問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

先週は投稿できずすまないな!

では、どうぞ〜


第97話 混

「さっきも言った通り、〝煌焔の都〟では今、子供の失踪事件が相次いで起こっています。所謂〝神隠し〟と呼ばれるものです」

「お風呂に入る前、蛟劉さんと話してたヤツだね」

 

 本来〝階層支配者〟であるサンドラが動くような案件ではない。そもそも、鬼種や悪魔が多く隠れ住んでいる北側ではこのような失踪事件なと珍しくもなんともない。〝階層支配者〟が単身で動くには在り来りすぎる事件だ。

 

「はい。〝神隠し〟自体は北側では珍しくもなく、専門の機関もあります。本来であれば易々と解決できる事件なんです」

「でも、出来なかった」

 

 サンドラはばつが悪そうに頷いた。

 だが、それだけの理由で〝階層支配者〟が『単独』て動く理由になるのだろうか? 箱庭の知識に未だ疎い義仁でも、〝階層支配者〟がどれだけ重要な存在なのかは理解出来る。

 そんな義仁の意図を汲み取ったのだろう。ジンが説明を始めた。

 

「義仁さん、逆に考えて見てください。〝階層支配者〟がわざわざ単独で行動せざるを得ない。これはそういうものです」

「えーと、魔王が関係しているってこと?」

「そうです。魔王となれば、幾ら〝神隠し〟のエキスパートだろうと手に余ります。さらに言えば、魔王が関係しているということはこの〝神隠し〟は〝ゲーム〟である可能性が高い。そのルールが特定の年齢以下、またそれに類似するものであれば大人の助けを求めることは出来ない。〝階層支配者〟になって日が浅く、歳も十ばかり……、周りには見ることも出来ない何かがいると言えば、悪戯と思われても仕方ないのかもしれないです。自分たちの長を信用出来ないなんて……」

 

 呆れたように説明を終えるジン。確かに魔王が関わってくるとなれば見過ごすことは出来ない。取り分け魔王が関わる〝神隠し〟は強力な呪いや強制力を持つものが多い。

 我関せずと、面倒くさそうにしているペスト。彼女の〝The PIED PIPER ofHAMELIN〟も〝神隠し〟の伝承を模したゲームの一つだった。その恐ろしさは義仁もジンもサンドラも、嫌という程知っている。

 

「まず、情報を纏めよう。そもそも〝契約書類〟は発見されてるのかな?」

「ない。代わりに文のようなものが現場に残されてた」

「文? 内容は?」

 

 問うとサンドラは、現場に残されていた例の三つの文字を空中に炎で書く。

 

「えーと、『遊手好閑』『虚度光陰』『一事無成』……?」

「〝日々を怠惰に過ごし、何も成すことも無い〟って意味ですね」

「物知りだねジン君」

「それともう一つ。現場の壁にでっかく〝混〟の文字が書かれてた」

 

 リンは思い出したように黒髪を掻き上げ、付け加える。

 

「この〝混〟の文字がネックなんなけどね。実は〝階層支配者〟の招集会に、似た様なものが挑戦状として届いてるらしいの」

「挑戦状?」

「うん。随分口汚い内容だったから要約するけど、〝階層支配者〟を襲うといった文面だったらしいよ」

 

 そっと眉を顰めるジン。

 少し考える素振りをしたあと、眉間を軽く揉んだ。

 

「うん。これは魔王関連の問題だね。犯人も凡そ特定出来た。なんでここまでして、サンドラ以外がまともに動こうとしてないのかが不思議なくらい」

「え、っと。もう分かったの?」

「ここまでヒントが出されてるのと、関係者が身近にいるからね。一番はその人を頼ることなんだけど……どこに行ったか分からないから、取り敢えずはこのメンバーで探して行こう。それに、コレの目的も大体予想はついたしね」

 

 ジンは最後に思わせぶりな言葉を残し、会話を切った。ここからは行動せざるを得ない。そう言うように。

 




お読みいただきありがとうございます。

最近なんかあれだな、うん……失踪する人の気持ちがちょっと分かってきがする。
ま、失踪しないけどね!
東方書きたい欲が凄いのだ(´・ω・`)

では、また次回〜

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