サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第八話

  邂逅を斬る

 

4月22日

 

今日はレオーネと共にコボレ兄弟を暗殺するため帝都に来ていたが、レオーネを追いかけている借金取りに遭遇して、レオーネとはぐれてしまった。

 

「まいったわね、ここどこかしら、急がないと時間に間に合わない」

 

サヨが困っていると。

 

「ややっ!!私の正義センサーに反応が、そこのあなた、何かお困りですか?」

 

警備隊の制服を着た女性が声をかけてきた。

 

「お困りなら私がお手伝いします」

 

「(どうしよう、でも、下手に断ると怪しまれるし)ちょっと道に迷って、串焼き屋に行きたいんですけど」

 

串焼き屋は借金取りに追われる直前にいた所である。

 

「そうですか、では、私が案内します、ついてきてください」

 

「は、はい」

 

サヨは女性についていき、間もなく着いた。

 

「はい、着きました」

 

「ありがとうございます」

 

「いえいえ」

 

女性はニッコリ微笑んだ。

 

「失礼ですが、あなたは地方の人ですよね、なぜ帝都へ?」

 

「ええ、故郷の村のために出稼ぎに」

 

「それは立派です、仕事は見つかりましたか」

 

「まあ、一応」

 

「もしよかったら、警備隊に入りませんか」

 

「いい話だけど連れと相談しないと」

 

「わかりました、返事はいつでもいいですので待っています」

 

「ありがとう」

 

「私はセリュー・ユビキタスです、あなたは」

 

「私はサ・・・(本名はまずい)、サチ、私はサチよ」

 

「サチですか、いいお名前ですね」

 

「ありがとう、ところでさっきから気になっていたんだけどあなたの足元の・・・」

 

サヨはセリューの足元にいる犬のような生物が気になっていた。

 

「はい、この子はコロです」

 

「コロ?」

 

「はい、コロは生物型帝具なのです、誰も動かせなかったのですが、私の正義の心に反応してくれたんです」

 

「(やっぱりね、文献に書いてあったのとそっくりだったからもしやと思ったけど)」

 

サヨは表情にださないようにした。

 

「では、これで失礼します」

 

「うん、ありがとう」

 

セリューは走り去っていった。

 

「セリューか、いい人だったわね、でも、次に会ったら敵になるかも、もう会うことがなければいいんだけど」

 

サヨが考えこんでいると。

 

「おーい、サヨ」

 

レオーネが声をかけてきた。

 

「ふう、やっと、借金取りをまいたよ」

 

「なにを言ってるの、そもそもレオーネが・・・」

 

「ぐずぐずしてる暇はないよ仕事、仕事」

 

サヨにお構いなしにレオーネは走り出した。

 

「あっ、待ってレオーネ」

 

サヨは釈然としないまま走り出した。

 

その後、二人は何事もなく暗殺任務をこなした、サヨはナジェンダにセリューと生物型帝具のことを報告した。

 

4月23日

 

サヨは帝具を手入れしているアカメと共にいた。

 

「刀の手入れ、大変ね」

 

「ああ、かすっただけでもあの世行きだからな」

 

「うん、そうね」

 

サヨは村雨を眺めている。

 

「(村雨か、世間では呪われた妖刀と噂されているけど、こんなキレイな刀が呪われた妖刀なのかな、噂なんて全然あてにならないし、ナイトレイドがいい例だし、きっと間違われて伝わっているのよね)」

 

サヨは噂を全否定していた。

 

「(それにしても、見る度に好きになっていくわねこの刀)」

 

サヨは村雨にメロメロになっていた。

 

「(アカメが仕事がない時に村雨を貸してくれないかな、でも、アカメの大切な帝具だし、でも、何もせずにあきらめるのも・・・)」

 

サヨは葛藤している。

 

「それにしても本当にキレイ・・・」

 

「今、なんて言った?」

 

アカメは振り向き、サヨに言った。

 

「(しまった、つい口に出ちゃた!)」

 

サヨは慌ててごまかそうとした矢先に。

 

「アカメの唇がキレイって言ったんだよ」

 

レオーネが突然現れた。

 

「な、何を言っている?」

 

アカメは慌てている。

 

「そのままの意味だよ、サヨはお前の唇にメロメロなんだよ」

 

レオーネはニヤニヤしている。

 

「本当か?」

 

アカメはサヨを問い詰めている。

 

「そ、それは・・・(どうしよう、本当のことを言うには)」

 

サヨは返答に困っている。

 

「どうなんだ?」

 

「そ、その・・・ゴメン、私、アジトの掃除があるから」

 

サヨは慌ててその場を走り去った。

 

「・・・」

 

アカメは無言で見ている。

 

「お前の唇はキレイだからね、私もいただいちゃいそうだよ」

 

「レオーネ!冗談にもほどがあるぞ」

 

アカメは怒ってその場を去った。

 

「まったく、アカメは真面目だねえ、そこがかわいいんだけど」

 

レオーネがニヤニヤしていると、ラバが現れた、ラバの表情はシリアスだった。

 

「なあ、サヨちゃんが見とれてたのって村雨じゃないかな」

 

「村雨?そうだとしても村雨はアカメの帝具なんだし、別に・・・」

 

ラバの表情は一層重々しくなった。

 

「俺、村雨の不吉な噂を聞いたことあるんだ」

 

「噂?」

 

「ああ、村雨は所有者でもずさんに扱えば死に導くらしいんだよ」

 

「おいおい、そんなわけが・・・あっ!」

 

レオーネは以前アカメが標的の護衛に村雨を手渡したことがあった。

 

「確かに、腕利きの護衛で村雨をおぞましいと言っていたからそいつに村雨を手渡して怯ませて仕留めたって言ってたな」

 

「うん、それが呪われし妖刀の由縁だという噂だよ」

 

「でもなあ、とても信じられないよ」

 

「だから、あくまで噂だよ」

 

「まあ、アカメにはそれとなく言っておくか、あいにく私はもうじき仕事で帝都に行かないといけないから」

 

「たしか姐さんイエヤスの奴と組むんだっけ」

 

「そうだよ、じゃ、そろそろ行くわ」

 

「ああ、気をつけて」

 

レオーネは駆け足でその場を去った、二人はその後に起こることを想像すらしていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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