サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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今回から舞台は本部に移ります、下手くそな文ですがご覧ください。


第六十六話

   本部を斬る(前編)

 

 

私達は革命軍の本部に到着した、とはいってもまだ建物は見えない、ここは訓練所であろう、大勢の兵士が鍛練しているのを見かける、川の方でも兵士達が鎧泳ぎの鍛練に励んでいた、帝国との戦いに備えて・・・

 

 

「それにしてもすごい人数だなあ」

 

イエヤスは数百人規模の鍛練を見て驚いている。

 

「これで驚いていたらキリがないぞ、これから先にはもっと兵士がいるのだからな」

 

確か革命軍には数万規模の兵力がいるって聞いていたけど、実際見てみると圧巻ね。

 

 

「先を急ぐぞ」

 

私達は再び歩みを開始した、すると見覚えのある人がいた、それは技術者のホーラーさんである。

 

 

「おお、皆の衆、しばらくだったな」

 

「何をしてるんですか?」

 

「ああ、新兵器のテストを開始するとこだったのじゃよ」

 

 

ホーラーが指指した先には人形が立っていた、その人形の肩には何かが装着していた。

 

 

「これはなんです?」

 

「ああ、これは爆弾を遠方へ飛ばすための装置じゃよ」

 

なるほど、そういう兵器があれば帝国との戦いが有利になるけど・・・

 

 

「なんでこういう形なんです?」

 

こんな位置から爆弾を発射したら顔や頭が火傷するのでは・・・

 

 

「そりゃこの形がカッコイイからじゃよ」

 

カッコイイ!?これが!?とてもカッコイイとは・・・

 

 

「とにかく今からテストを開始するからご覧あれ」

 

 

ホーラーはスイッチを入れた、するとその瞬間爆弾は発射することなく爆発した、人形は木っ端みじんに吹き飛んだ、皆その光景にただア然とするだけであった。

 

「・・・よし、次いってみよう」

 

ホーラーは今の惨劇をなかったことにして次の実験に移ろうとしていた。

 

「ちょっと待て、おっさん!!」

 

「何かね?」

 

「何かね、じゃねえだろ、今の見ただろ!!」

 

「まあ、たまにそういうこともあるさ」

 

「たまにあってたまるか!!」

 

イエヤスのツッコミにもホーラーは全く気にしていない。

 

「あれ以外に別の兵器はないのか?」

 

「まあ・・・あるにはあるが」

 

ホーラーは以前造った兵器をナジェンダに見せた。(この兵器はロケットランチャーに似たものと思ってください)

 

「・・・これはイマイチなんじゃよ」

 

「貸してみろ、私がテストしてみる」

 

ナジェンダは試作品を構えた、狙うは百メートル離れた岩である、ナジェンダは兵器の引き金を弾いた、勢いよく爆弾が発射され岩目掛けて飛んでいく。

 

 

ドオオオン!!

 

 

見事に直撃して岩を木っ端みじんにした。

 

 

「すごい」

 

これがイマイチだなんて、どういうことなの?

 

 

ナジェンダは威力を見定めると近くにいた兵士にこの兵器を正式採用するよう命じた。

 

 

「ちょっと待った!」

 

「何故待つ必要がある?申し分ない威力だろ」

 

「それは・・・これがイマイチかっこよくないからじゃよ」

 

「はあ!?」

 

「肩から爆弾が発射するのはかっこよいと思わんか?」

 

「ふざけるな、兵器にかっこよさなど必要ない、有効かどうかが全てだ」

 

「しかし・・・」

 

「問答無用!!」

 

「・・・わかった」

 

こうしてホーラーはナジェンダの迫力に押されて承諾したのであった、ナジェンダ達はその場を後にして先に進むことにした。

 

 

「あいからわずですね、あの人・・・」

 

「技術者としての腕はいいのだがどうもアレでな・・・」

 

 

サヨもナジェンダもバカと天才は紙一重だとつくづく思うのであった、一同はさらに歩き続けていく。

 

 

「ずいぶん歩きましたけど本部はまだですか?」

 

「もうすぐだ」

 

 

もうすぐか・・・本部ってどんなんだろう、そうサヨが考えていると誰かが声をかけてきた。

 

 

「雑魚ががんくび揃えて何しに来た?」

 

声がした方に視線を向けると二人の男がいた、一人は革命軍の軍服をきているが左腕は義手であった、ナジェンダの義手と同じ形である、もう一人は軍服を着ておらず独特の衣装を着ていた。

 

 

「おい、今なんて言った!?」

 

「雑魚と言ったのだ、お前頭も耳も悪いな」

 

「てめぇ!!」

 

イエヤスは怒って義手の人に詰め寄ろうとした、するともう一人の男が口を開いた。

 

「すいませんね、彼は口が悪くて」

 

「俺は本当のことを言っただけだぞ雑魚主人」

 

「・・・ご覧の通りです、皆にも同じなので」

 

男はやれやれの表情をしている、口が悪い人の対応は大変である、それにしてもこの人誰かに雰囲気が似てるような・・・

 

 

「どうしました?」

 

「いえ、あなたが誰かに雰囲気が似てるような・・・」

 

その瞬間サヨはそれが誰かなのか思い出した、その人は・・・

 

 

「そうだ、ガザムさんに雰囲気が似てるんだ!!」

 

以前会ったバン族の生き残りであるガザムに雰囲気が似ているのである、顔は全然似ていないが。

 

 

「ガザムにですか・・・確かに彼も私と同じく故郷を滅ぼされた者ですから似たような雰囲気を感じてもおかしくないですね」

 

「えっ、あなたもですか?」

 

「はい、私の名はムディ、かつてはプトラの墓守りだった者です、私を除き一族は全滅しました、帝国によって」

 

「プトラの墓守り?」

 

「はい、帝国北西に位置する渓谷地帯に存在する王家の遺跡を護る一族でした、ですが数年前、宝に目がくらんだ帝国の襲撃を受けて全滅してしまいました」

 

「あなたはなんで無事だったの?」

 

「私はたまたま任務で不在でしたので・・・」

 

大切なものを失う悲しみはよくわかる・・・これ以上聞くのは失礼ね。

 

 

「ところでこの人は?」

 

「はい、彼のことはナックルと呼んでください」

 

「呼んでください?」

 

「彼は全ての記憶を失っているのです、もちろん自分の名前も、ナックルという名はある人がつけたのです」

 

「そうなんですか・・・あなたも大変だったのですね」

 

「別に大変ではないぞ、俺は雑魚ではないからな」

 

・・・記憶を失っても口の悪さは失わなかったんだ・・・サヨはやや苦笑いした。

 

 

「その左腕は記憶を失ったことと関係があるのですか?」

 

「ええ、まあ・・・」

 

ムディの顔が険しいものになった、サヨは聞いてはならないものだったんだと思った、実際似たようなものであったから。

 

 

 

・・・この左腕の件がなかったらあの時復讐を果たせたであろうに・・・

 

 

 

 

 

ムディは任務から帰ると一族は全滅しており、その復讐を果たすため行動に移った、帝国に恨みのある人間を集めてチームを作り帝国の情報を得て復讐を果たせると思っていた、だが、秘術で操ったナックルに異変が起こったのである、左腕が黒ずんで高熱を出したのである、初めて会った時にも左腕はケガしていたがここまで悪くなかったのである、医者にみせたが手の施しようがなかったのである、途方に暮れていたら同志の一人が知り合いの医者なら治せるかも知れないと言い、ある場所へ赴くことにした、そこは革命軍の本部であった。

 

 

 

 

同志の女が誘拐同然にその医者を連れてきた、その医者は当然激怒していた。

 

 

「何すんねん、誘拐同然にさらって!!」

 

「すまんシヴァ、いろいろと訳ありでな」

 

「全く、本部を離れたと思ったら突然戻ってきてウチをさらうとは・・・」

 

「すまんが早くこの男を見てくれ、時間がない」

 

「しゃあないな、どれ・・・これは!?」

 

 

シヴァはナックルの左腕を見て絶句した。

 

「すみませんが早く治してください、本当に時間がないのです」

 

「・・・これはすぐに治らんで、それどころかホンマに命が危ないで」

 

「冗談はやめてください、あなたは医療専門の帝具使いじゃないですか、帝具を使えばすぐ治せるはずでしょう」

 

「あほう、帝具ならなんでも治せると思うのは大間違いや、このケガは普通ならとっくに死んどるで」

 

「た、確かに黒ずんでいますが見た目は大きなケガは・・・」

 

「見た目はな、だが中身は手の施しようがないほど悪化しとるんや、これはもう左腕切り落とすしかないで」

 

「・・・そうですか、仕方ありません、さっさと切り落としてください、そしてすぐに縫合してください、それで十分ですから」

 

「アンタ何言っとるん、しばらく絶対安静やで」

 

 

「そ、それは困ります、私には大事な使命が・・・」

 

ムディは絶対安静の言葉に取り乱した、復讐が果たせなくなってしますからである。

 

「今無理させたら死んでしまうで」

 

「・・・構いません、復讐さえ果たせれば彼の命など」

 

「あかん、絶対あかんで、ウチの目が黒い内は勝手なまねさせへんで!!」

 

「あなたに何がわかるのです、この男は私の故郷を・・・一族を滅ぼした奴らの一人なんですよ!!」

 

「それについては同情するわ、でも医者として彼を無理させるわけにはいかんで!!」

 

「これだけ言ってもわかりませんか・・・ならば・・・」

 

「力ずくでくるんか?相手になるで」

 

シヴァは身を構えて臨戦態勢をとった、それを見たムディは戸惑った。

 

 

・・・彼女は戦闘タイプではないとはいえ帝具使い・・・私に勝てますか?

 

 

「言っておくが私達は加勢しないぞ」

 

それを聞いてムディは絶句した、自分自身の戦闘力に自信がなかったからである。

 

 

「・・・お願いします、なんでもしますから私に復讐の機会を・・」

 

「あきらめい、医療は万能やないんやで」

 

その瞬間ムディは膝をガックリと地面につけて嘆き悲しんだ。

 

 

「・・・もう少しで、後一息で復讐が果たせるところまできたのに・・・こんな・・・こんな・・・」

 

大粒の涙を流すムディに誰も声をかけることができなかった、その後ナックルは左腕を切断し完治するまで長い月日がかかるのであった。

 

 

 

 

 

・・・結局、そのあと帝国の暗殺部隊は壊滅して復讐の対象を失ってしまったのです・・・こうなったら片っ端から帝国の手のものを血祭りにしてあげます・・・そしてこのナックルをボロぞうきんのように捨ててあげます。

 

 

「どうしました?」

 

「いえ、なんでもありません」

 

サヨの言葉にムディは慌てて返答した。

 

 

「ところで皆さん何故ここに?」

 

「本部に召集されて」

 

「それはきっとエヴァさんが召集したんですね、ご苦労なことです」

 

「誰ですかその人?」

 

 

サヨがエヴァについて質問しようとするとナジェンダが。

 

 

「サヨ、早く来い」

 

「は、はい」

 

サヨは慌ててナジェンダ達の後を追った、それを二人は眺めている。

 

 

「さて、どうなりますかね?」

 

「別に俺の知ったことではない」

 

「まあ、そうですね」

 

連中、大変なことになるかも知れないが自分達には知ったことではないのである、そう思いながらナジェンダ達を見送った。

 

 

 

 

「ボス、エヴァって誰なんですか?」

 

「エヴァはナイトレイド結成の発案者で私の直属の上官だ」

 

「ボスが発案者じゃないんですか!?」

 

「私はそこまでの権限は持っていない」

 

 

そうだったんだ・・・ボスが発案者じゃないんだ、以外ね・・・それにしてもエヴァってどんな人なんだろう・・・ナイトレイドの最高責任者、どんな人なんだろう・・・サヨは興味と不安が混じった複雑な気持ちでいっぱいだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




技術者ホーラーが再登場しました、多分皆さん忘れていると思いますが、他に零からキャラクターを登場させました、皆さんはどう感じましたか、中編も新キャラクターが登場します、これからも応援お願いします。

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