サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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もう今年も終わります、今年最後の作品ご覧ください。


第六十三話

   地方都市を斬る(後編)

 

 

ナイトレイド一行はアジトに到着してくつろいでいた、ブラートはある人と酒を酌み交わしていた、その人物はブラートがよく知っている人物であった。

 

 

「あんたと酒を飲むのは久しぶりだな」

 

「ええ、本当に久しぶりね」

 

彼の名前はインファン、かつては帝国軍人でリヴァが将軍だった頃の副官であった、筋骨隆々な体格に似合わず柔軟な思考ができ広い視野を持っている戦士である。

 

 

「あれからずいぶん年月がたったな」

 

「ええ、昨日のことのように感じるわ・・・」

 

 

二人は帝国を抜けるきっかけになった南部戦線を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リヴァ将軍率いる帝国軍は南の異民族と交戦を繰り返していた、戦況は帝国が優勢であった、だがある日・・・

 

 

「後悔するぞ!!」

 

リヴァの天幕からすごい剣幕の男が飛び出してきた、服装をみるに使者と思われる、ブラートは何事かと気になり天幕へ入った。

 

 

「将軍、今のは・・・」

 

「ああ、彼は大臣の使者で賄賂を要求しにここまで赴いたのだ」

 

「賄賂!?」

 

「別に今のご時世では珍しいことではないわよ、でも将軍は断ったわよ」

 

「当然だろ、将軍がそんなマネするわけねえよ」

 

ブラートは帝国の腐敗に憤慨しているがインファンは深刻な表情をしている。

 

 

「そうよ、将軍は間違ったことはしてないわ・・・でも向こうには道理は通用しないわ、何も起こらなければいいけど・・・」

 

 

しばらくしてインファンの不安が的中してしまうのであった。

 

 

リヴァが大臣の怒りを買い拘束されてしまったのであった、リヴァは檻に入れられ帝都へ連行されつつあった。

 

 

「ふざけるな!!なんで将軍が・・・」

 

ブラートが激昂する様子を見て大臣の息がかかった兵士はほくそ笑んでいた。

 

 

「・・・私が甘かったのだ、大臣の要求を断ればこうなることは想像できたのだからな」

 

「将軍は間違ったことはしていません!!」

 

 

確かに将軍は間違っていない・・・でも、それが道理として通らないのが今の帝国・・・インファンは自分も甘かったと悔やまずにはいられなかった、リヴァが閉じ込められた檻が帝都に向けて移動を開始した。

 

 

「インファン、指揮は任せたぞ」

 

「わかったわ、将軍・・・」

 

自分にどこまで務まるだろう・・・それでもベストを尽くさなくてはならなかったのである。

 

 

「もう我慢できねえ、こんな檻ぶっ壊してやる!!」

 

ブラートはリヴァを閉じ込めた檻に突っ込もうとした、だがインファンはブラートの肩を掴んで制止させた、インファンのブラートの肩を掴む力が凄まじくブラートの顔が痛みで歪んだ。

 

 

「やめなさい!!そんなことをしたら将軍の立場がますます悪くなるわ、それにあなたまで拘束されたらこの部隊はどうなるの!?」

 

「す、すまねえ・・・」

 

 

ブラートは自分の軽率な行動に恥じて赤くなった、自分はまだまだ未熟だと痛感した。

 

 

「なあ、インさん、これからどうするんだ?」

 

「ベストを尽くすしかないわ・・・」

 

 

正直どうするかはこっちが聞きたかった、将軍がいなくなることで士気は間違いなく落ちる、それに自分は将軍ほどの采配能力はない、間違いなく苦戦になるだろう、それでもやるべきことをやるしかなかった。

 

 

 

 

 

数日後・・・帝国軍は南の異民族の総攻撃で壊滅状態に陥っていた、ブラート達も必死に戦っているものの・・・

 

 

「くっ、ダメだ、敵が多すぎる!!」

 

「味方は総崩れよ、この戦いの勝敗は決したわ・・・」

 

「くそっ、将軍がいればこんなことには・・・」

 

 

将軍がいればこんなことにはならなかった、これまで戦況はこっちが優勢だった、なのに将軍を拘束するなんて上は何を考えている!!ブラートは憤りを感じずにはいられなかった。

 

 

「おそらく敵さん将軍がいないことを知ってるみたい」

 

「それってどういう・・・」

 

まさか上が敵に知らせたのか!?何のために・・・

 

 

「将軍の部隊を敗北させることでさらに罪状の上乗せを狙ったのよ・・・」

 

「そ、そんなことのために・・・」

 

 

ブラートは茫然とした、そんなことのために前線の兵士はいくら死んでもかまわないっていうのか・・・

 

 

 

「ふざけるなああ!!」

 

 

 

ブラートは咆哮した、怒りと悲しみに満ちた咆哮であった、この戦いで死んでいった兵士はこんなばかな理由で死んだのか、ブラートはやりきれない思いでいっぱいだった、だが立ち止まっているわけにはいかなかった、生き残った兵を逃がすため戦わなければならなかった、ブラートは帝具を装着して敵を片っ端からなぎ払っていった、味方の兵が全て撤退したのを確認するとブラートとインファンも撤退を開始した。

 

 

「さすがね、あれだけの敵を倒すなんて」

 

「けど、大勢死んじまった・・・」

 

二人の表情は重かった、つい数日前まで勝っていたのだから、だが二人にとってはまだ終わりではなかった。

 

 

「おそらく上はアタシ達にも大敗の罪を押し付けてくるはずよ」

 

「そうだろうな・・・」

 

将軍をさらに陥れるためにこんなマネをする奴らだ間違いないくそうするだろう・・・ブラートはある決心をした。

 

 

 

「こんな腐りきった帝国に愛想がつきた、俺は今帝国を抜ける!!」

 

「そう、あなたならそう言うと思ったわ、アタシも抜けるわ」

 

「インさん、これからどうするんだ?」

 

「そうね・・・アタシはしばらく地下に潜るわ、そしてそのあと反乱・・・革命軍に行こうと思うわ」

 

「革命軍か・・・帝国に反旗を翻している勢力だな、今の帝国よりはいいだろう」

 

「あなたも一緒にどう?」

 

「いや、俺は自分がどれだけ無力か思い知った、一から鍛え直そうと思う」

 

「そう、あなたらしいわね、生まれ変わったあなたを見るのを楽しみにしてるわ」

 

二人が走っている道が二つに別れている、二人は別々の道を選んだ。

 

 

「じゃあなインさん!!」

 

「また会いましょう!!」

 

二人は別々の道を走り抜けて行った、二人には悲壮感はなかったいつか必ず再会できることを信じていたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いろいろなことがあったな・・・」

 

「ええ、まさかリヴァ将軍が敵としてあなたの前に現れるなんて・・・」

 

 

帝国に陥れられた両者が敵同士になって殺しあったことをインファンはいまだにショックであった。

 

 

「お互い信念を持って戦ったんだ悔いはない」

 

「そうね・・・」

 

インファンはそれ以上聞かなかった、それ以上は野暮になるからである、二人は再び酒を飲み始めほろ酔いになっていった。

 

 

「それにしてもあなた鍛え直してますますハンサムになったわね」

 

「おう、インさんならわかってくれると思ってたよ、他のみんなからは不評だがよ・・・」

 

ブラートは自分の鍛えられた肉体を称賛してくれる人間がやっと現れて感激している。

 

 

「ところで話は変わるけどあなたエスデスと戦って勝てる自信ある?」

 

「エスデスとか・・・」

 

なぜこの話に切り替わったのかブラートには心当たりがあった。

 

「エスデスを倒せる可能性がもっとも高かったアカメちゃんが死んじゃったからね、あなたにかかる期待が高まっているのよ」

 

「それは光栄だな」

 

ブラートは胸を張ったが正直エスデスと戦って勝てるかどうかは五分はないと思っている、エスデスの帝具は攻守において非常に優れており自分の攻撃も100%の威力で当てることは非常に困難だろう、と思っている。

 

 

「エスデスと戦う時がきたら俺の熱い魂がこもった一撃をくらわせてやるよ」

 

「あなたならそう言うと思ったわ」

 

インファンは微笑みながらブラートのグラスに酒を注いだ、彼ならエスデスに強烈な一撃をくらわすことができるかも。

 

 

「インさんもググっといこうぜ」

 

ブラートもインファンのグラスに酒を注いだ、互いに酒を飲み干した。

 

「今夜は飲み明かそうぜ!!」

 

「あなた明日早いんでしょ?」

 

「俺はそんなにヤワじゃねえぜ」

 

「そうね、今夜は飲み明かしましょう」

 

二人はその後酒を飲み明かした、その日二人は一日中二日酔いになったのは言うまでもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はブラートがメインの話でした、オリジナルの展開をいくつか付け足しました、今年の4月から書き始めて64話書きましたが全然文章がうまくなりませんでした、来年はもう少しうまく書ければと思います、来年もサヨが斬るを応援お願いします、皆さん、良いお年を。

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