ヘタレを斬る
サヨ達が羅刹四鬼と戦いを開始したとき、別の場所である男に苦難が迫ろうとしていた。
深夜の山岳部で複数の集団がいた、そのうちの一人は縛られて身動きが取れないでいる、その男は賊の一味である、縛っているのはラバックでその後ろにいるのはエア達である。
「知っていることはもうないな?」
「ああ、ない」
「じゃあ、こいつにもう用は無いな」
「・・・ラバさんこの人どうするんですか?」
「さすがに君達の前で殺すのは気が引けるからな、このまま放っておく」
「そうですか」
エアはホッとしたのを表情に出さないようにしたつもりであったが思いっきり表情に出ていた、ラバはそのことに気づいたが口にしなかった。
「それにしてもラバさん知っていることを嘘をつかず全部話せって暗示かけることよく思いついたね」
「たいしたことじゃないさ」
ファルに感心されてラバはまんざらでなかった、鼻高々である。
「それにしてもこの領地の太守と賊が組んでいたことに驚きました」
「このご時世だ、何があってもおかしくないさ」
「太守の人どうなるんでしょうか?」
「さあな、それはジャドのおっさんに任せるとしよう」
ルナにそう言ったがその太守は後日始末することになるだろう、そのことをあえて言うつもりはなかった。
「ラバさん、私達と一緒に来てくれてありがとうございます」
「気にすることないよ、ジャドのおっさんは密偵チームの指揮をとらないといけないんだから」
そう言ったラバにある思惑があった、(辺境の賊なんてちまちま倒したところでたかがしれてるからな、それよりこういう情報を手に入れた方がおいしいぜ、さらにでかい情報を手に入れれば・・・)
ラバはナジェンダの姿を思い浮かべていた、ただし、想像のナジェンダの姿は全裸である一言を言っている。
よくやったぞラバ
情報ゲットしてナジェンダのポイントアップだぜ!!
とてもしまりの顔になっていることにラバ本人は全く気づいていないのであった。
「・・・ラバさん、本音が顔にでてますよ」
「おっといけねえ」
ルナの一言に慌ててヨダレをふくラバを見てある程度の差のあるものの三人は呆れるのであった。
「ところでラバさん告白まだなんだよね?」
「ま、まあね」
ファルの質問に慌ててラバは返答した、以前ラバは帝具で操作された時に殺し屋になった理由を三人に話してしまったのである。
「早いとこ告白しちゃえば?」
「そ、そうは言っても・・・もしダメだったら、いままでの関係が壊れてしまいそうで・・・」
「男のくせにウジウジしないでさっさと告白して砕けちゃいなよ」
「砕けるの前提にしないでくれる!?」
「だってラチがあかないし」
「長年にわたる温めに温めてきた恋なんだよ!?人事で済まさないでよ!?」
「だって人事だし」
「それはそうだが・・・」
「それにラバさん、忘れてませんか?」
「ルナちゃん、何を?」
「ハウルさんの事を」
「あいつか・・・」
ハウル・・・ナジェンダさんにプロポーズした王族、そのあと王族の身分を捨ててナジェンダさんを追っかけて革命軍に入った、フラれてもめげずに追っかける根性はちょっぴり認めてやってもいい、ちょっぴりだけだがな・・・
「ハウルさんすごいよな、王族の身分捨ててナジェンダさん追っかけてくるんだから」
「お、俺だって商人の身分を・・・」
「王族と商人とじゃ違いすぎるじゃない?」
「そ、そんなことはないさ」
身分の違いなんて問題じゃない、大事なのはどれだけナジェンダさんを想っているかだ!!
「ハウルさん改めてナジェンダさんにプロポーズすると言ってました」
「何!?」
「その際にハウルさんが造ったナジェンダさんの象牙細工の像をプレゼントするつもりです」
「あの野郎・・・」
手作りのプレゼントとは王族らしくねえじゃねえか・・・まずい、ナジェンダさん、こういうの好きそうだ・・・
「ラバさんはどうするのですか?」
「お、俺は・・・」
どうする、手作りのプレゼントならいいのを造れる自信があるが、あいつの真似っていうのは気に入らねえな・・・
「ところで話は変わるけどラバさん貸し本屋やってるんだよね?」
「そ、そうだけど・・・」
・・・ファルちゃんいきなり話を変えてどういうつもりだ?何か嫌な予感が・・・
「またまた話変わるけど、私からナジェンダさんにラバさんの想いなりげなく言ってあげようか?」
「はあ!?」
「だってラバさんいつまでたっても告白できなさそうだし」
「そ、そんなことは・・・」
「確かにファルの言う通りですね」
「ルナちゃんまで・・・」
「じゃあそれでいくね」
「まっ、待ってくれ!!」
「遠慮することないよ」
「そんなんじゃない!!」
「まあまあ、ラバさん、ファルに任せてみればどうです?」
「冗談じゃない!!」
・・・もしかして突然貸し本屋の話が出てきたのは・・・くそ、手を打たないとまずい・・・
「俺の貸し本屋の本いくらでも貸してあげるからそれだけはやめてくれ!!」
「何の話?」
「だから俺の想いをナジェンダさんに言うのをやめてくれって言ってんだ!!」
「でも私達お金あんまり持ってないし」
「ただでいいから」
「でもラバさんに悪いし」
「そんなの気にしなくていいから、とにかくナジェンダさんに言うのだけはやめてくれ!!」
「ファル、せっかくラバさんが貸してくれるのです、ご好意に甘えましょう」
「そうだね」
本を借りる気満々の二人をよそにエアは心配そうにしている。
「二人ともよそうよ、ラバさんに悪いよ」
「私は貸してって言ってないよ、ラバさんが言ってきたんだから」
「でも・・・」
「・・・いいんだよ、エアちゃん、いつまでも告白できないヘタレの俺が悪いんだから・・・」
「ラバさん・・・」
「そういうこと、それにエア、あんただって人のこと言えないよ」
「ファル!!」
「エアちゃん、何?」
「な、何でもないです!!」
その時ラバは慌てるエアを見て何も感じなかった、全く余裕がなかったためであるが、後日あのような事態が起こるとは予想もしなかったのである、ちなみにこの任務が終わってから本を借りに行くのだが、そのことをギルベルダ、ミーラ、ロリスの耳に入ることになり、彼女達にも本を貸すことになり最終的に店の本の半分を持って行かれることになるのである、この時のラバは知るよしもないのである。
小説の文章が書けないのでセリフの文章中心になりました、これからもこういう文面になります、応援お願いします。