問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

何も言うな……言うんじゃない……作者が一番分かってるから……『この話必要だった?』ってのは作者が一番分かってるから……!

では、どうぞ。


第42話 慢心

「義仁殿……あんまり心配をかけるような行動はしないで欲しいのだが……」

「え?」

「気付いていないだけの蛮勇とはな。先程のペストが言った言葉。あれは、何時でもお前達を殺せるぞと言っているようなものだ」

「そうです。今でこそ隷属させ僕の命令には逆らえませんがそれでも危険性が皆無な訳ではありません。危険性が低いだけなんです。それに、忘れた訳では無いでしょう? その目に、あの少年の命を奪った原因が誰なのかを。いつ反旗を翻してもおかしくないんです。無闇矢鱈に接触するのはできる限り控えた方がいい」

 

 ジンとサラが詰め寄るように義仁を叱責する。義仁は後ずさりながら分かったと頷くが、そんな悪い子には見えないんだけどなぁと何処か呑気な様子だった。

 

「はぁ……話を聞いたところによると、義仁殿は直に魔王の脅威は見たことは無いとの事だ。間接的にはかなり痛い目を見ているようだがな。また、納得出来ずとも警戒だけはしておけよ? 寝首を掻かれるような事態になっても知らんからな」

 

 サラは諦めた様子で警告する。義仁もここまで言われているのだからと、返事を返した。

 

「よろしい。二人はどうやら目を付けられている様子だった。護身用の恩恵でも用意しておこうか」

「いえ、そこまでしてもらう必要は……」

 

 それに、それを理由に義仁さんを貸せなんて言われたらたまったものではない。技術流出と言うのは〝ノーネーム〟の利益を根こそぎ奪っていくものなのだから。

 義仁もその事は分かっているためサラからの提案を遠慮していた。

 しかし、サラもそう簡単に引くはずもなかった。

 

「なに、これをやったんだから何かをよこせなんて言わないさ。これは、私個人からの贈り物と言うだけだ。遠慮せず受け取っておけ。さて、そうなると、何を贈るのがよいのだろうか?」

 

 とまあ、無理やり押し付けられる形となった。サラとしては、〝ノーネーム〟との繋がりを持っておきたい。と言うだけの話。事実、この事を後ろ盾に何かを要求するつもりもない。繋がりさえ保っていればチャンスが生まれる確率は格段に上がる。そのチャンスの切っ掛けを作ったに過ぎない。

 

 ジンや義仁達からすれば、いつどんな要求をされるか分からないハラハラした非日常が待っているのだが。せめて、とんでもないものが送られてこないことを切に願うばかりだ。

 

「ところで、ジン。〝ノーネーム〟の最高戦力が着くのはいつ頃になりそうだ?」

「1日もあれば来れると思います。先程手紙を出したので、状況を知り次第飛び出して来ると思いますよ」

「確かに。十六夜くんなら飛び出してきそうだ」

「随分と戦闘狂のようだな……少し不安になってきたぞ」

「確かに彼は強い力を持っていますし、戦う事が好きみたいですが、仲間に手を出すほど狂ってなんかいませんよ」

 

 ジンは笑ってみせる。自慢するように、そして、何処か心配そうに。そう、慢心していたとも言えるだろう。彼がくれば少なくともこれ以上戦線を押し上げられることは無いだろうと。

 

 敵はこちらの事を待つなんて、そんな幻想はあるはずもないのに。

 

 

 

 さあ、第2回戦を始めましょう―――

 

 

 

 その時、アンダーウッドに再び轟音が鳴り響いた。

 




お読み頂きありがとうございます。

義仁は白夜叉とレティシア以外に直で魔王にあった事が事がないので、ペストの脅威をよく理解していないだけです。
まあ、あんだけのことをしでかした張本人がこんな幼女とは思わんよな……

では、また次回〜

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