問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

なんだかんだでこの話も終盤が近いんだなと今更になって気付きました。

では、どうぞ。


第52話 理由

 黒い壁がぐにゃりと変形し霧散する。その先に居たのは白黒のまだら模様が特徴的なワンピースを着た小さな少女。かつて、箱庭の北側を襲い、〝ノーネーム〟によって打倒されたはずの少女。黒死斑の魔王〝ブラック・パーチャー〟。

 

「あら、今回の戦争で前線を押し上げてあげた重役者に向かって随分な挨拶じゃない? それとも、これがこっちでの挨拶の仕方なのかしら?」

 

 クスクスと小馬鹿にするように袖で口元を隠しながら笑う。

 

「あれだけ殺気を出していたのだから当然だろう? なあ、疫病の魔王ペスト」

「あらあら、随分好戦的ね。今の貴女に勝ち目なんてないのに」

 

 ペストの周りに黒い靄が立ち込める。それこそが、彼女を彼女とうなづける力。その靄に触れれば最期。黒い呪いが体を蝕み殺す。

 

「確かに、今の私には勝てないだろう。だが、そうすれば、貴様の目的とやらも実行出来なくなるのではないか? そもそも、なぜ狙う」

 

 ペストは黒い靄の上に腰を降ろし、足をプラプラと揺らしていた。その様子にサラは舌打ちを仕掛けるも何とかこらえる。ここでペストの反感を買えば……2人まとめてお陀仏だからだ。

 

 昔の、角を失う前ならば赤子の手を捻るかのごとくペストを黙らせることが出来たことだろう。しかし、今はどうだ。角はなく力のほぼ全てを失った状態。対してペストは、ジンの保有するギフト〝精霊使役者(ジーニアー)〟の効果で、魔王を名乗っていた時ほどではないがほぼ全力の力を出すことが出来る。現に、サラの放った炎を軽く受け止めたのだから、結果は分かりきったものだった。

 

「そうねぇ……2つ目の質問を答えれば全部解決かしら」

 

 ペストはそれを分かってかニヤニヤといやらしく笑いながら告げる。

 

「私はペスト……簡単に言えば、ペストによって死んだ者達の思念体みたいなものかしら。復讐の塊みたいなものよ。なんの罪もなく、なんの前触れもなく、気が付けば全てが失われた。友人も恋人も家族も……これからの予測不能で楽しみにしていた未来すらも全てね。

 あら? 何処かで聞いたみたいな話しね? んー……何処かしら? ついさっき聞いた気がするけどなー」

 

 クスクスクス ペストは笑う。サラは思う。ああ、確かにそうなのかもしれない。そう言う点でならこの2人は似ているのだろう。だが、それでは答えになっていない。同じ境遇と言うだけだ。似た悲しみを背負うと言うだけだ。それが、義仁を狙う……殺す理由にはならない。

 

「あら? 分からないって顔してるわね。結構わかりやすいと思うのだけど。まあ、いいわ。きちんと声にして教えてあげる」

 

 ペストは黒い靄を動かし、サラの目の前に立つ。そして、理由を言い放った。

 

「ただの同族嫌悪よ」

 




お読みいただきありがとうございます。

まあ、かなり無理矢理ですが、許してください。
ペストの存在もそんな感じやろ多分。的なノリで決めてますので許してね(๑>؂•̀๑)テヘペロ
あ、あとおっさんとペストの甘い展開を期待していた方には申し訳ない事をしてしまいました。
でも、これ決めてた事だから:(´◦ω◦`):ガクブル
少なくとも、そう言う関係になるとは言ってないはずだから((((;゚Д゚))))ガクブル

では、また次回〜

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