サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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今年最初の投稿です今年もサヨを斬るをよろしくお願いします。


第百十四話

忠告を斬る

 

 

 

「あれがムスリーの街ね」

 

 

ムスリーの街から離れた場所にエアマンタを着陸させてしばらく歩きムスリーの街が一望できる丘に到着した、ムスリーの街は辺境の街にしては大きな街で前線基地の役割も担っている。

 

 

「ムスリーの街の向こう側は西の異民族の国土なのよね」

 

 

ムスリーの街からはるか離れたところに大きな山が見える、そこは西の異民族の領土であった。

 

 

「山岳地帯だから気温が低いわね、肌寒い」

 

 

明らかに帝都とは気温が違った、冷たい風が吹き荒れている。

 

 

「おしりが特に···えっ!?」

 

 

サヨがおかしいと思い後ろを振り向くとメロディがサヨの着物をめくり上げてサヨのパンツを見つめていた。

 

 

 

(メロディは第七十、七十一話で登場しています)

 

 

「きゃあ!?」

 

 

サヨは着物を押さえてパンツを隠した、サヨは顔を赤くしてメロディをにらみつけた、そのメロディは平然としている。

 

 

「何するの!?」

 

「パンツの確認」

 

「は?」

 

 

パンツの確認って何、何理由のわからないことを···

 

 

 

「あなたが自分を見失って不相応なパンツを履いてないかと思って」

 

「何言ってるの!?」

 

 

なんで私が自分を見失って不相応なパンツを履いていると思っているの、わけわかんない···

 

 

 

「この前の任務で羅刹四鬼のイバラを仕留めたよね」

 

「う、うん」

 

「それが全くの偶然で運良く倒せたんだけど自分の実力不足を痛感したよね」

 

「うん···」

 

「手始めに似合わないエッチなパンツを履いて心機一転を図ろうとしてるんじゃないかと思ってパンツ確認したのよ」

 

 

「はぁ!?」

 

 

なんで私が心機一転するためにエッチなパンツを履くんじゃないかと思うのよ、本当にわけわかんない。

 

 

「簡単に言えばらしくないことをするなってことよ」

 

「らしくない?」

 

「どう頑張ってもあなたはあなたにしかなれないんだから自分を見失わず、何があってもうろたえずに冷静沈着でということよ」

 

 

···パンツのことは今ひとつわからないけど冷静沈着であれって言うのは理解できる、彼女なりに私に忠告してくれているんだ。

 

 

「ところで話は変わるけどお願い聞いてくれる?」

 

「お願い?」

 

 

···なんだろう、メロディのお願いって、いい予感がしないんだけど。

 

 

 

「ちくび見せて」

 

 

そのお願いを聞いた瞬間サヨの顔はこれ以上なく真っ赤になり胸を両手で覆って身構えた。

 

 

「な、な、な、何言い出すの!?そんなことできるわけないじゃない!」

 

 

うろたえて憤慨するサヨを見てメロディはやれやれといった表情でため息をついた。

 

 

「···あなたねぇ、たった今うろたえるなと言ったばかりなのにさっそくうろたえてどうするのよ」

 

「うろたえてるに決まってるでしょ!!」

 

 

いきなり乳首を見せてって言われたら取り乱すに決まってるでしょ、それでうろたえなかったらそれこそ痴女よ。

 

 

「まあ、普通はそうだけど、あなたのいる世界は普通じゃないでしょ」

 

「そ、それは···」

 

 

殺し殺されが当たり前の裏の世界、そんな世界にいるあなたが普通にこだわるの?そうメロディは言いたいのであろう、それでもこれはやはり受け入れられない。

 

 

「甘いと言われてもさすがにこれは受け入れられないわ!」

 

 

メロディはやれやれと呆れるかもしれない、それでもこれが私の譲れない意思だから。

 

 

「まあ、いいんじゃないかな」

 

「えっ?」

 

 

甘いって言われるかと思ったけど意外···

 

 

「今はうろたえてもいいけど、いつか絶対うろたえてはならない時は必ず来るから」

 

 

必ず来る、その通りね、まさかありえないが突然来るのが私のいる世界なんだから···

 

 

 

「隙あり」

 

 

メロディはサヨの左側の襟を掴み思いっきりめくり上げた、その瞬間サヨの左の胸があらわになった。

 

「!!?」

 

サヨは突然のことに頭が真っ白になって動くことができなかった、顔はこれ以上なく真っ赤になっている。

 

 

「へえ、なかなか可愛い乳首じゃない、それに大きさもアカメと同じくらいあるわよ」

 

「きゃあ!!」

 

サヨは慌てて襟を掴んで胸を隠したが後の祭りである。

 

 

···油断した、完全に油断した、メロディがそのまま何もしないなんてありえないのに。

 

 

サヨは顔を真っ赤にしてメロディをにらみつけたがその本人は平然としている。

 

 

 

···怒鳴りつけたいけどメロディはその程度のことでうろたえるなんてまだまだねって言うに決まってる、このままじゃ腹の虫がおさまらない、何かないかな、そうだ!

 

 

「ラバ、見た?」

 

「見たって何を?」

 

 

サヨはラバに胸を見たか確認をしたかった、もし見たらぶっ飛ばすつもりだったのだが、ラバは慌てることなく平静に返事した。

 

 

ラバ、全然慌ててない、もしかして見てないのかな、そうだとしたら問い詰めるのは悪いわね。

 

 

サヨはラバは胸を見てないと判断し、次に移ることにした。

 

 

「イエヤス、見た?」

 

「み、見てない、全然見てないぞ、胸なんてぜ···」

 

 

ボガン!!

 

 

 

イエヤスの言い分を言い終える前にサヨの怒りの鉄拳がイエヤスの顔面に直撃した、イエヤスは思いっきり吹っ飛ばされノックダウンした、ラバはその様子を見てほくそ笑んだ。

 

 

バカな奴、バレバレだぜ。

 

 

ラバもしっかりとサヨの胸を見ていたのだが今の展開になると予想しており瞬時に切り替えたのである。

 

 

 

イエヤスに八つ当たりして多少は怒りが収まったサヨであったがそこにメロディが話かける。

 

 

「イエヤスお気の毒に」

 

「何言ってるの?もとはと言えばあなたが···」

 

 

元凶であるあなたがそれを言う?あなたがあんなマネしたからこうなったのよ。

 

 

 

「確かにおふざけが過ぎたわね、でも取り乱してはいけない場面はいつか必ず来るわよ」

 

「それは···」

 

 

裏の世界は非情な世界、常に冷静沈着でなければならない、サヨもそれはわかっているつもりである、だが常にそうあり続けられるかどうかは自信がない。

 

 

「今は取り乱してもいいけど取り乱してはいけない場面は必ず来るわよ」

 

「う、うん」

 

 

 

メロディの忠告にサヨはただうなずくしかなかった、取り乱したら命取りになる自分がいる裏の世界、サヨは改めて危機感を高めるのであった、そしていつの間にか胸をあらわにされたこと怒りが薄れてしまっていたのである。

 

 

 

 

 


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