問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

サブタイが決まらない今日この頃。

ではどうぞ。


第111話 机

 太陽が昇り始めると同時に目が覚める。ここ最近は気絶、寝るの繰り返しだったこともあり少し困惑する。前日何をしていたのかを思い出しながら、ソファから転がり落ちなかったことに安堵した。

 珍しく飛鳥と対談し、負傷のしすぎと怒られた末に医務室の隣へとお引越ししたことを思い出し、サンドラを部屋のベットに寝かせソファに潜り込んだ。その前のことは結局思い出すことは出来なかったが、それは些細なことだろうと思考を切り替える。

 

「サンドラちゃんは……まだ起きてないか」

 

 ベッドの上にはサンドラがすやすやと寝息を立てている。まる一日近くは寝ているというのに未だ起きる気配はない。それだけ疲れていたということだろう。悪い癖だとは思いながらも少し同情してしまう。

 

「早く起きすぎちゃった……。いや、寝すぎただけかな。昨日もほとんど寝てたみたいだし」

 

 窓から外の様子を見る。太陽だと思っていた物は大きなランプで、街道を行き交うのは人ならざる者。いい加減慣れろと言われそうだが、どうしてもこの感覚は慣れそうにはない。時計を見ると時刻は午前7時。皆仕事に向かっているのだろうか。それとも夜勤明けだろうか。

 

 そんなことを考えながらぼんやりとし続ける。それだけの事なのになぜだか飽きることはなかった。

 時折うとうとしていたら時刻は午前9時過ぎ。どうりで喉が乾くわけだと腰を上げる。それと同時に小さな欠伸も聞こえた。音のした方を向くと、サンドラが瞼を擦りながら大きく伸びをしていた。

 

「おはようサンドラちゃん。よく眠れた?」

「おはよう、ざいます」

「まだすこし眠いかな? 洗面所まで歩けるかい?」

「ん」

 

 小さく返事をし義仁の裾を握る。話によれば今日の午後に〝魔王連盟〟に対する会議が行われるそう。立場的にサンドラが出席しないというのはまずいだろう。義仁的にはサンドラには出てほしくない気持ちの方が大きのだが。

 

 十六夜君達は徹夜明けになるのだろうか? なんて考えサンドラを洗面台まで連れていく。顔を洗わせ、ぼんやりとした目がはっきりと義仁の姿を映した。

 

「……ご、ごめんなさい」

「どうして謝るんだい?」

 

 訳が分からなかった。

 

「私は、義仁さんを守る立場なのに……」

 

 ああ、なるほど。ここでも彼女は責任を感じているのか。感じてしまうのか。

 

「ごはん、食べよっか。食堂がどこか分からないから案内してくれるかな?」

「わかりました」

 

 よそよそしいサンドラの後ろ姿。十六夜達に警告されたのもあってか少し冷たく接してしまう。そんな自分が嫌で嫌で。吐き気がするほどで気持ち悪かった。

 

 結局、食堂についてもサンドラとはまともに話せなかった。側近の人たちがサンドラを会議があるからと迎えに来て、一人になってしまった。机は濡れていた。

 部屋に戻り、また外を眺める。窓の外には多種多様な異種族が集まっていた。

 

 きっともうすぐ、サンドラは連れ去られるのだろう。けれど、平穏な眠りは与えられた。無暗に潜り込んでもいないはずだ。

 

 

「これで…………

 

 …………いいわけないじゃないか」

 

 

 気が付いた時には廊下を走っていた。

 走って、走って、走って、走って、息が切れてへたり込むころに十六夜君が目の前にいた。何も聞かれていないのに、サンドラちゃんにお礼を言えていないと言い訳をして、子供のように慌てて……。

 

 本当はただ、彼女の笑顔が見たかった。それが、自身を、彼女を傷つけるとわかっていても、きっと、それでも今抱いているこの張り裂けそうなこの辛さに比べればきっと、

 

 

 そう、きっと、涙の別れなんかよりきっと

 

 

「サンドラは、もう連れ去られた。諦めな」

 

 

 きっと────

 




お読みいただきありがとうございます。

会議まで書いてるとね……うん……

では、また次回〜

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