サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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3ヶ月ぶりの投稿です、文章は相変わらず下手ですがお楽しみください、今回登場するチホシはアニメ15話でセリューに殺された盗賊の女性です、さらに初登場のキャラが出ます、ではご覧あれ。


第九十二話

  凶虫を斬る

 

 

 

サヨはチュニの人間性を目の当たりにして呆れ返っていた、その場を離れてしばらく歩いていると見覚えのある人に出会った。

 

 

「チホシ、久しぶり」

 

「久しぶりね」

 

 

革命軍の女性の軍服を着た女性、かつてセリューに捕まって処刑されかけたがカグラに助けられて九死に一生を得たのである。

 

 

「あなたも参加してたんだ」

 

「うん、私の臣具夜に便利だから」

 

 

チホシの臣具ガウシアは二種類の光を放つことができる生物型なのである。

 

 

「ところでチュニと何かあった?」

 

「なんで?」

 

「さっきあなたとチュニ言い合いしてたでしょ」

 

 

サヨはさっきのいきさつをチホシに話した、するとチホシはなるほどと納得した。

 

 

「チュニがろくでなしだってわかってがっかりした?」

 

「多少はね・・・」

 

「シェーレを散々金づるにしてきたんだからね、無理ないけど」

 

「いくらお金を全額返したとはいえ釈然としないけど」

 

「チュニのことであまり気にしない方がいいよ」

 

「うん、そうする」

 

 

サヨはチュニが本部でもろくでもないことをしているかチホシに聞いてみようとしたがやめた、きっとそうにちがいないからと思ったからである、実際そうなのだが・・・

 

 

「それにしてもここ虫多いわね」

 

「うん、今呼び寄せたから」

 

「呼び寄せた?」

 

チホシの説明によるとガウシアの赤い光には虫を引き寄せる性質があるらしい、光を調整することで特定の虫を呼び寄せることもできるのだ。

 

 

 

「そうなんだ」

 

「あまり役に立たない能力と思ったでしょ」

 

「そ、そんなことはないよ」

 

 

実際サヨはこの能力を微妙だなと思ったのである、でも実際そうでもなかった。

 

 

 

「普通の虫なら微妙だけど」

 

「普通の?」

 

 

どういうこととサヨは質問しとうとした、すると誰かがチホシを呼ぶ声がした。

 

 

「おーい、チホシ」

 

 

声がした方に振り向くと複数の人影があった、サヨはその人影の二人に見覚えがあった、メイド衣装の二人に。

 

 

「ギルベルダ、カサンドラ、あなた達も参加していたんだ」

 

 

「おお、サヨか、久しぶりだな」

 

「お久しぶりです、サヨさん」

 

 

 

この二人は暗殺結社オールベルグの殺し屋だった、オールベルグは数年前に壊滅したが。

 

 

「全く人使い荒いよな」

 

「仕方ありません」

 

 

ぼやくギルベルダをカサンドラがなだめている、サヨはその光景を見てこの二人本当に仲がいいなと思うのであった

、そして二人の後ろにいる双子の少女を見た、サヨはこの双子と初見である、だがこの双子に心当たりがあった。

 

 

「あなた達は・・・ミーラとロリスね」

 

「何故私達の名前を?」

 

「あなたとは初対面のはず」

 

「チェルから聞いていたのよ」

 

 

 

実際聞いていたのはマインからだけどチェルから聞いたことにした方が面倒にならないと思ったのである。

 

 

「なるほど」

 

 

二人はあっさり納得した、聞いていた通りこの双子は単純な女の子であった、そしてサヨは次の手を打つ。

 

 

「あなた達の服素敵ね」

 

「もちろんですわ」

 

「特にその藍色のミニスカート、最高に可愛いわよ」

 

「当然ですわ」

 

 

サヨが双子の服を褒めたことで二人はすっかり上機嫌になった、チェルシーはサヨに双子にあったらとりあえず着ている服を褒めるようにあらかじめ言っていたのである、サヨは実際双子の服はとても可愛いと思ったのだが。

 

 

「なあ、アタシの用事先に済ませたいんだが」

 

「どうぞ」

 

 

ギルベルダは盛り上がっている私達にお構いなしに割って入ってきた、双子は少し不服そうである。

 

 

「チホシ、キラービートル呼んでくれ」

 

「キラービートル!?何言ってるの!?」

 

「ちょっとした肩慣らしだよ」

 

「でもあれは特級危険種よ?」

 

「心配すんな、すぐ片付けるから」

 

「でも」

 

「いいからやれ」

 

「わかったわよ」

 

 

チホシはギルベルダに半ば脅迫され渋々赤い光を頭上に照らした、特級危険種を呼び出す・・・物騒極まりない、大丈夫なのだろうか。

 

 

間もなくどこからか羽音が聞こえてきた、それもとても大きな羽音が、そしてその主が姿を現した。

 

 

ブウウウン

 

 

それは体長8mを超えるクワガタ虫であった、漆黒の外装に覆われたその姿はまさに脅威であった。

 

 

「ひいいい!」

 

「来た来た」

 

 

怯えるチホシに全く目もくれず、現れたキラービートルに喜ぶギルベルダ、それを平然と見ているカサンドラと双子達、なんともシュールな光景であった。

 

 

「どうするのよ、来ちゃたじゃない!!」

 

「いいんだよ、それで今から片付けるから」

 

「・・・わかった、ちゃんと片付けてね」

 

 

そう言ってチホシは一目散にその場を去って行った、その間にも虫は私達に迫って来る、ギルベルダ達は全く慌てていない。

 

 

「大丈夫なの?」

 

「ああ、それよりお前は逃げなくていいのか?」

 

「大丈夫だと思う」

 

「じゃ、見物してな」

 

 

あの虫はそれなりに脅威と感じるが、この前の古代危険種に比べたらそれほどでもない。

 

 

 

「それじゃあ・・・」

 

 

ギルベルダは右腕をぐるぐる回し始めた、ギルベルダの臣具は腕を回せば回すほど威力が上がるのである。

 

 

 

「それじゃあ、行くぜ!!」

 

 

準備を終えたギルベルダは意気揚々とキラービートルに向かって行った、キラービートルもギルベルダを目視し食らい付こうと襲いかかった。

 

 

「食らいな!!」

 

 

グシャ!!

 

 

 

ギルベルダの拳はキラービートルの顔面に炸裂した、キラービートルの頭部は木っ端みじんになり目やあごとかが飛び散っている、危険種とはいえ無残な光景である。

 

 

「すごいわね・・・」

 

「いや、まだまだだな、アタシの力はこんなもんじゃなかった」

 

「どういうこと?」

 

 

ギルベルダの説明によるとかつて一命を落とした際、今は亡きメラルド・オールベルグの秘術によって蘇生した際に大幅に力が衰えてしまったのだ。

 

 

「ある程度戻ったが全力とは程遠い」

 

 

ギルベルダの無念そうな顔を見てサヨは思った、力が戻らないのが悔しいのかメラルドの力になれなかったのが悔しいのかあるいは両方なのか、質問しようかと思ったがしないことにした。

 

 

 

「まあ、地方の賊程度ならこれで十分だな」

 

 

引きずらずにあっさりと切り替えたギルベルダを見て単純も時には必要だと思うサヨであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サヨ達が西方へやってくる数日前、さらに遠方の西の地、そこは特級危険種がウヨウヨしている地域、当然人間は住んでおらず人間はいないはずなのだが、古びた祠から二人の男が現れた、その二人は見るからに一般人ではない、人間離れした雰囲気を出していた、一人は長身でもう一人は髭面の巨漢の男であった。

 

 

「二つ目回収だな」

 

「うむ」

 

 

現れた男達の名は長身の男がイバラ、髭面の男はシュテンである、二人は羅刹四鬼と呼ばれる大臣お抱えの処刑人であった、二人は帝具を回収するためにこの地へ赴いていたのである。

 

 

「鏡の帝具か、どんな能力なんだろうな」

 

「わからん、未知の帝具だからな、検討もつかん」

 

 

この古びた祠には伝説があった、はるか昔から魔鏡を祭る祠として伝えられていたのである、それを確認するためにこの二人が派遣されたのである。

 

「にしても鏡か、お前に全く似合わねえな」

 

「ぬかせ、お前もだろ」

 

「とにかくさっさと帝都へ帰ろうぜ」

 

「少し待て」

 

シュテンは懐から布を取り出し鏡を包んでいく、ごつい体格に似合わない丁寧な作業であった。

 

 

「面倒くせえなあ」

 

「そういうな、もし傷でもつけたらワシら打ち首だぞ」

 

「そいつはおっかねえな・・・」

 

イバラは身震いした、大臣ならやりかねないからである。

 

 

 

「とにかく俺達は帝具を二個回収したわけだ」

 

 

イバラは手にしていた槍を見てニヤニヤしている、この槍は祠に赴く前にとある武芸者から強奪したものであった。

 

 

 

「あの武芸者、少しはできたが所詮生身の人間だ、俺達羅刹四鬼の敵じゃねえ」

 

「ああ」

 

「この槍なかなか面白い能力だったな」

 

「ああ」

 

 

シュテンは頷いたが、作業に集中するためにイバラの話をたいして聞いていなかった。

 

 

「にしても・・・くくっ」

 

「どうした?」

 

「ああ、誰かここへ行くかくじ引きで決めただろう」

 

「そうだが」

 

「その時ハズレくじを引いたメズの悔しがる様を思い出したら笑いが・・・くくく」

 

「お前がメズをからかったからだろう、その後メズが暴れて大変だったがな」

 

「全くあれくらいで暴れるとは、ガキだな」

 

「人のこと言えんだろう」

 

「へいへい、ところで終わったか?」

 

「ああ」

 

「じゃあ、行くか」

 

「うむ」

 

イバラとシュテンは駆け出した、まさに目にも止まらぬ速さであった、大臣に帝具を渡すために全速力で走り抜けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




チホシの臣具の赤い光、なかなか面白かったでしょう、次回はとあるキャラが登場します、お楽しみください。

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