サヨが斬る!   作:ウィワクシア

58 / 124
第五十七話

   異邦人を斬る

 

 

7月31日

 

 

サヨとシェーレは帝都の郊外にいた、任務を終えてアジトに帰還の途中であった、ただ、二人は全速力で逃げていた、イェーガーズのウェイブに追われていたからである、ウェイブとの戦いはできることなら避けたかった、戦っている間に他のイェーガーズがかけつける恐れがあったからである。

 

 

 

「振り切れません」

 

「うん、でも戦いはできたら避けたいし、とにかく逃げるわよ」

 

「はい」

 

 

二人は見晴らしのいい高台にたどりついた、ウェイブをまくのに無我夢中で走ってきたからである、サヨはまずいと思った、隠れる場所がないからである、だが、その時。

 

 

「おーい、サヨちゃん、シェーレさん!」

 

頭上から声がした聞き覚えのある声であった。

 

 

「その声は・・・カグラ!?なんでここに!?」

 

二人の頭上に巨大な鳥が飛んでいた、ただし生物ではなく造られた鳥の、その鳥の胸部にそのカグラが搭載している。(カグラの声は東山奈央さんをイメージしてください)

 

 

「お仕事の途中でちょっと寄り道を」

 

「またなの・・・しょうがないわね」

 

サヨはあきれている、カグラは全く気にしていない。

 

 

 

「ところで急いでいるみたいだけどどうしたの?」

 

「はい、イェーガーズに追われているのです」

 

「ふうん・・・じゃあ、乗ってく?」

 

「いいの!?」

 

「いいよ」

 

「じゃあ、お言葉に甘えます」

 

サヨとシェーレはジャンプして鳥の背中に乗った、そして背中に付いている手すりを握った。

 

「じゃあ、飛ばすよ!」

 

鳥は轟音とともに空へ飛び去った、ウェイブはその光景を目の当たりにしていた。

 

 

「な、何なんだ、あれは・・・」

 

ウェイブはただ飛び去って行くのを見ることしかできなかった。

 

 

 

飛行中の最中ウェイブの追跡から逃れてサヨとシェーレはホッとしていた、あのままでは戦うしかなかったから。

 

 

「このままアジトに行くよ」

 

「うん、ありがとう」

 

「カグラ、ありがとうございます」

 

サヨとシェーレがお礼を言うとカグラは脳天気に鼻歌を歌いはじめた、カグラのお気楽にサヨは苦笑いしている。

 

 

カグラと出会ってからけっこう日にちたったわね・・・サヨは初めてカグラと出会った日のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

7月14日深夜

 

サヨ、シェーレ、マイン、レオーネ、ラバの五人は帝都で一月ぶりのナイトレイドの依頼を遂行していた、任務は無事完了し、アジトへ帰還の途中にある出来事が起こった、帝都の外にある森林地帯で何者かが一同を呼び止めたのである。

 

「ねえ、あなた達ナイトレイドじゃないの?」

 

 

皆は一斉に声がした方を向いた、すると木の枝に人が座っていた、それは15,6の少女だった、殺し屋集団であるナイトレイドを目の当たりにしても臆した様子はなかった。

 

 

「それを聞いてどうするの?」

 

「あなた達って賞金首なんだよね、死体でも持っていったらいっぱいお金もらえるんだよね」

 

「まあね・・・」

 

 

この娘何考えてるんだろう・・・私達を殺し屋集団だと知って死体にするだなんて・・・殺してくれと言わんばかりじゃない・・・サヨは目の前の少女の常軌を逸した行動は理解できなかった。

 

 

ドウ!!

 

 

マインは有無を言わず発砲した、だが、少女は素早く身をかわした、そしてそのまま地面に着地した。

 

「はは、いきなり撃ってくるなんてせっかちだね」

 

少女は殺されかけたにもかかわらず笑顔を見せた、それは無邪気そのものであった。

 

 

「アタシの銃撃をあっさり避けるなんて・・・」

 

マインは舌打ちした、あっさり避けられたことが不愉快だったのだろう。

 

 

 

その少女はマインよりも背が低かった、黒のおかっぱ頭に赤のTシャツに青の短パンを履いていた、見た感じ何か妙なものを感じた。

 

 

「その銃すごいね、まともに当たったら死んでたよ、じゃあ、私も・・・」

 

少女は全速力で林に走っていった、かなりの速さであった。

 

「逃がさないわよ!!」

 

マインは少女を追っていった、かなりむきになっている、私達もマインに続いて走りだした。

 

 

「あいつ、いったいどこへ・・・」

 

マインは少女を見失ってしまった、こう暗くては思うようには見つからない、マインは苛立ちを感じ始めたその時。

 

 

ボシュッ!!

 

 

突然白い煙がマインの周りににたちこめた、煙幕?そうマインが思った瞬間、周りからベキベキと木が倒れる音が鳴り響いた、だんだんその音がマインに近づいていく、マインは気配を感じ銃を構えようとした、その瞬間、マインは何かに捕われてしまった、巨大な何かに。

 

「きゃあああ!!」

 

サヨ達はマインの悲鳴の方へ駆けつけようとした、その時サヨ達の頭上を轟音とともに何かが通った、サヨ達は頭上を見上げるとそこには信じられないものがあった、それは巨大な鳥だった、その鳥の脚はマインを掴んでいた、サヨ達が驚いたのはそれだけではなかった、その鳥は生物ではなく明らかに人工物であったから。

 

 

「何あれ・・・」

 

サヨは開いた口が塞がらなかった、作り物の巨大な鳥が目の前にいるのだから、しかも、その鳥の胸部にはあの少女が埋め込まれていた。

 

 

「あはは、びっくりしてるね、どう、私のハヤテ丸すごいでしょ?」

 

 

サヨは大はしゃぎしている少女のことよりもハヤテ丸と呼ばれた鳥のことで頭がいっぱいだった、この鳥はいったい・・・もしかして帝具!?サヨは頭をまとめるのに手一杯だった。

 

 

「調子に乗るな!!」

 

マインは掴まれた状態から少女を狙撃しようとした、だが、少女はそれを察知しマインを空高く放り上げた。

 

 

 

「きゃあああ!!!」

 

マインはすごい勢いで空に上がっていく、そしてハヤテ丸と呼ばれる鳥も上昇し再びマインを脚で掴んだ、その時の衝撃でマインはパンプキンを手から離してしまった。

 

 

「しまった!!」

 

 

マインは歯ぎしりせずにはいられなかった、悔しさで顔が歪んでいる、マインのその顔を見て少女は心からほほ笑んだ。

 

 

「じゃあ、あなた達のアジトへ行こうか」

 

「な、何を?」

 

アジトってまさかこいつアジトの位置知ってるの?そう思考した瞬間ハヤテ丸はアジトの方角へ飛び去った、サヨ達は飛び去った方角へ全速力で追いかけた。

 

 

 

 

「確かこの辺だったけど・・・」

 

少女はアジトを探していた、マインは口にしなかったがアジトはこの近くにあるのである。

 

「ねえ、アジトどこ?」

 

「言うわけないでしょ!」

 

 

「そう、じゃあ、協力してもらうよ」

 

少女はマインを再び上空へ放り上げた、マインは絶叫した、落下する際にも絶叫した。

 

 

「ねえ、あなたもしかして高い所苦手?」

 

「そ、そんなことはないわよ!!」

 

そのとうりだがマインは悟られないように気丈に奮った。

 

「そう、じゃあ、大丈夫だね」

 

「や、やめ・・・」

 

少女は何度も放り上げた、マインは繰り返すうちにぐったりしてしまった。

 

「あちゃー、やり過ぎちゃった、どうしようかな・・・」

 

少女はマインが目を覚ますまで待つことにした、しばらくするとサヨ達が表れた、少女はサヨ達の近くに降下した。

 

 

「ねえねえ、この娘返すから話聞いてくれない?」

 

「話?話って何を?」

 

「私を仲間にしてくれない」

 

「はあ!?」

 

サヨは呆れ果てていた、ついさっきまで私達を狙っていたのに仲間になりたいだなんて・・・でも断ったらマインがどうなるか・・・とりあえずまの身柄を要求することにした。

 

 

 

「とりあえずマインを解放して」

 

「いいよ」

 

少女はマインをポイッと投げ捨てた、レオーネがマインを受け止めた。

 

 

「こんなに簡単に返していいの!?」

 

「気にしない、気にしない」

 

 

この娘、ばかなの・・・脳天気過ぎる・・・サヨはすっかり呆れ果てていた。

 

 

「じゃあ、私を仲間にしてよ」

 

サヨとしても簡単に仲間にするわけにはいかなかった、とりあえずボスに知らせることにした、レオーネが一人でアジトに向かいボスに事情を説明した。

 

 

 

「そんな怪しい奴仲間にするわけにはいかん」

 

「まあ、普通はそうですよね」

 

「だが、そいつが乗っている鳥が気になるな」

 

「もしかしたら帝具かも」

 

 

サヨもそれが気になったからナジェンダに判断を任せたのであった、ナジェンダはしばらく思考を巡らし、ナジェンダは直接その少女に会ってみようと思った。

 

 

「案内しろ」

 

「はい」

 

サヨはナジェンダをカグラの所へ案内した、そしてナジェンダはカグラと対面した。

 

 

「お前がカグラか?」

 

「そうだよ」

 

 

ナジェンダはカグラの第一印象を脳天気な奴だと思った、だが、多数の殺し屋に囲まれて全く臆していないのも妙だと思った、よほど自分は死なないと自信があるのか、ナジェンダはいまひとつ確信がなかった。

 

 

「ところでその鳥は帝具か?」

 

「帝具、何それ?」

 

「お前、帝具を知らないのか?」

 

「うん、ハヤテ丸が何かは詳しく知らないけど」

 

 

ナジェンダはカグラに帝具について説明した、カグラはさほど驚いた様子はなかった。

 

 

「へえ、この国にそんなのがあるんだ」

 

「お前、それをどこで手に入れた?」

 

「私の国に祭られてたんだよ」

 

「お前の国?」

 

「うん、海を渡って遥か東の島国だよ」

 

 

「その鳥はいつ頃作られたのだ」

 

「言い伝えだと500年前かな」

 

 

500年前・・・その頃は帝国で大内乱が起こった頃だ、もしかしたらその時に国外へ流出したのか?

 

 

「そんなことどうでもいいじゃん、私を仲間にしてよ」

 

「ひとつ聞く、お前の動機はなんだ?」

 

「それは・・・面白そうだから」

 

一同はその理由に呆れた、やはり何も考えてなかったのであった。

 

「お前、ふざけてるのか?」

 

「ふざけてないよ、倍本気だよ」

 

ナジェンダの眼光にもカグラは全く怯んでいない。

 

 

「殺し屋は面白半分で勤まるものではないぞ」

 

「面白半分じゃないよ、面白全部だよ!!」

 

 

カグラはノリノリで言いきった、ナジェンダは呆れて返す言葉もなかった、こいつに何を言っても無駄だと確信したからである。

 

 

「とにかくお前を仲間にするわけにはいかん、お前を拘束させてもらう」

 

ナジェンダ達はカグラを取り囲んだ、カグラに逃げ場はなかった、だがカグラは平然としていた。

 

 

「しょうがないな、じゃあ、革命軍の本部に行ってみようかな」

 

一同に衝撃が走った、なぜここで革命軍が出てくる、もしかしてナイトレイドと革命軍の関係を知っているのか?

 

 

カグラはその隙に猛ダッシュした、ナジェンダ達はカグラを取り押さえようとするもハヤテ丸の翼から突風が吹き荒れた、カグラはこの事態を予想してハヤテ丸に細工をしていたようである、ナジェンダ達は吹き飛ばされなかったが身動きが取れなかった、その間にカグラはハヤテ丸に乗り込み上昇していった。

 

 

「ま、待て!」

 

「じゃあ、またね、バイバイ」

 

 

ナジェンダの制止を無視してハヤテ丸は飛び去って行った、数日後、革命軍の本部からカグラが革命軍の輸送員になったという知らせが入った、革命軍の幹部の数人がカグラに興味を持ったからである、そして今に至る・・・

 

 

「もうすぐアジトだよ」

 

「うん、ありがとう」

 

「少し休んでいきませんか?」

 

「やめとく、ナジェンダさんに小言言われそうだから」

 

「そう」

 

 

ハヤテ丸はアジトの近くの草原に着地した、サヨとシェーレが草原に降りるとハヤテ丸は飛び去っていった。

 

 

「カグラ、真面目にやってるのかな・・・」

 

「それはどうかはわかりませんが・・・元気でなりよりです」

 

 

その時サヨは予想していなかった、カグラがある人間と因縁を持ってしまうことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回登場したカグラはかなりぶっ飛んだクレイジーキャラクターです、原作では主人公サイドには異国の人間はいなかったので登場させました、後、飛行タイプもいなかったので併用させました、今回の文章は特にわかりにくかったのではないでしょうか、相変わらず文章が下手くそですいません、こんな小説ですが応援お願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。