問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

中途半端だけど、投稿。今更か(´・ω・`)
これ、下手したらあの狂る(ちゃるもんの中で一番長い話数の作品)超えるのでは……?

では、どうぞ〜


第94話 よだれ

 目が覚める。赤い天井が義仁の視界に広がる。少し視線を移せば椅子に座り何かを読んでいる蛟劉の姿と、そんな蛟劉の頭を齧っているヒッポカンプの姿があった。

 

「いや、何がどうなってそうなったんですか」

「お、おはようさん。気分はどうや? まだ気持ち悪いか?」

「いやあのそのまま齧られたままこっちにこられましてもいやほんと涎が垂れてきてるんで覗きこまないでヴえ」

 

 頭をガジガジと齧るヒッポカンプを気にせず義仁の寝るベッドへと近付く。義仁の懇願なんて虚しくベッドを覗き込んだ蛟劉。結果、ヒッポカンプの口から流れた涎は蛟劉の頬を伝い義仁の顔面を覆い尽くした。

 

 涎に塗れ、未だに滴り落ちてくる、そのまとわりつく嫌な感触の中で義仁は記憶を探る。

 

 ここは〝ノーネーム〟がある東側ではなく、〝魔王連盟〟対策を話し合う為に来た北側。〝煌焔の街〟。の、はず……。

 ならなんで自分はここで寝ているのだろうか? ましてやなんで涎をかけ続けられてるのだろうか?

 

 北側に来て、大きいランプを見て……そこから……そこか、ら……話を聞いてもらえずジェットコースターが始まったんだ。それで気絶してここに運び込まれたのかな?

 

「いや、だからなんで涎かけられてるんです」

「何処まで覚えてる?」

「まあ、大体は……。気絶したんですよね? 蛟劉さんのせいで、私」

「ああ、僕のせいやな。うん。そこは反省してる。こうしてるのも八つ当たりみたいなもんだってことも分かってるんや……。けどな、流石に一張羅の勝負服にゲロられるとなぁ。服の中にまで入ってきたし。って言う建前が出来たから悪戯してみようかと。ヒッポカンプの涎はシャンプーとかにも使われてるで!!」

 

 とてもいい笑顔でサムズアップされてしまった。

 

「いや、それ戻したのも私悪くないですよね?」

「そうとも言うな」

「そうとしか言いませんよ……。まったく」

「アッハハハハ!! ここの隣の館に露天風呂があるらしいから入り行こか。もしかしたらまだやってないかもやけど、まあ、一言言えば入れさせてもらえるやろ」

「職権乱用も程々にして下さいね」

 

 はーいと、適当な返事と共に蛟劉の体が義仁の視界から離れていく。顔に付いた涎を拭いながら起き上がる。蛟劉はヒッポカンプに齧られたままだ。義仁から離れたからか、悪戯に使われたからか蛟劉の頭からは血が流れ始めていた。義仁はその事を見て見ぬふりにした。

 

「それじゃ、行こか。廊下抜けて一階に降りればすぐやから」

「分かりました」

 

 二人と一匹は部屋を出て階段を降りる。そして、必然か偶然か。見知った顔を見つけた。

 

「ジンくん?」

「義仁さん!」

 




お読みいただきありがとうございます。

平和だァ平和だなぁ!
いやぁ、平和って素晴らしいデスヨネ!!

では、また次回〜

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