問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

理由が弱い気がするので、後から付け足していくかもです。

では、どうぞ。


第35話 招待

 〝アンダーウッド〟収穫祭本陣営。貴賓室。

 

 義仁達が招かれた貴賓室は大樹の中心に位置する場所にあった。窓から覗くと大河の中心になっており、網目模様の根に覆われた〝アンダーウッド〟の地下都市が見える。

 

 そして、今しがた耀達とサラとの会話が終わった。義仁も端の方に座り耳を傾けていたが

 

 〝蒼炎の悪魔〟と呼ばれるウィラ=ザ=イグ二ファトゥスと言う悪魔がすごく強い。

 

 サラが以前の北側で起きた魔王騒動に対し、礼を言っていたこと。

 

 〝一本角〟などの名前は役割を分けるための名前であり、〝一本角〟〝五爪〟は戦闘。〝二翼〟〝四本足〟〝三本の尾〟は運搬。〝六本傷〟は農業・商業全般。これらを総じて〝龍角を持つ鷲獅子〟同盟と呼ぶこと。そして、その名前に完全に一致しなくてもそのコミュニティに入る事ができること。

 

 後は、サラが茶化すように黒ウサギを煽ったり、十六夜のお遊びでブラックラビットイータなるものが最下層の展示会場にある事を知った黒ウサギがヤケになって飛び出していったり……。

 

 まあ、そんな事があった。

 

 そしていま、貴賓室にはサラと義仁しかいない。さて、と口を開いたのは義仁だった。

 

「それで、サラさんは私に何の話があるのですか?」

「白夜叉殿からサボテンが欲しいと頼まれた。その際に少し義仁殿の話を聞いたのだ。曰く恩恵に頼らず魔王の力を削ぎ落とす事が出来るかもしれない存在だと」

 

 義仁がやろうとしていることは至って簡単。魔王に汚染された土地を人の手で、知恵でどうにか浄化できないものかと試しているだけのこと。箱庭ではなく、元の世界なら砂漠の緑化と似たようなものである。

 

 誰だって一度は思い付くだろうし、やろうと思えばやれることなのだ。

 

 義仁は言いようによってはそうかもしれないが、買い被りすぎだろう。だが、今は違う。まず、そもそもの前提条件が違うのだ。箱庭の住人には恩恵が無ければ開拓することは出来ない。逆に言えば恩恵があれば開拓することが出来る。と言う常識が存在している。そんな常識があるなか、恩恵無しで開拓を、それも魔王に汚染された土地を浄化し開拓する事が出来ると考える者が居るだろうか? まず、いないだろう。つまり、義仁がやろうとしていることは、常識への反逆。

 

 義仁や耀達のように外から来たものであれば、義仁と同じ発想が可能だろうが、馬鹿正直にやろうとした者は、白夜叉の反応を見る限り、義仁が初めてなのだろう。

 

「まあ、言い方次第ではそうとも取れますが」

「正しくは、魔王に汚染された土地を恩恵を無しに浄化する。だったか。正直、その話を白夜叉殿から聞いた時は目からウロコだったよ。想像もしたことがなかった。さらに、それが良い方向に成果を伸ばしていると知った時は開いた口が塞がらなかったよ」

「ありがとうございます。そう言っていただけるとやった甲斐が有ると言うものです。それで? それが私を呼んだ理由なのでしょうか?」

 

 サラは少しの間を起き、席を立った。そのまま義仁へと近づき、通り過ぎ、窓のさんに手を掛ける。

 

「まあ、そうなるな。〝アンダーウッド〟は十年前に巨人族の襲撃を受け、大打撃を受けた。今でこそ、表立った傷跡は無くなったが、町外れに行けば、いまだ手がつけられていない荒れ果てた土地はごまんとある」

「つまりは、私の手を借りてその土地をどうにかしたい……。と?」

「いや、少し違うな。その土地自体は時間を掛ければどうにか出来るものだ。魔王の呪いに掛かっているわけでもないしな。だが、〝アンダーウッド〟において土地に根付く呪いと言ったものは下手をしたら〝アンダーウッド〟を支えるこの大樹をも破壊してしまうものにもなり得る。私が義仁殿に頼みたいのは、技術提供、共同開発…………」

 

 サラは言い淀む。何処と無く居心地の悪そうに、そして、決心したのか義仁に手を伸ばした。

 

「いや、遠回しに言うのもあれだ。率直に言わせてもらうと、私は木島義仁殿を我がコミュニティに招待したい」

 




お読み頂きありがとうございます。

はい。という訳で義仁のやろうとしている事を我がものに! と言うのがサラの狙いでした。

今まで馬鹿みたいに高いお金を払って浄化していたものが、払わないでも浄化出来るかもしれない。現状でている結果は良い方向で進んでいるとなれば、そうなるのかな?

……これ、一部の神霊にもオッサン喧嘩売ってない?

では、また次回〜

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