問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

いやはや、土曜と勘違いしてました┐(´д`)┌ヤレヤレ
休みが日曜固定ではないので月曜が来た実感が湧かないんですよねぇ

あ、それと休み時間を使って投稿してるんで大分わけわかめ状態です。

心して読むのだ!(こうじゃね? って場所あったら指摘して貰えると助かりますん(´・ω・`))

では、どうぞ。


第88話 久遠飛鳥

 私の名前は久遠飛鳥。ここ、箱庭に来る前は五大財閥と呼ばれていた金持ちの令嬢。少し盛ったわ……本当は分家。繋がりなんて私は殆どない。十六夜君が言うには五大財閥も、ビッグネームの久遠家もなかったらしいけど、少なくとも私の記憶にはそう残されていた。

 

 私が箱庭に来たのはちょうど夏真っ盛り。セミの鳴き声が五月蝿い時期だ。その時は少しイラついて黙らせたけど……、それもしょうがない事だろう。なぜなら、その日は財閥解体に伴う親族解体する為に呼び出されたのだから。

 

 何が嬉しくて、何が楽しくて、自身の親ならいざ知れず、他人を、それも衰弱し寝たきりの他人を説得せねばならないのか。当主なら当主なりに責任持って欲しいものだ。

 

 だから、私は早くこんな場所から去りたくて当主を説得した。たった一言で。

 

 叔父は二つ返事で了承した。両親は親族共は喜びの仮面で恐怖を隠し私に感謝を述べた。

 

 そんな日に、割り当てられた自室へ届いた一通の密室投書。そりゃ、心が踊ったわよね。

 隠しきれないワクワクに、期待を膨らませて手紙の封を切った。

 

 それが、私の箱庭に来た経緯。大分簡単だけど、そんな感じだったわ。

 

 ええ、箱庭に来た瞬間高度何千メートルから叩き落とされる前の出来事。同時に、『今までの日常』が無くなった日だった。

 

 

 そのはずだった。

 

 

 一緒に落とされた一人……。黒ウサギ曰く、巻き込まれた一般人。木島義仁。春日部さんのように動物と対話できるわけでもなく、十六夜君のような怪力がある訳でもない。ましてや黒ウサギのような特殊な種族でもなく、私のように忌々しい力がある訳でない。少し……いや、かなり暗い過去を背負った、一般人。

 

 〝ノーネーム〟本拠に侵入してきた獣一匹、箱庭では戦うものとして最弱の部類に入る相手に殺され掛ける。正真正銘戦うべきではない一般人。

 

 そんな訳が無い

 

 黒ウサギが、十六夜君が、春日部さんが、ジン君が、レティシアが、リリが、彼を、木島義仁を一般人だと言っても……。私には彼がドロドロとした何か……。少なくとも、一般人には見えなかった。

 

 私がこの力を理解した時の事。それは私が全寮制の学校に入れられた時だ。仲の良かった学友達と離ればなれになる。それに加え寮は簡単に来られるような場所にはなく、言うなれば……森の中にある幽霊屋敷みたいな場所。道を知らない者が来ようと思って来られるような場所ではなかった。

 

 その寮に入って数日。寮母や、他の寮生が騒がしく窓から外を見ていた。私も外を見た。そこにはかつての学友が、傷を負いながら寮の前に立っていた。ある者は頭から血を流し、ある者は腕が曲がるはずのない方向を向いていた。

 

 だと言うのに、私の姿を見ると……ドロドロとした、意思のない不気味な眼で笑ったのだ。

 

 

 なんでここまで、大怪我までして

 

 

 言われたから

 

 

 最早人には見えなかった、見られなかった。あれはなんだ。このぶきみは……形容し難いこれは……。

 この時、私は、私のこの力を理解した。言葉にしたものに強制力を持たせることができる、悪魔のような力を。

 

 だが、逆に言えば彼等は私の力に負けただけになる。

 

 木島義仁はどうだろうか?

 

 何かに縛られるように死を望み、何かに望まれるように生にまとわりつく。周りを巻き込み、一般人と称される。

 自らの意思で動こうとしない、意志を持つように見えるだけの男。

 

 私は彼が一般人には思えない。

 私はそんな彼が……、怖いのだ。

 




お読みいただきありがとうございます。

次はちゃんと月曜に投稿出来ればいいなぁ(遠い目)

では、また次回〜

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