音楽を斬る
「ねぇ、メロディ」
「何?」
サヨはメロディに聞きたいことがあった、エアマンタに搭乗した時から気になっていたのである、さっきのドタバタのこともあり聞かないでおこうかとも思ったが、やっぱり気になって聞いてしまったのである。
「背中に背負っているの臣具だよね?」
サヨが質問したのはメロディが背中に背負っているものであった、それは見たことがない代物であった、一見リュックサックに見えるが材質は布でも石でも鉄でもなく何でできているのかわからないものである、そしてもっとわからないのがメロディの左肩の上に見えるゆりの花に似たものであった、トランペットに少し似ているが何か違和感を感じる、とにかく異質なものに違いなかった。
(形状は蓄音機をイメージしてください)
「そうよ」
「それってどんな能力なの?」
「知りたい?」
メロディはしょうがないか教えてあげようかって雰囲気を出しながら聞いてきた、そこにツンとした態度のマインが口を出してきた。
「別にいいわよ、どうせたいしたことないに決まってるんだから」
「聞き捨てならないわね、いいわ、この臣具のすごさ見せてあげる」
マインの言葉に少しムッとしてメロディは性能を披露することにした。
「思いっきり驚いてね」
メロディは臣具に装着していた装置を取り出し何か操作し始めた、その装置は黒いロープみたいなもので繋がっている。
メロディが操作を終えるとゆりの花みたいなものから音楽が流れてきた、このあと予想もできないことが起こると予想していた、だが、その後もただ音楽が流れるだけであった。
「ねぇ、メロディ」
「何?」
「音楽が流れているだけなんだけど」
まさか音楽が流れるだけってことはないよね、メロディのことだからとんでもないことが起こるのでは···
「その通りよ!」
「え?」
「この臣具は異空間に保管したレコードを瞬時に転送して最高の音楽を奏でるのよ、保管しているレコードのレパートリーは千種類にも及ぶわよ!」
なにそれ、音楽を奏でるだけって、異空間からレコードを転送って無駄にすごい能力なんだけど。
「全然戦いに役に立たないでしょうが!!」
あまりのバカバカしさにマインは思わずツッコミを入れてしまった、気持ちはよくわかる。
「何言ってるの?こんなすごい能力そうないわよ」
確かに転送能力はすごいんだけど、使い方が完全にブレてる、これを作った人何を考えて作ったのかな?
「もしも戦闘になっても腕っぷしに自信があるからなんとかなるわよ」
自信があるって、確かにメロディは結構強いと思うけど、帝具も臣具もなしで戦えるのかな、まあ、メロディが最前線で戦うことはそうないと思うけど。
メロディはサヨが戦えるのかなと疑問に思っていることを察していた、でもあえて何も言わなかった、口だけならなんとでも言えるからである、メロディ自身も強敵と戦うことはそうそうないと思っていたからである。
そう言えばあのときも腕っぷしに自信があるって言ったっけ
メロディはアカメと最初に会った頃のことを思い出していた、それは妹を必死に守るアカメであった、その時はアカメがあのようなことになるとは夢にも思っていなかったのである。