サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第三十五話

   負けず嫌いを斬る

 

 

アジト内、マインは自室で帝具の手入れをしていた。

 

「さて、これぐらいでいいわね」

 

手入れを終えようとしていた時、マインはあるものが目にとまった、それは創作に失敗した船の模型である。

 

 

「・・・」

 

 

マインは思い出していた、アカメと一緒に模型を作った時を・・・

 

 

 

 

 

 

「ああ、もう、うまくいかないわね!!」

 

マインは模型作りがうまくいかずいらいらしている。

 

「マイン、落ち着け、いらいらしているとうまく作れんぞ」

 

アカメの模型は上手にできている。

 

 

「アタシ不器用じゃないのになんでうまくいかないの!?」

 

 

「一番大事なのは平常心だ、うまくいかなくてもいらいらせずゆっくり作ればいい」

 

「わかってるわよ」

 

そういいつつもマインの言葉は荒い。

 

 

「お前、こういうの苦手そうだしな」

 

いつのまにかレオーネが後ろにいた、マインはムッとしている。

 

 

「アンタだってそうでしょ」

 

レオーネはマインのツッコミに全く気にしていない。

 

「もち、私はそんな面倒な趣味ないから、やっぱり酒が一番だよ」

 

レオーネの顔が赤い、すでに飲んだ後だった。

 

 

「酔っ払いは引っ込んでて」

 

マインはうっとうしそうにレオーネを手で追い払った。

 

「お前、そんなにむきになるなよ、模型作りそんなに好きじゃないだろ」

 

「アタシはただ負けたくないだけよ」

 

「お前の負けず嫌い筋金入りだな、そういやあの時もそうだったな」

 

 

レオーネはアカメとマインが初めて会った日のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

アカメとマインは組み手の勝負をしていた、アカメが断然優勢だった。

 

 

「・・・まだよ、まだまだよ」

 

マインは顔に付いた土をぬぐいながらアカメを睨みつけた。

 

 

「もういいだろ、お前では私に勝てんぞ」

 

アカメもマインのしつこさにうんざりしている、するとマインはますますむきになった。

 

「いいえ、勝負はこれからよ」

 

マインの闘志は衰えていない。

 

 

「お前の意気込みは認めるがお前の体格は格闘に向いていない、お前も気づいているだろ」

 

アカメの指摘は適切だった、マインは格闘をするには小柄なのだ、だがマインは知ったことではなかった。

 

 

「向いているかはアタシが決めることよ、アタシはまだまだやれるわ!!」

 

 

 

マインはくじけるわけにはいかなかった、マインは異民族のハーフとして虐げられてきた人生を送ってきた、もし、何事でもあきらめたら心が折れてしまう、だからマインはあきらめないのだ。

 

 

「・・・わかった、お前の覚悟は本物だ、一切手を抜かないぞ」

 

「当たり前よ!!」

 

二人は再び組み手を再開した、先程とは比べものにならないほど激しいものであった。

 

 

しばらくして組み手は終わった、マインは大の字で地面に横たわっていた、マインはボロボロだが表情は清々しいものであった。

 

 

「・・・何発か入れてやったわよ、何が暗殺部隊の精鋭よ、アタシだってやればできるのよ、アタシはもっともっと強くなる、そして必ず勝ち組になってやるわ!!」

 

 

マインは夕日に誓ったのであった。

 

 

 

 

 

 

「・・・」

 

マインは模型をしばらく見つめていたがすぐ振り返った。

 

 

アタシはどんな困難にも決して負けない、アンタの分まで戦うわ、見ててなさいアカメ・・・

 

 

マインは心の中でアカメに誓ったのであった。

 


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