問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

先週は投稿できず申し訳ありませんでした。
実家で少しありまして、まあ、無事にもろもろ終わりました。

あと、今回も引き伸ばしになります。
考える余裕が無かった。ゆるして(´・ω・`)

では、どうぞ。


第57話 鎖

 そう、それは幻覚だった。そんな事、とうの昔から分かっている。こんな、酒に身を任せるように逃げようとも、分かっている。

 

 そう、それは幻聴だった。いつも、いつも、逃げようとする私を繋ぎ止める。楽になりたい私を、何がなんでも繋ぎ止める、自らの甘さだと知っている。

 

 そう、それは妄執だった。あいたい、会いたい、あいたい、アイタイ。刹那に失われた、彼女の胸に飛び込みたい。我が子を天高く持ち上げ歩きたい。

 

 そう、それは願望だった。決して、叶わぬ願いに、託された願いを消してくれと、叫び続ける自らの、諦めるしかない、願望。

 

 終わらない。終わらせてはくれない。たとえ、何があろうとも、それは終わらせようとはさせてくれない。

 

 心が壊れれば、直すように目の前に現れ、忽然と消える。

 

 逃げようとすれば、立ち直らせるために声が聞こえる。

 

 望みこそすれど、飛び込むことも、持ち上げることも出来ない。

 

 忘却は許されず、いつも頭の中心にはかの願いが渦巻く。

 

 終わらせる……そんなことは、許されない。

 

 十六夜は、窓の外を眺めている。何を考えているのだろうか、何を感じたのだろうか。そんな事、分からない。だが、それでいい。わからない方がいいのだろう。

 

 人の心とは、分かったようになれることはあれど、分かり切ることは出来ない。理解できるものでは無い。

 

 話せばスッキリする。そんな事もなかった。それはそうだ。彼に話さずとも、酒の勢いに身を任せるふりをして、何度か話したことなんていくらでもある。

 

 じゃあ、なぜもう一度試したの。

 

 そんなの……自分でも分からない。何となく、楽になれるかなって。そう、思った。もしかしたら、この甘さを彼が切り捨ててくれるかもしれないから。

 

 なぜ、それを甘さだと断定するの。

 

 だって、そうだろう。私は、私の過去と向き合わずに死のうと、楽になろうとしている。けど、結局怖がって逝くことができなかった。今も、今までもこんな風に誰かに思いを、切り捨ててくれと願っているんだ。甘さ以外のなにものでもない。

 

 違うと思うけど。

 

 違わない。きっと、強い人なら、すぐに立ち直るかその足を奈落に落とす。私のようにずっと迷い続けてなんてない。

 

 大切な人が死んで、迷わない人なんていないと思うけど。

 

 だとしても、私ほど迷い続けてなんてないだろう。

 

 相変わらず、貴方は変なひねくれ方をしてるわね。私は……

 

 

 

 

「強いと思うな」

 

 

 

 

「え?」

 

 夢を見ていた。きっと、恐らく、それは夢だった。だから、今の言葉が……信じられない。なぜ? なぜ君まで?

 

 その一言が、思考を乱れさせる。今までの鎖を……繋がれたはずの……自ら縛られていた鎖を問答無用に、引き千切り始めた。

 




お読みいただきありがとうございます。

本当ならまだ先で立たせるつもりだったフラグを今に持ってきました。
つまりは、今後の展開をもう一度練り直さないと行けません。

シヌル(´・ω・`)

では、また次回〜

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