問題児たちと一緒にただのオッサンも来るそうですよ?   作:ちゃるもん

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投稿です。

私は何を書きたかったんだ……(困惑)

では、どうぞ。


第10話 なぜ

 あれから少しして、リリは泣き疲れたのか義仁の腕を握ったまま眠っていた。それを確認したジンが義仁に声を掛ける。

 

「リリ、眠っちゃいましたね」

「そうですね」

 

 義仁は反対の手でリリの頭を撫でながらジンに返事を返す。あれからそれなりに時間が経ち、かつ喉へのダメージ自体はなかったため最初に比べ声を出す事が苦ではなくなっていた。その姿に黒ウサギが頭を下げた。

 

「義仁さん……で、宜しかったですか?」

「ええ。木島義仁です。黒ウサギさんでいいのかな?」

「はい。黒ウサギは黒ウサギです。そして、この度はノーネームを、リリを救っていただきありがとうございました」

 

 頭が地面に付くのではないのか。そんな錯覚を覚えてしまうほど深く下げられた頭。黒ウサギに続きジンも深く頭を下げる。しかし、困ったのは義仁の方だ。二人がこうして頭を下げている事が何故かを理解できる故にどう対応すべきかを測りかねているのだ。

 

 しかし二人は、義仁が困っていることを見て見ぬふり。そうしなければ謝罪なんて出来るはずもないからだ。頭を下げたまま黒ウサギは言葉を続ける。

 

「義仁さんがいなければリリは連れ去られ、私たちはフォレス・ガロに降伏するしかありませんでした。私たちがこうしてここにいられるのは一重に義仁さんが体を張ってリリを助けてくれたからです。そして、一度ならず二度までも命の危機に晒してしまい、本当に申し訳ありませんでした」

「僕も、リーダーとしてもっと気を付けるべきでした」

 

 ジンと黒ウサギが謝罪の言葉を口にする。その間には義仁の中でどう対応するべきかは決まっていた。

 

「顔を上げてください。気にしていないと言えば嘘になりますが、」

 

 そこで一度言葉を切り、リリの頭を撫でる。そして、顔を上げていた黒ウサギとジンを見る。

 

「こうして生きていられる。謝罪は受け取ります。ですが私がこうして生きていられるのは、あなた達がいたからこそ。なので、私からも助けていただきありがとうございます。そして、ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」

「わ……私たちは当然のことをしたまでで」

「それを言ったら私も自分の好きでリリちゃんを助けようとしただけですから」

「で、ですが」

「でしたら、お互い様とは違う気がしますが、そんな所で収めませんか? そうした方がお互い楽ですし」

 

 黒ウサギは納得のいかない様子だが、これ以上自分の考えを押し付けようしたら失礼にあたる。義仁が作り出したかったのはこのような、うやむやな状況。仕事相手との間を取り敢えず保つにも、切るのにも使う技術の一つだ。

 

「……分かりました」

 

 渋々と言った様子で黒ウサギが答える。計画通り。とほくそ笑んでいるわけではないが、下手に話が拗れずほっとする。義仁が一人胸を落ち着かせていると、黒ウサギが再び口を開く。

 

「ところで……失礼だとは分かっているのですが、一つお聞きしてもいいですか?」

「なんですか?」

「その、なぜリリを助けたのですか? あ、い、いえ助けなくてよかったと言っているわけではなくてですね、興味本位と言いますか、なんと言いますか……リリとはあの日に初めて会ったはずなのに、どうしてあそこまで出来たのかと思いまして」

 

 黒ウサギは義仁の様子を伺いながら言葉を紡ぐ。そして、黒ウサギが口を閉じた。義仁はリリを撫でていた腕を自身目線まで持ってきて視界を隠す。それは滲み出てきたものを見られたくない故か。

 

「なぜ、か……ですか。一言で言えば、彼女が命の恩人だから……ですかね」

「命の、恩人」

「まともに会話したのはせいぜい二時間あるかないか。彼女はね、泣いてくれたんだ。その涙に何が込められていたのかを私は知らないし、分からない。だけど、確かにその涙で私は救われた。生きる為に足掻くのもいいんじゃないのかと、そう思えた。この子は、私に光をくれたんですよ。だから、助けた。死ぬかと思った、怖かった、悔しかった。ナイフを刺された時には意識が飛びそうになったし、必死に叫んでいるこの子を見て早く諦めてしまえばいいってずっと考えてた」

 

 義仁は腕を退け、視線をジンと黒ウサギに向ける。

 

「リリちゃんを助けたのは、そんな臆病者なんです。それに、理由はただの勘違いかもしれない。少し話が逸れましたが、そんなところです」

「……立派じゃないですか。少なくとも、僕じゃ真似なんてできないと思います。義仁さんが臆病者だろうと、リリを助けたのが勘違いだとしても、その行動は褒められるべきものです。義仁さん。あまり自分のことを蔑まず、もっと胸を張ってください」

「そう……ですか。そう、ですね」

 

 義仁は視線を外し、天井を見上げながら呟いた。そこで、ふと思い出し、話を切り上げるとしても良いタイミング。善は急げの精神で口を開いた。

 

「ところで、話は変わりますが……今度で良いので箱庭の一般常識を教えて貰えませんか?」

「いいですよ。それぐらいお安い御用です!!」

「本当ですか!? ありがとうございます。いえ、正社員にはなれないとふんでアルバイトやパートとして何処かに雇ってもらおうかと思っているのですが、いかんせん箱庭の一般常識を全く知らないものですから。ですが、お二人に教えてもられるのなら百人力ですね」

 

 一人意気揚々と話す義仁に対し、何とも言えない表情でそんな義仁を見る黒ウサギとジン。その二人の表情に義仁は気付き、どうかしたのかと問いかけた。

 

 その結果、義仁の計画は根元から瓦解した。一難去ってまた一難。もう一度何が出来るか考えなければならないと、義仁は肩を落としたのだった。

 




お読みいただきありがとうございます。

えー、なぜここまでひどい駄文ができたかと言いますと……ですね……その……お昼寝しながら書いちゃってました(・ω<) テヘペロ

すいません、次回はちゃんと書きます。

誤字脱字報告、感想、アドバイス等があればよろしくお願いします。

では、また次回。

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