問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ? 作:ちゃるもん
すっげぇ中途半端……いやー、素で忘れて30分の即興で書いたから許して。
では、どうぞ。
―――一打目は、致命傷を与えるつもりで心窩を打った。
―――二打目は、本気で命を奪うつもりで後頭部を叩きつけた。
―――三打目は、敵を打ち抜くことなく避けられてしまった。
(…………っつ、この少年…………たった三打で、合わせてくんのか…………!)
反撃を受け、海面を乱しながら離れる蛟魔王。
しかし彼が気になったのはむしろ、十六夜の身体の頑丈さだった。
星の地殻から吹き出す灼熱の深海火山で修行を積んだ蛟魔王は、心技体を以てそれを体現できる。妖術では他の七大妖王の中でも劣る部類だが、体術では七大妖王の長〝斉天大聖・美猴王・孫悟空〟、その長に並び立つ〝平天大聖・牛魔王〟にさえ引けを取らない。それは、鍛錬で到達できる霊格の中では、極地の一つだった。
海千山千の霊格を持つ蛟魔王の拳は、海から大地を構成する星の息吹に等しい。
人間相手に本気で打ち込めば、五臓六腑すら残さず粉砕するだろう。
(この少年も、海千山千の修行を…………?)
その疑問を、すぐに拭い去る。この少年の拳には武術の跡や研鑽の後が感じられない。その拳の無骨さは、溢れ出る才能一つで戦ってきた証だ。
気配は紛れもなく人間。しかし、その圧倒的、反則級の才能、天武の才を持つ人間。
(…………白夜王がこのゲームに参加させたかったんはそう言うことかいな。武術の鍛錬がなく、この圧倒的才能。恐らくは異世界から召喚されたばっかやろう。元々の箱庭の住人なら僕なんか相手にならん位には強くなってるはずやからな。
あーくそ。なんで僕の周りには規格外か、変な挑戦しようとする奴らばっかなん?)
軽く悪態を付きながらとある存在を思い浮かべる。
蛟魔王は知っている。ただ、一人。生まれついて修羅神仏に並び立つと力を有した。存在そのものが反則っぽい天賦の才を持つ者を。
(美猴王の姐さんと、同じ器……ねえ)
可能性……いや、確信に近かった。むしろ、そうでなければ本当に手が付けられないとさえ思考してしまう。
だが、そんな事はどうだっていい。
不可能に立ち向かう…………命を燃やして研鑽し、努力するという行為そのものが、楽しくて楽しくて眩くて尊くて、仕方がなかった。
きっと、目の前の少年もと同じなのだろう。それが、なんだか嬉しくて―――
「どうした蛟魔王!!!!」
思考に耽り、十六夜の拳に反応……いや、気付くことなくその拳が顔面を捉えた。
蛟魔王の身体は勢いよく吹き飛び、海の上を幾度とバウンドしやがて、止まった。
だが、十六夜の追撃は止まらない。立ち上がろうとする蛟魔王の腹を蹴りあげ、落ちる前にその身体を叩両手で叩き付ける。
海を割り、その下の地面へとめり込んだ蛟魔王を引き上げ心窩を殴り付けた。
蛟魔王の身体がくの字に折れ曲がり、その口からは派手に血が吹きでる。
まだ終わらないと、更にその拳をたたき込む。
しかし、この打ち下ろしは空を切った。
見事な体捌きで十六夜の拘束から逃れ体勢を整えた蛟魔王は、静かに、十六夜に向けて言い張った。
「久しぶりやなこの感覚。お陰で目が覚めたわ」
お読みいただきありがとうございます。
あ今日月曜じゃんと気付いたのが9時過ぎ。
大慌てで書いたですはい。
ほとんど引用だけど寛大な心で許してニャン(;´Д`)
では、また次回~