FGOってデータが引き継げないときっとこんな感じ 作:ピリの唄
Nor known to Life.
ただの一度も理解されない
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立香に干将とともに向けられるエミヤの殺気。
「下がって下さい、先輩!彼は危険です!!」
「大丈夫だよマシュ。そんなことはないから」
だが、立香にとってエミヤから剣を向けられることは実は珍しいことではない。
バレンタインの時はチョコの危険性を語り、物凄く説得力を持っているサーヴァントと共に。
クリスマスの時は一度目はソリから見ていたが、二度目は立香の方から頼んで(一年間の人理修復だった筈だが、二度クリスマスがきてるのは何故だろうか)。
ぐだぐだ粒子の影響を受けていたときは釣り野伏で「フィィィッッシュ!!」されかけた。
修練場でも戦闘訓練ということで剣を向けられたことがある。
何より、オルタ化したエミヤは新宿で全力で殺しに来ていた。
だから気付くことが出来た。
本当の殺気ではなく、訓練場で向けられていたようなものと同じだったことに。
だが、エミヤが抱いている警戒は本物だ。
「君は聖杯にやり直すことを望んだのか!?」
立香が直接そう願うことがないとエミヤは知っている。
その願いは立香の今までを、カルデアにいるすべての職員やサーヴァントに対する裏切りだからだ。
だが、エミヤに存在する記憶の後に何かやり直したくなるようなことがあったのかもしれない。
そして無意識に望んでいたのかもしれない。
それを聖杯が叶えた。
そういう可能性がある。
時空が不安定になっているからこそ叶えることができた可能性。
この特異点は立香が来る前に存在したから原因ではないのだろう。だが、絶対に聞かなければならないことだ。
「おい、アーチャー!その娘に何を言ってるんだよ!!聖杯ってどういうことだ!」
「未熟者は黙っていろ。これは貴様に関係のないことだ」
これはエミヤと立香の、人理修復をしてきたサーヴァントとマスターにとって確認しなければならないことだ。
「私は二度目の、何故か帰ってきたぐだぐだ特異点から後の記憶がないよ。だから聖杯に願ったかどうかなんてわからない」
「ほぅ?あの特異点で最後か・・・・・・。ぐだぐだ粒子というやつのせいではないのか?」
「そういう理由で忘れたくないし、戻りたくもない!やり直すならまだ聖杯に願う方がいい!!でも、願うつもりはないよ。これから何があっても今までを否定したくない!!」
「す、すまない・・・・・・」
立香は忘れたくなかった。あの時のロマニの行動も、あの時に手を貸してくれたサーヴァント達のことも。
そしてやり直すつもりもなかった。ぐだぐだ粒子ならなおのこと。
何故だろうか、ぐだぐだノッブと同じような姿になれば何もかも台無しにした上で解決できそうな気がする。
ラスボスですらボコボコに出来そうな気がする。
但し、運営は許せない模様。
運営とは一体何さ?
「ねえ、ロマニ。藤丸とあのサーヴァントが言っているかわかる?」
「オルガ。僕に聞かれても何とも言えないどころかわからないなー。マギ☆マリに聞いてみようか?」
「やめなさい!!」
カルデアでオペレーションしているDr. ロマンが繋がらない筈のネットアイドル(一応正体不明)に訊ねようとして所長が止めていた。
「ぐだぐだ?」
呟きながらマシュが首を傾げていた。
「遠坂、これって・・・・・・?」
「士郎、私に聞かないで。アーチャーに聞きなさい」
この世界に元から居た、二人は後でアーチャーに聞くようだ。
つまり、二人の会話はこの場の誰にも理解されなかった。
ただの一人にも理解されない。
柳洞寺からそろそろ動かないとなー
ここしばらくというかエミヤの詠唱が始まってからずっと柳洞寺から動いてないし。
時間が欲しい、切実に。