サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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今回も新キャラが登場します、さらに衝撃の展開になります。


第六十七話

   本部を斬る(中編)

 

 

「・・・すごい」

 

私達は革命軍の本拠地に到着していた、壮大な古城がそびえ立っていた、所々崩れているものの私の想像を上回っていたのである。

 

「この古城は数百年使われていなかったが総大将達が改築して使えるようにしたのだ」

 

 

並大抵の苦労じゃなかったはず・・・それも帝国を打倒して民が安らかに暮らせる国を造るという熱意があってのことね・・・

 

 

「私、初めて見ましたが本当にすごいですね」

 

シェーレが本拠地の古城に感激している、するとマインは困った顔をしている。

 

「・・・シェーレ、アタシ達ここに来たことあったでしょ?」

 

「そうでしたか?」

 

「そうよ」

 

 

シェーレ・・・あいからわず忘れっぽいわね・・・そうサヨが考えていると誰かが私達に話かけてきた。

 

 

「あなた達ここに来たんだ」

 

話かけてきたのは異民族の少女であるカーコリッテであった。

 

「あっ、カーコ、本部にいたんだ」

 

「うん、でもすぐ仕事で遠出するけどね」

 

「そうなんだ、一つカーコに聞きたいことあるんだけど」

 

「何?」

 

「ここに来る途中南の異民族の人何人も見かけたんだけど」

 

「まあ、私達の国は帝国に奴隷扱いされてるから帝国に恨み持っている人も少なくないのよ、食い扶持稼げるなら恨みがある帝国よりも革命軍の方がましって考えている人もいるわ」

 

 

「それなら南の異民族と革命軍が同盟を組むってできないのかな?」

 

「それは無理ね、私達の国のお偉いさんは帝国のおこぼれにすっかり満足してしまっているから」

 

「そう・・・」

 

 

残念ね・・・南と同盟を組むことができたら少しは有利にできたかもしれないのに。

 

 

「まあ、私も食べるために仕事に励まないといけないけどね」

 

「そう、がんばって」

 

「ありがとう、ところであなた達もしかしてエヴァさんに呼ばれたの?」

 

「そうだけど」

 

「そう・・・一つ言っておくけどあの人を人間と思わない方がいいわよ」

 

「それってどういう・・・」

 

「実際会って見た方がわかるわよ」

 

 

カーコは意味深な言葉を残して去って行った・・・どういう意味なのかな、まあ会って見ればわかるわね・・・

 

 

ナジェンダ達は古城に入り通路を歩いていく、本拠地だけあって人が多かった、しばらく歩いていくと食堂らしき部屋が見えた、すると誰かが私達を呼び止めた。

 

 

「久しぶりだな、ナジェンダ」

 

ボスを呼んだのは金髪の男性だった、歳は30前であろう、一目見ただけでもかなり強いとわかった、この人は何者なんだろう?

 

「お久しぶりです、ヘミ将軍」

 

ボスは頭を下げて礼をした、この人将軍だったんだどうりで強いと思った。

 

 

「俺はもう将軍じゃないぞ、そうかしこまることないぞ」

 

「・・・それではヘミ殿」

 

「まあいいや、ところでメンバー全員で本部へ何しに来た?」

 

「エヴァに呼ばれまして」

 

「なるほど・・・まあ、めんどくさいことにならなければいいがな」

 

 

めんどくさい?なんか不安しか感じないけど・・・

 

 

「ところでナカキド殿は?」

 

「ああ、ナカキドさんは長期の軍事演習に出かけてるよ、俺はその間留守番というわけさ」

 

「戦上手のナカキド殿の指南なら兵の練度も上がるだろう」

 

 

ナジェンダとヘミを見て帝国軍の将軍にも大臣に反抗する人がいてサヨはうれしかった、そうしているうちに二人に話かける人が現れた。

 

 

「ここであなたと会うなんて奇遇だね」

 

その人は温和そうな黒髪の男性で30ぐらいだろうか、失礼だがあまり強そうに見えない。

 

 

「これはウォーロック殿、お久しぶりです」

 

ボスが頭を下げた、つまりこの人は革命軍の幹部かな?

 

 

「ウォーロックさん、やっとお目覚めですかい」

 

「ゆうべは飲み過ぎちゃってね、二日酔いで起きられなかったよ」

 

「あいからわず戦場から離れるとだらし無いですね」

 

「わかってはいるんだけどね・・・」

 

 

ウォーロックは頭をかいてごまかそうとした、それを見てサヨはこの人大丈夫かなと思った、ナジェンダはその様子を見てサヨに語った。

 

「彼を軽んじるなよ、彼は用兵術に関しては私を上回るのだ、見た目で断定するな」

 

「は、はい、すいません」

 

サヨは頬を赤くして謝罪した、だらし無いだけの人が幹部が勤まるわけがないから。

 

 

「別に褒められたことではないよ、所詮用兵術は人殺しの手段でしかないからね」

 

 

・・・この人は戦争そのものを嫌悪しているんだ・・・エスデスとは正反対の人間ね。

 

 

「それでも多くの人を救うためには帝国と戦わなければならないからね、ジレンマってやつだよ」

 

「そうだな、俺達ができることは戦うことだ、勝たなきゃ全て終わるからな」

 

「エヴァの口癖だったな、勝てば英雄、負ければ罪人だと」

 

「まあ、彼女の言ってることは的外れではない、所詮戦に正義はない、勝った者が主導権を握れるから」

 

 

ヘミとウォーロックの会話を聞いてサヨは不思議そうに見ている、その様子に二人は気づいた。

 

 

 

「どうした?」

 

「あ、はい、革命軍の幹部の人が正義を否定しているのが以外だなあと思いまして」

 

「まあ、私が正義を否定するのは少々まずいんだけどね、けど私は自分自身が正義と思うのは嫌悪感を感じるのだよ」

 

「そうなんですか?」

 

 

「安全な所から部下に危険な任務を与える時には特にね、君達ナイトレイドに至っては死と隣り合わせの危険な任務につかせておきながら悪名を背負わせて大衆から忌み嫌われているのを見るとね」

 

ウォーロックが気が滅入っているのを見てナジェンダは。

 

「ウォーロック殿が落ち込むことありません、私達は自分の意思で汚れ仕事に就いたのです、どれだけ人々から忌み嫌われようとも新国家の設立のためならなんてことありません」

 

 

「・・・そう言ってくれると心が安らぐよ」

 

ウォーロックはナジェンダの言葉に微笑んだ、ウォーロック自身も正々堂々戦って殺せば称賛され卑怯な手で殺せば罵倒されるという戦争の不可解さにうんざりしていたからである。

 

 

「ウォーロックさん、気持ちはわかる、戦ほど理不尽なものはない、だが帝国に勝たなきゃ全てが終わるからな」

 

「そうだな、私もいつまでもぼんやりしているわけにいかないな」

 

ヘミの激励でウォーロックは気合いが入ったようである、すると後ろから女性の声がした。

 

 

「提督、やっと起きたんですか、溜め込んだ仕事は山ほどあるんですよ」

 

後ろに革命軍の軍服を着た女性がムッとした顔で立っていた、普段から真面目に仕事をやっていないようである。

 

「この人が真面目に仕事を励んだら嵐が来るよ」

 

「そんなんじゃまたエヴァさんに無駄飯食いと罵られますよ」

 

「それは一大事だね」

 

 

ウォーロックは緊張感のない返事をした、女性はますます飽きれ顔になった。

 

 

「あの、彼女は誰ですか?」

 

「ああ、彼女はユリリ、私の部下だよ」

 

そうなんだ、でも彼女なんか妙な雰囲気が・・・サヨが不思議に思っているとイエヤスがユリリをじろじろ見始めた、サヨがイエヤスをとっちめようとする前にユリリがイエヤスの視線に気づき一気に不機嫌になった。

 

 

 

「やめてください・・・私男大嫌いなんで・・・」

 

ユリリのイエヤスを見る目は汚物を見るようであった。

 

「・・・それでよくウォーロックさんの部下勤まりますね」

 

「まあ、この人は昼寝と紅茶にしか興味ないんでギリ大丈夫です」

 

 

ギリなんだ・・・かなり失礼な女性ね・・・よくこの人怒らないわね・・・

 

 

「まあ、彼女は狙撃の腕は立つからね、なにせユリリはかつてオールベルグに所属してたんだから」

 

「オールベルグ?」

 

 

「ああ、オールベルグは歴史のある暗殺結社だったんだ、革命軍も以前オールベルグに依頼をしたことがあった」

 

「だった?」

 

「かつて帝国の暗殺部隊の抹殺をオールベルグに依頼したんだよ」

 

「それってまさかアカメも狙われたんですか?」

 

「まあね、結局アカメが首領のメラルド・オールベルグを倒したことでオールベルグは壊滅してしまったんだ」

 

 

アカメが・・・そんな大物を倒すなんてさすがアカメね・・・するとユリリの顔が急に険しくなった。

 

 

「・・・アカメがメラルドさんを殺したせいでオールベルグは壊滅してしまったのよ、同性愛者としてつまはじきにされていた私を受け入れてくれた唯一の安らぎの場所だったのに・・・」

 

ユリリの身体から殺気があふれだしていた、その光景を見てサヨはゾッとした、そして心情も察した・・・首領を殺されたんだからアカメを恨むのもわかるけど・・・

 

「いつか私がアカメを殺したかったのに・・・」

 

 

アカメが言ってたっけ自分は多くの人を殺してきたからいつか恨みある者に殺されるだろうと・・・アカメは人々のために任務を行ってきたのにやるせないわね・・・

 

 

「その辺にしときな、アカメはもう死んだんだ、死んだやつに恨みを積もらせてもしょうがないぞ」

 

「・・・わかってますよ」

 

ユリリはヘミの戒めに渋々従った、革命軍には他にアカメに恨みのある人いるのかな・・・

 

 

「それでは私達はこれで失礼します」

 

「ああ、健闘を祈るよ」

 

 

健闘を祈る・・・まるで戦場に向かうような言い方ね、エヴァってどんな人なのかな?

 

 

ナジェンダ達は食堂を出てエヴァの部屋へ向かって行った、その様子をユリリはじっと眺めていた。

 

 

「どうした?」

 

「いえ、ちょっと・・・」

 

ユリリの視線の先はスサノオであった。

 

「お前、とうとう男に興味をもったのか?」

 

「そんなわけないでしょ、私は女子にしか興味ないんです、スサノオさんを見て女性型の帝具人間ってないのかなあと思いまして」

 

「今のところ女性型は発見されてないけど実在するのかな?」

 

「きっとあります、私は信じてます、そしていつかマスターになってあんなことやこんなことや・・・」

 

ユリリは妄想してよだれがあふれていた、それを見て二人は苦笑いしている。

 

「・・・まあがんばって」

 

突っ込んでも面倒になるだけだな、二人はそう思い何も言わなかった。

 

 

 

「そろそろエヴァの部屋に着くぞ」

 

いよいよか・・・一体どんな人なんだろうエヴァって人・・・皆の声を聞く限りかなり面倒なことになるような気が・・・

 

「エヴァさんか・・・正直会いたくないな」

 

ラバが女性に会いたくない!?そんなことあるの!?

 

 

「おい、その人そんなにブスなのか?」

 

イエヤスは小声でラバに聞いた、イエヤス・・・そんなこといちいち確認しない、その人一応革命軍の幹部なのよ。

 

「いや、エヴァさんは美人だよ、とびきりの、はっきり言ってすげえおっかないんだ」

 

美人なのにラバが会いたくないなんて、どんな人なの・・・サヨの不安はさらに増したのであった。

 

 

「エヴァの部屋に着いたぞ」

 

ナジェンダはノックをした、入れと言う声がしたので部屋に入って行った、部屋の中には背の高い金髪の女性が座っていた、歳は20代半ばだろう、この人から感じる威圧感は半端ではなかった。

 

「しばらくだなナジェンダ」

 

「何を言っている、お前が私達を呼んだのだろう」

 

タメ口!?ボスとこの人とはどういう関係何だろう?ナジェンダはサヨの表情を見て心情を察した。

 

 

「私とエヴァは帝国の軍学校の同期だ、卒業後も数々の戦場を共に戦ってきたのだ」

 

「よく言うな、お前私に何度も助けられただろ」

 

「私もお前を何度も助けたはずだが」

 

 

この二人堂々と口げんかができる関係なんだ、数年来の戦友って関係なんだ。

 

 

「ところで私達を召集した理由はなんだ?」

 

「それはな・・・一度ナイトレイドが一同に揃ったところを見ておこうと思ったのだ、どうせそのうち誰か死ぬだろうからな」

 

 

そんな理由で召集したの!?ふざけているにも程があるわよ!!

 

 

「冗談はよせ、本当のことを言え」

 

 

冗談なの!?さすがボス、長年の付き合いは伊達ではないわね・・・

 

 

「そうだな、では・・・」

 

すると突然ノックがした、皆は思わずドアの方を向いた、エヴァはさっきと同じく入れと告げる、ドアが開き人が二人入ってきた、サヨはその二人に驚いたのである、無理もなかった、その二人はメイドの衣装を着ていたからであったから、しかも背の低い方の女の子は四本腕だった、さらにその二人は強いとサヨは察したのである。

 

「あの、この人は?」

 

サヨの問いにエヴァは無表情に答えた。

 

 

「気にするな、こいつらはエキストラだ」

 

「ちょっと待て、誰がエキストラだ!?」

 

「ギル、エヴァさんの言うことをいちいち気にしないでください」

 

「そうなんだけどつい・・・」

 

背の高い方の女の子は悔しさのあまりじたんだを踏んだ、床を踏む力が強いため結構響いている。

 

 

「説明するのが面倒だからお前達で自己紹介しろ」

 

エヴァに指示されて二人は自己紹介し始めた。

 

 

「・・・アタシはギルベルダだ」

 

「私はカサンドラです、以後お見知りおきを」

 

 

ギルベルダ、カサンドラ・・・初めて見たときからこの二人から普通の人にはない何かを感じているのよね・・・

 

「あの、もしかしてあなた達オールベルグの・・・」

 

サヨは恐る恐る聞いてみた、根拠はないがそんな気がしてならないのである。

 

 

「ああ、そうだよ、アタシ達はオールベルグ・・・だったんだ」

 

明らかに返答にいらつきがあった、まあ、当然だろう。

 

 

「何故革命軍に?」

 

おそらくアカメと暗殺部隊を殺すために革命軍に入ったのであろうがアカメが死んだ今何故革命軍に残っているのだろうか、むしろそっちの方が気になった。

 

 

「言っておきますが私達は革命軍に入ったわけではありません、理由は・・・答えたくありません」

 

「こ、答えたくないなら答えなくても構いません」

 

 

そうよね、首領が死んでオールベルグが壊滅したんだから答えなくないのは当然よね・・・

 

 

「お前達、仕事の報告をしろ」

 

「はい、北東部の依頼はほぼ完了しました、北西部の依頼はあの娘達に任せています」

 

 

エヴァの指示でカサンドラ無表情で報告した。

 

 

「そうか、ではお前達には南西部に行ってもらう」

 

「わかりました」

 

カサンドラは承諾して部屋を出ようとする、だがギルベルダはサヨの方をじっと見ている。

 

 

「な、何?」

 

「お前がアカメの帝具を引き継いだサヨだな」

 

「そうだけど・・・」

 

「よかったじゃないか、アカメが死んだおかげで帝具使いになれたんだから、アカメが死んで万々歳だよな」

 

「!?」

 

明らかにギルベルダはアカメを侮蔑していた、サヨはさすがに腹を立てて文句を言おうとした、だがその時。

 

 

「・・・おいてめえ、なんて言った?」

 

レオーネが先に口を開いた、レオーネは怒り心頭であった。

 

「アカメが死んでめでたしめでたしって言ったんだよ、アタシの手で殺せなかったのはとても残念だがな!!」

 

「てめえ・・・死にたいのか!?」

 

「死ぬのはどっちかな!?」

 

その瞬間二人の間にある空気が弾けたように感じた、二人は構えて一戦交えようとしていたその時。

 

 

「お前達、私の部屋を目茶苦茶にする気か!?殺し会うなら外でやれ!!」

 

エヴァから凄まじい殺気が溢れ出た、その殺気を浴び二人はあっという間に意気消沈した。

 

 

な、なんて殺気・・・この人恐ろしく強い・・・

 

 

「レオーネ、やめろ!!」

 

「ギル、落ち着いてください」

 

 

「・・・わかった」

 

「わかったよ・・・」

 

レオーネとギルベルダはそれぞれたしなめられ構えを解いた、そしてギルベルダとカサンドラは退出した。

 

 

 

「騒がせてしまったな」

 

「まあいい、それよりもさっきの話の続きだ、お前の処分についてだ」

 

「処分?」

 

「ああ、カプコーンの連中を止められず帝具を大量損失させた不始末の処分だ・・・ナジェンダ、お前は打ち首だ」

 

 

その瞬間ナジェンダ以外のナイトレイドのメンバーは衝撃の事態に青ざめ絶句したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回初登場したカサンドラとギルベルダどうでしたか、自分なりにとらえて書きましたが違和感ないでしょうか、カサンドラの声はご注文はうさぎですか?のチノ、レクリエイターズのメテオラを、ギルベルダの声はのんのんびよりの越谷夏海、ラーメン大好き小泉さんのおおさわ ゆうをイメージしてください、次回も新キャラが登場しますので応援お願いします。

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