サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第十一話

   後悔を斬る(前編)

 

ブラートはアカメ達の応援に駆けつけるため全速力で走っていた。

 

「アカメ、サヨ、無事でいてくれよ」

 

すると、突然銃声が鳴り響いた。

 

「銃声!?」

 

ブラートは銃声がなった方へ向かうとそこに仰向けに倒れているアカメの姿があった。

 

「アカメ!?」

 

ブラートはアカメはすでに死んでいることに気づいた。

 

「・・・間に合わなかったか、すまねえ」

 

ブラートは極めて無念であった、するとセリューは。

 

「コロ、食っていいぞ、ただし、首は残せ」

 

「キュッ」

 

コロはアカメの頭をつかんで口を大きく開けた、そしてガブリとかぶりついた、アカメの首から下は何もなくなった、コロはアカメの頭をポイッと投げ捨てた、アカメの頭が地面に落ち、ゴロゴロ転がっている。

 

「な、なんてことしやがる・・・」

 

ブラートは放心状態であった、コロはアカメの体をバリボリむさぼっている。

 

「どうだ、美味いか?」

 

「キュキュキュー!」

 

コロはアカメの肉に舌鼓であった、ブラートはこの光景を見て怒りが爆発した。

 

「・・・許さねえ、絶対許さねえぞ」

 

ブラートから凄まじい殺気があふれた、セリューはそれに感ずいた。

 

「殺気!?」

 

セリューはブラートがいる方へ振り向き、戦闘態勢をとった。

 

「しまった、俺としたことが・・・どうする切り込むか」

 

ブラートが思案していると、大勢の警備隊員が駆けつけた。

 

「セリュー、大丈夫か?」

 

警備隊員の一人がセリューに話しかけるとセリューは応答した。

 

「大丈夫です、それよりも向こうに賊がいます」

 

「何?おい、もっと応援を呼んでこい」

 

「わかった」

 

懐から笛を取り出し力強く鳴り響かせた。

 

「くっ、どうする、無茶を承知で切り込むか・・・だめだ、生物型帝具と数十人の警備隊員相手では」

 

ブラートは現状を把握し退去を余儀なくされた。

 

「本当にすまねえ、アカメ・・・」

 

ブラートは断腸の思いでこの場を去っていった。

 

 

サヨはアジトにたどり着き皆に一部始終を話した。

 

「ま、マジかよ、サヨ」

 

イエヤスはサヨに問うと、サヨは無言でうなずいた。

 

「そんな・・・アカメが」

 

シェーレは涙目になっている、すると、マインは無言で近づいていく、ナジェンダは胸騒ぎを感じマインの肩をつかんだ、その瞬間、マインはサヨに帝具を突きつけていた。

 

「お前、サヨを殺すつもりだったのか?」

 

「・・・そうよ、そのつもりだったけど」

 

マインの答えに絶句するナジェンダ。

 

「なぜ?まさかお前・・・」

 

ナジェンダはマインの思考を察した。

 

「さすがパンプキンの前任者、アタシの考えはお見通しってわけね」

 

「お前、サヨが私達を裏切りアカメを帝国に売ったと思っているのか?」

 

ラバ、イエヤス、シェーレはどよめいた。

 

「だって、タイミングが良すぎるじゃない、サヨはその生物型の帝具使いと知り合って間もなくこんな事態になったんだから」

 

マインはサヨを裏切り者と決めつけている。

 

「それは違うよ、そもそも別働隊はマインちゃん達が行う予定だったんだ、それが直前で変更されてアカメちゃん達が別働隊を行うことになったんだ、サヨちゃんが帝国に通告できるわけないんだよ」

 

 

ラバは必死にマインを説得しようとしている。

 

「そうね、ラバの言う通りね・・・だけどアカメの足を引っ張ったのは事実よ」

 

サヨは顔面蒼白になった。

 

「サヨ、その村雨でアンタ自身を傷つけなさい」

 

ナジェンダ達はざわめいた。

 

「マ、マイン何を言って・・・」

 

シェーレはマインの言葉にうろたえている。

 

「お前、寝ぼけてんのかそれで傷をつければ死ぬんだぞ」

 

イエヤスは激怒したが、マインはお構いなしに。

 

「サヨなら大丈夫でしょう、村雨にメロメロなんだし」

 

「そんなわけねえだろ!!」

 

マインは無言のままサヨを睨みつけて。

 

「・・・アンタさえいなければ、アンタさえナイトレイドに入らなければアカメはあんなことにはならなかった!!」

 

マインの糾弾にサヨは顔面蒼白になった。

 

「アンタが死ねばアンタの村、アタシが救ってあげてもいいわよ」

 

サヨは混乱する頭でマインの言葉に思考を巡らした、何の役に立たない自分が頑張るよりもマインに託したほうが村が救えるのではないかと。

 

「さあ、村はアタシが救ってあげるからアンタはその村雨で自害なさい!!」

 

マインの目は真っ赤に血走っていた。

 

「てめぇ!!」

 

「やる気?イエヤスのくせに生意気よ」

 

「てめえええ」

 

イエヤスは怒りでわなわなふるわせている。

 

「おい、仲間割れしてる時じゃないだろ」

 

ラバが止めにはいるも。

 

「アタシはまだ認めた覚えはないわよ」

 

「・・・」

 

ラバは絶句しているとサヨは村雨を抜こうとしていた。

 

「おい、やめろ!!」

 

ナジェンダは慌てて止めに入る、すると。

 

「もうやめて!!」

 

シェーレは大声で叫び。

 

「こんなのアカメが見たらすごく悲しみます・・・」

 

大粒の涙を流し、必死に止めようとした、皆、呆然と立ちすくんでいる。

 

「・・・」

 

そこにブラートが戻ってきた。

 

「ブラート、アカメはどうなった?」

 

ナジェンダは問うと、ブラートは一言告げた。

 

アカメは死んだ

 

その瞬間全員絶望に突き落とされた。

 

 

一方、その頃レオーネは帝都に到着していた、必死にアカメを探している。

 

「どこだ、どこにいるアカメ・・・」

 

辺りを見回しアカメを探していると、アカメの臭いを感じた。

 

「あっちだな、よし」

 

レオーネはがむしゃらにアカメの臭いがする方へ駆け出した、レオーネはある光景を目の当たりにした。

 

ザッ!!

 

レオーネは力無く膝をついた。

 

そこには長い棒に突き刺さったアカメの首があった、その棒を帝国兵が持って行進している、その周りには武装した帝国兵が周りに配置され行進していた。

 

「・・・」

 

レオーネは放心状態である、帝国兵の行進はさらに盛り上がっている。

 

「う、嘘だ、アカメがこんな、こんな・・・」

 

レオーネは目の前の光景を受け止められないでいる。

 

「わ、私がもっと早く駆けつけていれば・・・アカメ、ゴメンよ」

 

レオーネの目から涙があふれている、そして、レオーネの体から殺気があふれだした。

 

「アカメの敵討ちだ!!」

 

レオーネの怒りが爆発した。

 

「アカメを殺ったのは奴しか、生物型の帝具使いセリューしかいない」

 

レオーネはコボレ兄弟暗殺の日にサヨからセリューのことを聞いていた。

 

「悪い、ナジェンダ、敵討ちがタブーなのはわかってる、だけど、だけど私のこの怒りは収まりそうにない」

 

レオーネはナイトレイドとしてではなくアカメの友として敵を取りたかった。

 

「奴は徹底的に残酷に殺してやる、まずはアカメを辱めているあの連中を皆殺しにしてやる、行くぞ!」

 

レオーネは突撃しようとしたまさにその時。

 

「レオーネ」

 

レオーネはアカメとの会話を思い出した。

 

 

「レオーネ、もし私が誰かに殺されても敵討ちなどというばかなまねはするなよ」

 

「何を突然言うんだ、アカメ」

 

「この稼業はいつ死んでもおかしくないからな」

 

「まあ、確かに」

 

「だからくれぐれも自分を見失しなうなよ」

 

「わかった、ところでもし私が殺されたら敵討ちをしてくれるのかな?」

 

「いかない」

 

アカメはキッパリと言った。

 

「ち、ちょっとは悩んでくれよ」

 

レオーネは慌ててツッコミを言った。

 

「レオーネは簡単には死なないだろう」

 

「当然」

 

二人はにこやかに微笑んでいた。

 

 

レオーネはそのことを思い出すと、突然、自分の拳で自分の顔をぶん殴った。

 

「・・・そうだったな、アカメ」

 

レオーネは頭を冷やすと後ろを向き、そのままその場を走り去った。

 

「これでいいんだろ、アカメ・・・」

 

レオーネは涙を流しながら退散した、そしてしばらくして朝日が昇った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回のような仲間割れのストーリーは原作にはなかったのでぜひ書いてみたかったです。
ナイトレイドに亀裂が入ってしまいました、さてどうなるか次回お楽しみに。

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