問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

記念すべき100話目なのに特に話が進んでいないことには触れちゃいけないぞ♡♡

どんなに大人びてる子供でも、それはやっぱり子供で、大人が守ってあげないといけない存在なんだなって。

では、どうぞ。


第100話 なんで私ばっかり

「漸く見つけましたぞ、サンドラ様」

 

 義仁の忠告遅く、既に憲兵隊達に囲まれていた。彼等は客の迷惑など顧みず、邪魔な者を押し退けながらなお集まってくる。ぱっと見ただけでも20はいるだろうか。

 

「サンドラ様。我々とて頭首と争いたいわけではございません。どうか、本拠にお戻りください」

 

 憲兵隊の一人が一歩前に出て、サンドラを説得する。が、その手は腰に刺さった剣の柄に掛けられていた。

 

「それは出来ません。私は……、私は〝階層守護者〟としてよ責務を真っ当しなければならない!! そこを退いてください。魔王の脅威はすぐそこまで、いや、既にこの北側を犯しています」

「また、そのような戯言を……。であれば、此方も手段は問いません。翼竜隊を放て!!」

「え…………よ、翼竜隊!? この展示回廊の中心で!?」

 

 サンドラは驚愕の声を上げた。今まで自分たちの足元を照らしていたランプの光が遮れる、見上げると体長十尺ほどの翼を持つ火龍が三体。

 炎の吐息を漏らして見下ろす三体の龍は、鋭い双眸を光らせサンドラを睨む。

 

『サンドラ様。どうか本拠にお戻りください』

『我々は頭首と争いたいわけではありません』

『御身は招集会を控えております。此処で何か問題が起きては、他の支援者たちに付け入る隙を作ることとなるでしょう。〝サラマンドラ〟の為にも宮殿でお控え下さい』

 

 嘘だ!! そう叫びたい思いを必死に抑えた。そんなこと欠片も思ってないくせに!! 泣きたい気持ちも押さえ付けた。

 言葉の端々に聞こえてくる彼等の本音。魔王の事なんて知っているはず、少なくともこの〝神隠し〟が普通でないことを理解している。〝階層支配者〟が出なければならない案件だとも。だからこそ、連れ戻して問題に発展させたい。だからこそ、抵抗し暴れる大義名分を持ちながら展示物を破壊し問題を起こしたい。

 

 こんな、十程度の餓鬼が上に立つのがキニクワナイ。

 

 十を超え、〝階層支配者〟となり、甘えることが許されなくなった。兄も姉も私の元から消えていった。仲間だと思っていた者達はみんな私を疎ましく思っていた。

 

 私は、一体なんのために頑張っていたのだろう。

 

 そんなに嫌ならなんで私を頭首にした。マンドラ兄様を頭首にすればよかったじゃないか。

 もう嫌だ。そんなに嫌ならこっちから辞めてやる……。そんなに嫌なら、私なんか居ない方がいいなら、邪魔だと思うなら私から居なくなってやる!! 

 

 子供ながらの癇癪と言うべきか。自分の心の中だけで呟いていたつもりの感情の波は、とうの昔に漏れ出ていたようで、はっと顔を上げるとポカンと、しかし、ニンマリと黒い笑みを浮かべた大人達の顔がサンドラを見つめていた。

 

 サンドラの額にじっとりと汗が吹き出る。後悔や懺悔等の感情が渦潮のように深く、深く自分の中に根付いていくのが分かる。

 咄嗟に下げた顔はどうなっているんだろう。なんて、よく分からない思考が浮かんでは失せ、まともな思考が出来ない。

 

 もう、ダメだ。

 嫌だ、なんで、なんで私ばっかり。

 

 嗚咽混じりの涙と共に、

 私の頭をそっと暖かい何かが包み込んだ。

 




お読みいただきありがとうございます。

ま、曲りなりも主人公なんで、多少はね?
あと、問題児の子供たちはもっと泣いたりしていいと思うの。
十六夜君とかは、ちょっと例外感あるけど。

では、また次回〜

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