問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

最近腰がブレイクしそうですが、私はゲンキです。

では、どうぞ。


第54話 小競り合い

 逆廻十六夜は困っていた。正直面倒臭いので色々と雰囲気をぶち壊しながら割り込んでも良いものかと真面目に困っていた。

 

 極限まで息を殺し、気配を消しチラリと壁の向こうを覗く。そこには赤と黒が居た。

 

(クッソじゃめぇなアイツら。いっその事吹き飛ばしてやりてぇ)

 

 しかし、〝ノーネーム〟きっての最大問題児も珍しく空気を読む。巻き込まれるのも面倒臭いと天秤に掛けていただけなのは秘密だ。

 

(取り敢えず……待つか……)

 

 ここに黒うさぎでもいたら、そりゃぁ号泣しているであろう光景が続く。

 

(……)

 

 黒と赤の話を音楽代わりに……ならなかったが、取り敢えず聞き流し壁に背を付ける。

 

(…………)

 

 いい加減眠くなってきたのを我慢し、なんと、くだらないと決めつける。死ぬのが快挙とは……もはや笑うのも馬鹿らしい。それなら、やっていることを除けばペストの方が好感が持てるかもな。なんてぼんやり考える。

 

(……………………)

 

 もしここで赤が、サラ・ドルトレイクが死ねばどうなるか? 簡単だ。木島義仁と言う人物が本当の意味で事切れる。今、木島義仁が生きていれるのは、過去の因縁が大きな要素だろう。言い換えれば……身近な人の死、及び自らが死ぬ事による影響だろう。

 

(……おっさんは何処まで……理解出来てるんだろうな)

 

 それが知りたくてここまで来たというのに、目の前では赤と黒の小競り合い。いい加減眠くなってきても仕方が無いというものだ。

 

(今でこそ〝ノーネーム〟と言う存在がおっさんの呪いになって入るみたいだが……それでも、過去に引きづられてる。だが、ただ引きづられてるようにも見えない。

 リリとの関係を見るに、家族が死んだのは分かる。逆に言えばそれしか分からん。人の心ほど読めないものは無い……面倒臭いこって。

 …………こう言うのは金糸雀の専売特許だろうが)

 

 十六夜は大きく溜息を吐こうとし、ああ、そうかと2人の事を思い出して諦めた。

 

 だが、同時にあちらの決着も着いたようで黒、ペストが先にその場から去る。サラは十六夜のいる方へ歩いてきたので、天井を掴み身を隠す。サラは十六夜に気づかぬままその場を去っていく。サラの姿が見えなくなったのと同時に天井から手を離す。

 

「はぁ……なんで俺がこんな事をしなければならないのか……」

 

 ともあれ、漸くこのモヤを消す事が出来る。意気揚々と十六夜は義仁の部屋へと入る。そこには、唯一十六夜のこの疑問を解決出来る存在……木島義仁がベットに寝そべり、目を閉じていた。軽く毛布に触れると、とても柔らかく羽毛で作られているのが分かる。少し耳をすませばスヤスヤと、心地よい音。そう、つまりは寝ていた。

 

「起きろよおっさん」

 

 既に日は落ち、月は真上で輝き続ける。時計を見れば12の地点を過ぎているのは明白。そんな時間までとても、とてもつまらない小競り合いを見せられながらも待ち続けた結果がこれ。問答無用で毛布を剥ぎ取った俺に非は存在しないな! そう開き直る十六夜だった。

 




お読みいただきありがとうございます。

まあ、十六夜くん用の軽い導入です。
たまにはホンワカした話も入れないとね?

では、また次回〜

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