問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

なーんかやる気がガガガ
もうすぐ終わるのにここでやる気がなくなるのはマズいですぞ

では、どうぞ。


第115話 そっちにいくよ

 大きな揺れと共に避難所まで連れてこられた義仁。避難所の中にはお年寄りと子供、女性といった戦闘に参加することができない者たちが多く集まっていた。戦いに慣れているものや、防衛に向いている恩恵を持ったものは避難所の入り口に陣取ったり、避難の手伝いをしていた。

 そんな中義仁がじっとしていらるほどの精神はあるはずもなく、先ほどから毛布を配ったり子供たちの遊び相手になったりとせわしなく動いていた。

 

 時計の短針が四度、動いたにもかかわらず外から聞こえる轟音は鳴りやまない。幾度となく鳴り響く轟音と怒号のやり取りに子供たちは怯え、大人たちもまた身を震わせていた。

 

 今なお避難者は後を絶たず避難所も手狭になってきた。怪我人も予想よりは少なかったものの出てきている。それが一層子供たちの不安を煽っているが、大人たちでカバーしあっていた。義仁も子供たちの相手を代わってもらい少しばかり休憩を取っていた。

 そんな時一組の男女が避難してきた。避難所に転がり込むなり子供たちが集まっている所まで走っていき、顔をより一層青ざめさせた。近くにいた者に駆け寄り泣き叫びながら何かを聞いていた。

 

 それがなにか、察してしまった。

 

 もう、動かない。そんな選択肢は考えられない。立ち上がり、その男女に近づく。話を聞けば子供とはぐれてしまった。事前に避難する場所は決めていたから来てみたはいいものの、我が子に似た子は来ていないという。かといって自分が出て行っても、それでも、

 

 ダンっと、外に走り出そうとする男を女が引き留める。あの子に加えて貴方まで死んだらどうすればいいか分からないと。まだ死んだときまったわけじゃない。

 

 お互いが泣き叫びながら動けないでいた。

 

 そこには、昔の私がいた。

 だが、今ここにいる私は昔の私じゃない。何が違う、今の私にはなくてあの頃にあった私。

 

「大丈夫。探してくるよ。だから、その子のが帰ってくるのを待ってて。特徴を教えて貰ってもいいですか?」

 

 困惑する男女に淡々と子供の特量を聞いていく。性別は男で、少し長めの黒髪に赤い瞳。耳は横に長く尖っていて、両耳の先が抉れているそう。昔に火傷して切除したらしい。名前はキト。

 

 そんなところで再び大きな揺れが避難所を襲った。

 

「分かった。ありがとう。必ず見つけてくるよ」

 

 そして避難所を後にする。

 何時もならきっと足がすくんでいただろうし、巻き込まれる側だった。

 だけど、今回は自分から入っていった。きっと、今の私は飛鳥ちゃんが言った昔の自分に戻っていることだろう。だけど、もういいのだ。

 

 

 だって、

 

 死ぬのが怖くないのだから

 

 否

 

 死ぬことが私が助かる唯一の方法だと分かったから

 

 

 だから、いまそっちに行くよ。

 




お読みいただきありがとうございます。

まあ、うん。
早ければ3,4話で終わる……といいなぁ

あ、あと来週は東方祭の関係で投稿休みます。
ごめーんね(*^^)v

では、また次回~

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