同僚を斬る
7月18日晩
ナジェンダは自室でタバコをふかせていた、今夜革命軍の命令による任務が行われることになっている、その前にミーティングが行われる、その前にナジェンダは一息ついていた。
「・・・」
ナジェンダはふと思い出していた、数年前のことを・・・
「ナジェンダ、ここにいたのか」
「あ、はい、ロクゴウ将軍」
ナジェンダは風にあたりに屋外へ出ていた、ある考え事をするために。
「お前、明日バン族の地へ援軍として出陣するのだろう」
「はい・・・」
ナジェンダは憂鬱そうな表情をしていた。
「お前、気が乗らないのか?」
「いえ、そんなことは・・・」
「隠す必要はない、気持ちはわかるからな」
ロクゴウにはお見通しであった。
「もとはと言えば帝国が彼らに圧政を強いるから乱が起こったわけで・・・」
「そうだな、この数年地方に対する圧政は増すばかりだ」
二人もそのことに懸念していた。
「ですが、命令である以上は・・・」
「そうだな」
軍人である以上、上からの命令は絶対である、二人にはわかりきっていることであった。
「ところでお前の他にもう一人将軍が同行することになっていたな、確か・・・」
「はい、エスデス将軍です」
「やはりそうか」
「私はよく知らないのですが、ロクゴウ将軍は前の戦いで同行したんですよね、どういう人物なのですか?」
その瞬間ロクゴウの表情は曇った。
「エスデスか・・・まあ、俺の口から聞くよりも実際見た方が早いだろう」
ロクゴウ将軍の様子がおかしい、彼女に何かあるのか? ナジェンダは首をかしげた。
「確かにそうですね、私の目で確かめます」
ナジェンダはそう返事しつつもエスデスに対する不安は拭われなかった。
「ところでお前、他にも俺に言いたいことあるだろ」
「そ、それは・・・」
言っていいものだろうか、とナジェンダは思った。
「今のうちに言っておいた方がいいぞ、お前、明日出陣なのだからな」
「はい・・・将軍に配備されるはずであった鞭の帝具についてですが・・・その帝具を大臣のおいが強奪したことに私は怒りを覚えます」
ロクゴウは落ち着いている、予想していたからである。
「いくら大臣のおいでもそんな勝手が・・・」
「大臣の親族による振る舞いは今に始まったことではない」
「ですがこのままでは大臣によって帝国が食いつぶ・・・」
「ナジェンダ、その辺にしておけ、思うのはかまわんが大声で叫ぶのは控えろ」
「すいません・・・」
ナジェンダは赤面して自分を諌めた。
「それに俺はそのことを気にしていない、俺はその帝具を一度見たことあるがピンとこなかった、相性は合わなかったんだ、どのみち他の奴に渡っただろう」
「将軍が気にしていないのであれば・・・」
ロクゴウの落ち着きに自分はまだまだだなとナジェンダは思った。
「それでは私は部隊の編成があるのでこれで・・・」
ナジェンダが立ち去ろうとするとロクゴウが呼び止めた。
「ナジェンダ、なにが起ころうともお前は自分が信じた道を進め」
「はい」
ナジェンダはロクゴウの言葉の意味をいまひとつ理解できなかった、その時は・・・
ナジェンダは改めてロクゴウの言葉の意味を認識していた。
「ロクゴウ将軍は私がエスデスの所業を見て帝国を抜ける決心をするとわかっていたんだな・・・」
ナジェンダは席を立ち、会議室へ足を運ぶ。
今回の標的は大臣のおいか・・・妙な巡り合わせだな・・・ナジェンダはそう思わずにはいられなかった。
今回はロクゴウを出してみました、原作ではほとんどセリフはなかったのでいろいろ書きました、そしてこの作品初となるオリジナル帝具を出してみました、能力は近い内に判明します、今後もよろしくお願いします。