FGOってデータが引き継げないときっとこんな感じ   作:ピリの唄

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こういうの?

ちょっと文字が増えました


特異点ってどういうの?

Yet, those hands will never hold anything.

故に、生涯に意味はなく

 

**

 

麻婆豆腐が残った鍋を囲みながらカルデアと冬木の生き残り達は集まっていた。

しかし神父以外、誰も麻婆豆腐を取ろうとしない。

辛さを知らないカルデアの二人すらも遠慮するほどの赤さだった。

 

「まず始めに言っておくと、この特異点で生き残っているのはここにいる私達と二階で寝ているタイガ、イレギュラーなサーヴァントと一緒に行動している人間をわりとやめかけてる一人よ」

「ねえマシュ、おかしい言葉が入ってなかった?」

「そうですね。先輩と私の耳がおかしくなかったのなら」

「藤ねえが二階で寝てるのか!?」

「そこじゃないから士郎は黙ってて。イリヤスフィール、アーチャーが助けた中には他にも大勢いたはずよ?なのになんで生存者がそんなに少なくなっているのよ?そして特異点ってどういうこと?」

「冬木は特別な土地なのよ。この時代は特に。聖杯から得た情報になるけど特異点ってだけなら多く発生しているわ」

「ちょっと待ちなさい、カルデアが見つけた特異点はここよ!?他にも多くの特異点があるなんて知らないわ!!」

「ええ、そうでしょうね。人理を脅かすような物では無かったもの」

「衛宮君、一応言っておくと特異点っていうのは正常な時間軸から切り離された現実であり、もしもの世界よ。余計な口は挟まないように」

「あ、ああ。わかったよ遠坂」

「で?特異点ってどういう物があったのよ」

「そうね、聖杯戦争のルールが変更になってクイズ形式になったり、レースになったわ」

「なんでさ!?」

 

そんな平和な特異点は知らない。ぐだぐだ特異点でもそこまで平和ではなかった。

 

「ええっと、他にも虎聖杯(別名虎の魔法瓶)とか」

「「「なんで虎!?」」」

 

立香が知る虎はいない。虎やタイガーに反応するジャガーマンはいたけれど。

 

「風雲イリヤ城とか、アーチャーが釣り勝負したりとか?」

「なんでさ!?」

「イリヤちゃんがラスボスだったの!?」

「ふざけすぎよアーチャー!!」

「私は関係無いだろう!?」

 

うん、カオス。でも行くならそんな特異点の方が良かった。

 

「コホン。とにかく、ここは既に特異点となっているのよ、リン。あるサーヴァントが願いを叶えた時点で分岐してね」

「大分と話を反らしましたね」

「サクラ、余計なことは言わないで」

「願いを叶えた!?でもサーヴァントはまだ残っているぞ?セイバーとか、そこにいるアーチャーとかキャスターとか」

「ええ、残っていても叶えることができるほど桁違いのサーヴァントがいたのよ」

「桁違いだったからって願いを叶えられるものじゃないでしょ、聖杯ってのは!」

「虎には影響されてるけど・・・・・・」

「あの先輩、ここは真剣な話ですよ?」

「・・・・・・リン、冬木の聖杯も魔術の一種だったのよ。わかるわよね、カルデアの観測者さん?」

 

その言葉で願いを叶えたサーヴァントに思い当たったのはひとえに立香が知っていたからだろう。

冷や汗をかいているのが見えない位置(カルデア)に居たDr. ロマンは恐らく幸運だったのだろう。

隣でじと目で見てくる天才なんて知らない。

 

「そ、そうだね。冬木の土地で行われた大規模な魔術儀式が聖杯戦争だ。とても高位な魔術師なら儀式を利用して願いを叶えることができるかもしれない」

「ええ、願いを叶えたキャスターは実体を持ったわ。そしてその使い魔も。その余波でこの特異点が生まれた」

「待ちなさい、アインツベルン!キャスターってここにいるじゃない!!この特異点で召喚されたキャスターが彼じゃないの!?」

「あら?貴女が今答えを言ったじゃない。そのキャスターはこの特異点で呼ばれたのよ。今回の聖杯戦争で呼ばれた訳じゃないわ」

 

イリヤの言葉にはラスボスに辿り着く為に必要な言葉が隠されていた。

既に正体がばれそうな魔術王は大丈夫なのだろうか。

 

**

 

重要なことがわかったとしてもやらなければいけないことは変わらない。

セイバーを倒すか仲間に引き入れること。

だが、その前にエミヤには確認するべきことがあった。

 

「マシュ・キリエライト。盾を構えろ」

 

エミヤが剣を投影する。

 

「これから戦うセイバーを相手に、君の宝具は切り札になるだろう」

「ですが、その・・・・・・」

「使えないということは知っている」

「いえ、その喉元まで出かかっているんです。何かきっかけがあれば・・・・・・」

 

そもそも記憶を持っている立香がおかしいだけでマシュが悪い訳ではない。

だが、ギャラハッド。以前よりもマシュに力を貸しているのではないか?感情も絡んでいるし。

いや、良いことなのだが。

 

「だが、その一端でも使えなければカルデアのマスター共々死ぬだけだ」

 

その言葉がマシュの心に突き刺さる。

エミヤの言うことは正しい。あと少しで出来るといっても出来なければ無意味だ。敬愛する先輩をも巻き込むことになるだろう。

 

「だからここで確かめてやろう。私は彼女の剣を、完全な複製は無理だが真に迫ったものであれば投影出来る」

 

これはマシュが超えるべき一つの試練。

 

「さあ、恐れずしてかかってこい!」

 

シールダーの少女が成長するために必要な試練だ。




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評価も赤色・・・・・・プレッシャーががが

うん、怖い

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