問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

先週はすみません。
遠くにいた友人がこっちに来ることになった、というより来たのでそちらに付き合っていました。

では、どうぞ。


第107話 微睡み

勢いよく扉が開く。紅い髪が乱れ、その顔からは血の気が引き真っ青になっていた。部屋に入った少女は探し人の姿を探す。探し人はすぐに見つかった。ベットの上で横になり泡を吹いていた。

ある意味で、自分の命の恩人とも言えるその人が。

 

「義仁さん‼」

 

窓が開いていた。窓から入ってくる風がカーテンを揺らしていた。部屋は荒らされていなかった。たった一人を殺すための襲撃。間に合ってよかったと考えるべきなのか、事前に対応できなかったと後悔するべきなのか。

 

そもそも何故この人がピンポイントで狙われた?

 

考えても、考えても分からない。頭の中の情報が多すぎて、弱い十程度の少女には纏め上げられなかった。

仲間たちからは裏切られ、目の前には魔王の脅威。信頼に値するほどの存在はすでに身近にはいなかった。

それでも、救命活動を行えたのはひとえに彼女の強さなのだろう。

 

「と、兎に角治療をしなきゃ。あ、泡を退ければいいのかな……」

 

義仁の体を仰向けに、顔を横に向け、泡を近くにあったティースプーンで掻き出していく。

泡を掻き出し、気道を確保。そして、義仁の口から大きく息が吐き出され呼吸が安定した。

 

安定して上下する胸元に安堵のため息を吐く。そのことにより余裕が生まれたのか、窓を閉め、義仁の周りに炎の結界を張った。義仁の安全を確保した後、医務室へ。義仁の救護及び〝ノーネーム〟を呼んでくるように指示。また、〝サラマンドラ〟本拠内に敵影あり。厳重警戒をとるように指示。

 

それらを終わらせ、医療班と共に再び義仁の部屋に戻ってきた。

義仁を包む炎の膜を解き、医療班が義仁へと群がっていく。

 

小さくため息をひとつ。医療班が適切な処置を施していく様子を眺めていた。敵襲や今後の方針、考えないけないことは山ほどあるがそれは〝ノーネーム〟の皆が来てからがいいだろう。

 

少し休んでもいいだろうか。

 

すこし甘い考えを振りほどき、再び義仁を見る。口を塞いでいた泡は綺麗に取り除かれ、顔色も悪くない。詳しい症状は聞いてはいなかったが、素人目からでも問題ないことが分かった。

 

義仁を再び炎で包み、自身もその中へと入りベッドへと腰を下ろす。

 

義仁の規則正しい寝息が何処か心地よく聞こえる。少しだけ、少しだけと義仁の腕の中に自身の体を埋める。なぜか落ち着くその場所の温もりに自然と瞼が落ちてくる。

 

少しだけだから、少し瞼を閉じるだけ、とじるだけだから大丈夫。とその微睡みに身を任せサンドラは夢の中に落ちていく。

 




お読みいただきありがとうございます。

ほんわか回は何も考えずにぽわぽわしながらかけるので好きです。
いい加減一気に時間を飛ばそうかなぁ。

まあ、そこらも次回しだいですな。

では、また次回〜

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