問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ? 作:ちゃるもん
先週は投稿出来なくてすまんな。
PCで書いての初投稿になるぜ。誤字とかありまくる気しかしないから、間違ってたら教えたくらると助かるぜm(_ _)m
では、どうぞ。
ペストと共に“サラマンドラ”本拠の探検に挑む。土地が変われば文化も変わる。“ノーネーム”とは違う点はいくらでも見つけることができた。
食堂に忍び込んで、食材や食器を眺めていたら誰かの足音が聞こえ慌てて隠れたり、部屋から部屋へと天井を伝う配管は何だろうと触ってみるとほんのり暖かく暖の取り方も違うのだと感心もした。
まさしく、おてんばだった娘との日々がそこにはあった。昔に戻ったようだ。ここにサラさんがいれば本当にあの頃と錯覚してまうと確信できた。それだけ楽しかったのだろう。気が付けば部屋の前まで戻ってきてしまっていた。幸い部屋の中にはだれもおらず、ペストが見つかるようなこともないだろう。
「今日はありがとう。あの頃に戻ったみたいで楽しかったよ」
「そう。それはよかった」
「良ければお礼がしたいんだけれど」
「あら、いいの?」
「私にできることであれば、だけどね。ペストちゃんのほうができることは多いだろうし……、何ができるかな」
「なら、私の話を聞いてくださらない?」
そのくらいなら喜んで。義仁はペストからのお願いに快く答え、椅子へと誘導した。しかし、ペストは椅子へと座らずベットの上に腰を掛け、隣に座れと義仁を促した。椅子を引きペストを待っていた義仁はしばし呆けたあと、ペストの隣に腰を下ろした。
ペストは義仁の左手の上に右手を重ねた。その手は震えていた。
「私がかつて大流行した病気だってことは知っているかしら」
「それならジン君から聞いたよ。八千万の霊が集まったとかなんとか」
「ええ、そう。厳密にはこの体が八千万の悪霊の代表のもので、今、貴方と話しているのは意思を持ってしまった感染症。私はこの悪霊たちを解放したいと思っているわ。まあ、そうしたら私は消滅するでしょうけどね。だけど、私の平穏はそうしないと訪れない。いついかなる時でも八千万の怨念が私に向けられている。なんで殺した、なんでこの世に生まれてきたっ、てね」
淡々と、自分の願いを口にするペスト。その願いを義仁に止める権利はない。しかし、ペストの右手は震えを増す一方だった。
「そう、なんだね」
「別に同情とかが欲しいわけじゃないわ。でも、誰かに話せば多少は気が紛れるかと思っただけなの。こんな暗い話聞きたくなかったわよね。ごめんなさい」
同情はいらないといって見せる少女に、義仁は自分の無力さを痛感する。
もう何度目だ、目の前の小さな命を助けることも、安らぎも与えられない。呆れられてもいいからと、この少女の、ペストの力になりたいと思った。
「肩代わり……、ずっとは無理かもしれないけど、数分だけとか、肩代わりできないかな」
「無理よ、貴方は私とは無関係じゃない。関係があるならまだしも、媒体もなしに引き渡すことなんてできないわ」
「無関係じゃない。この左目、君のペストの浸食で視力がなくなったらしい。なんか呪いのようなものだって。これを通してなら……どうかな?」
「それなら、できるかもしれないけど……、本気なの?」
「本気だよ」
「じゃあ、すこしだけ……お願いしても、いいかしら」
そして、義仁の体に、神経に、脳に、精神に、概念に。義仁という人間そのものをすべて否定するようなどす黒いナニカが這い登ってくる。
しつこくまとわりつく悪臭が体の中に閉じ込められ、体の内側から食い破られるかのような激痛が走り回る。常人が経験していいものではない。
それもそうだ。
今義仁を襲っているナニカは、八千万のソレが経験したものなのだから。数分? そんなに耐えられるはずもない。耐えられるのであればそれは文字通り人間ではない。化け物だ。
無理だ。これは間違いなく無理だ。どうあがいても凡人一人が肩代わりできるものではない。
そのことを一秒と経たずに察しペストから反射的に離れようとする。しかし、離れることができない。ペストが義仁の左手をがっしりと掴んでいるからだ。
一秒が過ぎた。
のたうち回る。左手を握られ、ペストから義仁に向かって経験が押し寄せる。
二秒が過ぎた。
のたうち回る体力もない。口から涎が垂れ、義仁の体がビクンと大きく跳ねた。
三秒が過ぎた。
ピクピクと痙攣する以外に動く兆しはない。
結局義仁が解放されたのは、第三者が部屋に駆け込んでくる五秒後だった。
お読みいただきありがとうございます。
これで、多少の辻褄合わせできた……のだろうか(´・ω・`)?
まあ、できたってことでひとつよろしく。
では、また次回〜