FGOってデータが引き継げないときっとこんな感じ   作:ピリの唄

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そりゃ修羅場る


幸運E、女難の相持ちが二人以上いたらどうなる?

 

Steel is my body, and fire is my blood.

血潮は鉄で 心は硝子

 

**

 

気がつけば立香は走り出していた。

寺の中にはあの皮肉屋な正義の味方がいるのだから。共に戦ったサーヴァントがそこにいるかもしれなかったのだから。

そして寺の中に駆け込み

 

「エミヤ!!」

「ええい、こんなときに女難の相だと!?」

 

叫ぶことで修羅場というものへと突入した。

エミヤは立香を視界に入れる前に来ていることに気付いていたが寺の中に無警戒に入ることはないだろうと思っていた。

マシュやエリちゃん、キャスターは警戒をして止めようとしたのだが、不意を突かれたことで止めることが出来なかったのだ。本来なら最速の英霊の一人であるクー・フーリンがいるためギリギリで止めることも出来ただろう。

だが、そのような常識を飛び越えるのが人類最後のマスターだ。

このような見た目の立香だが、第3特異点では女神(小さく可愛らしい少女)を抱えてバーサーカー、ヘラクレスから(他のサーヴァントが妨害していたとはいえ)逃げ切った健脚をもつ少女である。毎日走って鍛えていた訳でもないのに。

つまり今の状況でも走れば捕まえられる者はほとんど存在しない。

不意を突かれて、スタートが遅れた上に予想以上の速さで階段を駆け上がる立香をランサーでなかったクー・フーリンは止めることは出来なかったのだ。

 

結果、立香が叫びエミヤが精神的に追い込まれることになった。幸運Eで女難の相持ちは伊達ではない。

 

閑話休題。

 

立香の知っている本来の特異点Fでは生存者はいないはずだった。ならばあそこでエミヤに向けて剣を突きつけている青年(エミヤの肌を白くし、髪の毛を赤茶に染めて身長を縮めたような見た目)はサーヴァントだろうか?そして何故この特異点にイシュタルがいるのだろうか。

立香は疑問に思っているが先に寺にいたイシュタル?とエミヤリリィ?にとっては別の問題が発生した状況だ。

 

アーチャーに今の状況について問い詰めていたら、衛宮士郎にとって何故か他人のような気がしない見た目の少女(同い年か少し年上に見える)がアーチャーの真名を叫びながら寺に駆け込んできたからだ。

 

「・・・・・・ねえ、衛宮くん」

「ハ、ハイ!何でしょうか遠坂!?」

「あなた、あの娘と知り合い?」

「いや、全く知らないです。ハイ」

 

衛宮士郎の記憶にはない。

髪の毛の色は自分と一緒の赤茶で血縁関係があるのかもしれないが、既に■■士郎は十年前の火災で死んでいる。

今この場にいる衛宮士郎の知り合いではない。

 

「そう、ならいいわ。つまり、アーチャー?」

 

真正面から見ている訳でもないのにイシュタル様?の笑顔は立香にとてつもない恐怖を与えた。怒ってる。とても怒ってる。

服は現代風だがあの見た目と声は間違いない。イシュタルだ。

でも違う気がしてきた。

遠坂?クリスマスにサンタオルタと一緒に配っていた概念礼装の中にあったような・・・・・・

優雅にしてるけど後ろからグサッてされる感じのおじ様?

立香の記憶にはMr.優雅が現れていた。

そんな立香を置き去りにしてエミヤと遠坂さんの話は続く。

 

「ねえアーチャー?あなた、最初に召喚されたときに何て言ったか覚えてる?」

「さて、一体どの言葉を指しているのかわからない以上、覚えているとは言えないな」

「わたしがあんたの真名を聞いたときに、召喚の仕方が悪いから覚えてないって言ってたのよ」

「ああ、言っていたな。事実だが、それがどうした?」

 

あ、エミヤが地雷を踏んだ。

遠坂さんとエミヤの関係がわからない立香にもその事が理解できた。

そもそも遠坂さんの味方のはずの衛宮君?も顔が青ざめてその場から離れたがっていた(正義感からか遠坂さんを守るために離れようとはしなかったけど)。

 

「へぇ、そういう態度をとるんだ・・・。ならこっちも加減はしないわ!色々と知ってそうなのも来たわけだし改めて、あの娘があんたの真名を知っている理由もあわせて洗いざらい全部喋ってもらいましょうか!!」

 

あかいあくまが立香を指差してからエミヤを指差す。

ここに修羅場が開始された。

キャスターやエリちゃんは霊体になって姿を消し、マシュやオルガマリーは助けを求める立香の視線に気付かないふりをした。

 

「マシュ、助けて」

「すみません先輩。私にはこういった時の経験がなく、どう行動すれば良いのかわかりません」

「わたしだってわからないよ!!」

 

言葉で直接自分のサーヴァントに助けを求める立香。それを断るマシュ。

 

「もしもあなたが逃げたらあの娘の延髄に魔力を込めた拳を叩き込むから」

「「なんでさ!?」」

 

立香と少年の声が被る。

そして少年の叫びを聞いた立香は確信する。

あそこの少年はエミヤリリィだ。

オルタが出てきたし因縁が深いランサーアニキの若い頃もいたのなら出てきてもおかしくない。

だから立香は驚くことはない。

イシュタルは理不尽な女神だ。

その依代になるだろう少女だと考えればこの理不尽もそう驚くことはない。

 

だが、エミヤを睨むことは仕方のないことではないだろうか。

理不尽な暴力を受けそうなのだから。しかも具体的な場所まで言う辺り、狙える実力も持っていそうだった。

 

この世界でのマスターと、一度共に人理を救ったマスターの二人に睨まれるアーチャー。

 

その視線に対して心が折れることはなかった。

ガラスであっても折れることはなかった。

・・・・・・逃げたくはなったが。

 





エミヤ、衛宮士郎、恐らくはぐだ子も女難の相持ちですよね?
後、アニメUBWのバーサーカーを見て思いました。
あれから妨害とかがあったとはいえ逃げきったぐだ子、もしくはぐだ男って凄くないですか?
セイバーVSバーサーカーを見てください。
気持ちがわかって貰えると思いたい。


今回の報告ー
エロ尼強すぎ。勝てぬ

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