問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ? 作:ちゃるもん
眠い……とても、眠い。
では、どうぞ。
一同は情報を得る為、司会役として状況を報告している黒ウサギの言葉に耳を傾ける。
『現在トップ集団は五頭! トップは〝ウィル・オ・ウィスプ〟よりフェイス・レス! 二番手は〝ノーネーム〟より久遠飛鳥! 三番手は同じく〝ノーネーム〟白雪姫! 四番手五番手も猛追している状況です!』
十六夜達はこの情報を噛み砕き、戦略を立てるため思考を凝らす。とは言っても、現状壁となりうるのはトップのフェイス・レスのみ。彼女をどうだし抜くのかを考えているという方が正しいだろう。
「……義仁さん。気を付けてね」
「いや、なにしてるの耀ちゃん」
「待ってる。このままだと、流石に可哀想かなって。だから、逃げる理由くらいは、作ってあげないと」
川の上を光の粒子に乗り仁王立ちする耀。その光はペガサスの持つ光で、それを操る耀に蛟劉は感嘆の声を漏らす。
「お嬢ちゃん、随分珍しい恩恵持ってるんやね。ペガサスのやつやろ? それ」
「……うん。私は友達から力を貰える。その力を組み合わせて新しい力を作れる」
「生命を司る感じか。生命の樹と関係ありそうやね」
「大正解」
耀は服の中から木彫りのペンダントを取り出した。そのペンダントには、幾つにも組み合わさる幾何学模様。真ん中には丸い模様。
「ほおー、こりゃまた……随分珍しい表現の仕方や。専門じゃないからようわからんけど、この幾何学模様が遺伝的な物で、中央が結果……みたいな感じかいな……。よく分からん」
「……私もよく分からない。父さんがくれた、よく分からないペンダント」
ゲーム中だと言うのに、のうのうと会話を続ける三人。さてそろそろ行こうかと、蛟劉が言い出し、義仁ともそれに乗った。
二人は耀に別れを告げ、コースへと戻る。
「ちと、話し過ぎた」
「ですね。まあ、勝ちを狙ってる訳でもないですし」
「けど、もう皆折り返しにおるかもやで? 流石に半周差をぜんたいに付けられたままやと……恥ずかしいやろ」
キャッ、とでも言いたげな仕草と共に蛟劉が言った。しかし、半周差。自分達の次……耀ちゃんの口振りからすると居るのだろうが、それでも最後尾近いのは確かだろう。勝ちを良くしてる訳では無いが、せめて、その後ろぐらいには付いておきたい、と思うのは至極真っ当なことではなかろうか。
「……確かに、恥ずかしいと言えば恥ずかしい……ですかね」
「よし来た! んじゃ、ちと、借りるで」
蛟劉が義仁の後ろに跨り、手綱を握る。そして、義仁は後悔する事となった。なんで、蛟劉に手綱を握らせてしまったのだろうか、と。
春日部耀は待っていた。誇りを失い、なおゲーム参加を強要された愚鈍達を。自業自得とは言え、耀にも良心がある。だから、ここで終わらせてあげようと。
と言う建前の元、グリフィスが持つ力を奪っておけと十六夜からのお達しの為ここで待っていた。
いや、本当はこんなことしたくないんだよ? けど、命令だからなー、十六夜怖いから逆らえないなー。
決してあの時の事を未だに根に持っている訳ではない。制裁に私も参加出来なかった鬱憤ばらしを大義名分の元行おうとしている訳では無いのだ。
つまり、悪いのは十六夜であって私に落ち度はないのである。
「……と、言うわけで、ここで脱落して。そして、早く連盟から抜けて箱庭から出るなり逃げるといい」
そう、悪いのは私ではないのだ!
お読みいただきありがとうございます。
次回! グリフィス、死す。
デュエルスタンバイ!
10月6日追記
急用が発生、イベント参加等があり、8日の投稿が出来なくなりました。
イベント参加までなら前日前々日に書けば良いのですが、原作を家に置いてくるという失態を……
最近こういった急な投稿が出来ない事が多々あり申し訳ないです(´・ω・`)
では、また次回〜