問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ? 作:ちゃるもん
1つばかり訂正をば
前回の最後で白い髪と書いたのですが、あれ黒い髪でした。元の見た目や、なまえで勝手に脳内が白い髪に変換してた許してฅ(・ω・ฅ)ニャン♪
(これは許されたな)
では、どうぞ。
「こ、こんばんは……は、はは……」
「あー、えっと……こんばんは?」
机の下と上で何故か挨拶。長い黒髪に白夜叉とはまた異なった短めの角。ややつり上がった瞼には、金色の瞳が爛々とランプの灯りを写している。
足の場所と、彼女の位置的にぶつかったのは脛の辺りだろうか。いや、そもそも何故机の下に居るのだろう。この人……人? が、部屋に入る前の灯りを付けていた本人だというのは分かるのだけど……。
しかし、二人して沈黙し動かないのは話が進む以前の問題である。取り敢えず出て来たらどうですか? と、やんわり義仁は促すと、女性はすんなりと机の下から這い出―――ようとして頭をぶつけた。
「―――――ッゥゥ!!!」
予想外の痛みというのは妙に痛く感じるもの。それが、別の人に見られていたとなれば尚更だろう。流石に気の毒に思ったのか、義仁は木製の椅子と机をずらし出られやすいように道を開ける。
「初めまして……で会ってるよね? 木島義仁です」
「あ、ああ。私は白雪姫。白雪。好きな方で呼ぶといい。あの阿呆……逆廻十六夜に負け隷属した蛇神だ。にしても、木島義仁。その名も、馬鹿な事に挑戦していることも知っている。お前は有名人だからな」
と、自己紹介に意気揚々と話し出す白雪姫だが。その瞳には未だ涙が少し溜まっており、照れ隠しで強がっているのはバレバレだった。
「こんな所で何を?」
しかし、相手はアラフォーのオッサン。デリカシーなんてものは存在しない。相手が隠したいことであろう事を何も考えず取り敢えず聞いてみた。
「ウグッ……。早速その話題なのか……。小腹が空いてな……」
それと同時にくぎゅぅぅぅ……と、可愛らしい音が部屋に響く。白雪姫は顔を赤くしお腹を押さえた。
「食べます? さっき大きく切りすぎてしまって」
「い、いただきます……」
「それで、何故机の下に?」
「以前も似たような事があってな……。私は料理なぞ出来ない。今までやってきたことがないのだからな。パンや米の仕舞ってある場所なんぞ検討もつかん。だから、芋を焼こうとして……その」
急に言い籠もる白雪姫に、義仁は焦がしてしまったのだろうかと考えた。事実焦がしたことは本当のようなのだが。
「いや、どうしたら天井が燃えるんですか」
「分かっていれば私も苦労はしない……」
そう。この女、天井を焼き焦がしたと言うのだ。食堂の天井は凡そ三メートル。いや、もっとあるかもしれない。その天井を焦がしたのだ。言われてみれば調理場の壁面と天井が暗闇でもわかる程度に黒くなっていた。
それを呆然と見つめる義仁に、白雪姫は早口で解説と言うなの言い訳を初めた。
「こう、な? 火力が足りないと思ったんだ。火は何とか付けれたのに火力が弱くて火が通らんのはダメだというのはさすがに分かる。そこで、リリや他の子が炎に筒のような物で息を吹き掛けていたのを思い出したのだ! 私は風を操れるのでな、子供の息より早く料理が出来ると風を送り込んだら」
「ご覧の有様ですか」
「うむ……。それで、リリとレティシアに叱られ、黒斑には笑われ……」
「また小言を言われるかもしれないから隠れた、と」
そうです。と、縮こまりながら白雪姫は肯定する。義仁も得意ではないとはいえ多少なりとも料理は出来るし、箱庭に来てからと言うのもの、白夜叉に連れられることも少なくなく、場所によっては水を煮沸して拵え無ければならない自体があった。それ故に火の起こし方や、調整は出来るようになっていた。
「なら、簡単な料理でも教えましょうか? ジャガイモを焼くくらいなら、料理に苦手意識がある白雪姫さんも簡単に出来ると思いますよ?」
「い、いいのか?」
「ええ、それくらいなら。ついでなので私の分も作って下さい」
「だ、誰にも言わないだろうな」
「言いませんよ」
やんわりと笑顔を浮かべる。こうして、白雪姫との料理講座初心者編が度々行われているとか……。
ちなみに調理場を把握している某狐娘と吸血鬼には次の日にはバレていたそうな。
お読みいただきありがとうございます。
多分もう白雪姫の出番はないです。
ちゃるもんにそんな文章力(ヾノ・ω・`)ナイナイ
ま、要望とかあったら、あと1話くらいこの平和な話を続けるor途中で入れるかもです。
では、また次回〜