?」
グランドキャスターの転生体みたいなものだから仕方がないヨネ。
まあこれで所長をどうにか・・・・・・あれ?
「なんでバーサーカーを倒さないといけないの?」
この場で直ぐに行動することが駄目でもバーサーカーと戦う必要性はなかったような気がする。
「簡単なことよ、わたしの工房は森の中にある城なの」
「あー、なぁイリヤ。もしかして?」
「シロウの想像どおり、バーサーカーは城を守っているわ。わたしたちはそれを潜り抜けて城にたどり着かないといけないの」
やることはわかった。つまり、またヘラクレスを相手に逃げるんですね。わかりたくない。
しかも多分誰か(イリヤか所長)を抱えて。
「ば、ぶぁっちこい」
「先輩、おかしな言葉になってますよ」
緊張のあまり言葉がおかしくなったことをマシュに突っ込まれた。
仕方がないんだよ!
あのモンスターと追い掛けっこするのは二回目なんだから!
「速いし、動きがおかしいし」
バーサーカーなのに攻撃を先読みするってなに?
狂化が低かったら別だろうがかなり高かった筈である。
なのに攻撃技術が高い。同時に九つの斬撃を放つバーサーカー。
トラウマになっても仕方がない筈。
「戦いたくないなー」
とても悲しげな言葉が立香の口から溢れた。
終わらないなー冬木。
まだバーサーカー戦が残っている。
戦闘回の後に冬木内の解決編をして、そしてカルデア内のエピローグまではあるという。
既に残り半分にはなっているはず、冬木は。