問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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十六夜おにいちゅん
まじ 十六夜おにいちゃん

では、どうぞ


第112話 絶対

「こうでもしないと、きっとまた無茶をする」

「だからペストを使って義仁を襲わせた。そうすればおっさんは部屋を移動させられる。〝サラマンドラ〟としてもおっさんが死ぬのはマズい。医務室の隣、〝魔王連盟〟が攻め込んできたとしても真っ先に避難が完了するだろうな」

「十六夜さん……」

「おっと、別にそれが悪いって言いたいわけじゃないんだゾ? ただ、随分とおっさんにご執心だと思ってな」

 

釈放され、対策会議もサンドラが連れ去られるというハプニングが起きたこと以外は概ね順調に終わった。十六夜達はサンドラが連れ去られるのを想定していたため、どよめきを隠せない参加者たちを無視して会議を進めた。

正直、下手に実力があるものが集まっても邪魔なだけとすら十六夜は考えていた。参加者数人が時計塔に突き刺さったりしていたが、サンドラ誘拐に比べれば些細なことだろう。

 

さて、時刻は深夜手前。大抵の生き物は睡眠をとっているこの時間。ジンがいる部屋に訪れた十六夜はからからと笑いながら対面する。

 

「十六夜さんは義仁さんがどうなってもいいと?」

「別にそんなことは言ってねえよ。俺だって仲間意識ぐらいはある。ジン。お前がおっさんを心配しているのも理解できる。だから、忠告しに来た。あんまり締め付けすぎると、おっさんが壊れちまうぞ? いまでこそ多少はマトモに見える。が、結局はそう見えているだけだ」

「そのくらい僕にもわかります。だからペストに……。ただでさえ色んなことに巻き込まれやすい方なのに、態々自分から踏み込んでいく。今までは最悪のパターンにたどり着かなかっただけです。不死鳥の恩恵で多少なりとも死から遠ざかっているとしても、絶対ではない。そんなものは存在しない」

「だったら、ペストがおっさんを殺しちまう可能性もあったわけだ。ただでさえ、おっさんを毛嫌いしているんだ、ないとは言い切れないだろう?」

 

ジンは押し黙る。否定できないからだ。そう、自分が言った通り、この世に絶対なんてものはない。だから、ジンは少しでも安全な場所に義仁を移動させたかった。

そして、十六夜の言う通りペストが義仁を殺す。いざとなれば自分が止めに入ればいい、なんて言えるわけもない。ジンはその場には居なかったのだから。

義仁の身を案じ行動した。それにしてはおざなりすぎるだろう。

 

「まあ、結果はうまくいった。お嬢様ともそれなりに話せるようになったみたいだしな。ただ、今後は相談しろ。せめて俺だけにでもな」

 

ぐしゃぐしゃとジンの頭を乱雑に撫で、部屋から出ていく。ジンはうつ向いたまま動かなかった。

 

「もう、無理だとはおもうが。少なくとも、目の届く範囲でならどうにかしてみるか」

 

めんどくさいと語末に付け加えながら、ゆっくりと歩みを進めた。

 




お読みいただきありがとうございます

書きたかったんと少し違うけど、まあいいか(思考放棄)
十六夜お兄ちゃんほすい

では、また次回~

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