問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ? 作:ちゃるもん
飛鳥ちゃんを漸く活躍させられた気がする。
では、どうぞ。
「にしても、元気そうね。仮病?」
「さあ? 気が付いたらまたここで寝てたから」
「ふうん。無理やり思い出させたりできるのかしら。駄目ね、義仁さんが持ちそうになさそう」
「なんだか不穏だけど、無理はさせないでくれるとうれしいかな……」
不適に笑う飛鳥にひきつった笑いを隠せない義仁。飛鳥は炎の壁を越えられないようで、触れようとしたものの、炎の壁が退こうとしなかった為伸ばした腕を引っ込めた。
「……熱いわねこれ。そっちは熱くないの? 離れていても少し汗をかく程度には暑いのだけれど」
「そうなのかい? こっちは全然そんなことはないけど」
「そう、サンドラが起きるまでの辛抱ってことね。まあいいわ。十六夜くん達は明日、時刻的には今日の午後になるかしら。〝魔王連盟〟に対抗する為の会議の準備をしているわ。まあ、うん、やろうとしていることは弱いから出直して来いってことなのだけれど……、うん。
まあ、あれよ、順調って事だから気にしなくてもいいわ。
そう、それと、義仁さんはこの後部屋を移ってもらうことになったらしいわよ。医務室の隣。怪我しすぎってことね。ふふ」
「それは、うれしくはない……かなぁ。けど、事実だし素直に移動しないと」
あまり話したことない者同士と言えど、同じ釜の飯を食ってきたこともあってか不思議と話しにくさというものは感じなかった。飛鳥が気を使っていると言うのもあるのだが。
壁を感じさせない彼女の話方に義仁は安心して一つの質問を投げかけた。
「君は、飛鳥ちゃんは、私が人に見えるようにって言ってたけど……、そんなに酷かったかい?」
「そりゃあもう。私のトラウマを見事に抉ってくれてたわ」
「そ、そんなにかい……。ち、ちなみにどんな風に?」
「そうねえ、一言で言うならヘドロ?」
予想以上の安直で真っすぐ過ぎる回答に愕然とする。
「今はドロッとした人間に見えるわ。前に比べれば大分マシになってるから安心しなさい」
「あ、安心はできない、かな」
「そう思うのならもう少し自分の体を大切にしなさいな。自己犠牲は否定しないけれど、貴方のはただの死にたがり。
何に突き動かされているのかは知らないわ。
でもね、自分がここで休んでいる間にーだとか考えてるでしょ義仁さん。それも真っ先に。確かにそうかもしれないわ。貴方が部屋をひとつ貸し切っていたから誰かが治療を受けられなかった。ええ、有り得るの事ね。けど、それは箱庭に来る前もそうだった筈よね。何も変わってないのよ、そこは。 だったら。まず、真っ先に私たちが気にして欲しいのは、自分のこと。貴方が死んで悲しむ人もいるのよ。月並みの言葉だけどね」
「ごもっとも……」
しゅんとベッドの上で縮こまる。
その義仁の姿を見て飛鳥は疲れたように小さく息を吐いた。
「分かればよろしい」
お読みいただきありがとうございます。
まあ、うん、これじゃないって言われても目を瞑ってね♡
ではまた次回〜