サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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久しぶりにサヨが登場します、一応この小説の主人公で間隔が二年近くあいてしまいました、自分で書いておいてなんですが、何はともあれご覧ください。


第百十話

羅刹四鬼を斬る(前編)

 

 

 

サヨがイバラと交戦に入って一時の時間が経ったがサヨが完全に劣勢になっていた、サヨの衣服はボロボロになり、体も致命傷ではないがあちこちに傷を負っていた、一方、イバラは全くの無傷であった。

 

 

「ヘイヘイヘイヘイ!!」

 

 

 

イバラは手刀を繰り出して攻撃していた、ただ、その手刀は普通の手刀ではない、腕が何倍の長さに伸びてほとんどその場から動かずにサヨに攻撃を繰り出しているのである。

 

 

 

 

「くっ」

 

 

サヨは紙一重でイバラの攻撃を回避しようとした、だが、それでも腕や脇腹に傷を負ってしまったのである。

 

 

 

サヨは以前アカメから羅刹四鬼について聞いていた、それは羅刹四鬼の面々は壮絶な修業とレイククラーケンの煮汁を食べてきたことにより常識ではありえない人体変化ができるということである。

 

 

このまま距離をおいて攻撃され続けられたらいずれ体力が尽きて負ける、なら···

 

 

サヨは腹をくくって突撃に転じた、イバラの手刀をギリギリのところでかわしつつ、イバラを斬りつける間合いに近づけたのである。

 

 

いけるか!?

 

 

サヨは村雨でイバラに斬りかかった、かすり傷でも村雨なら確実に仕留められる、そう思ったその瞬間。

 

 

ぐにっ!!

 

 

 

イバラの体がエビのように折れ曲がり、村雨の一撃を回避したのであった、そしてイバラの体からフツフツと何かが浮かび上がってきた。

 

 

 

危ない!!

 

 

 

サヨは直感的に危険を察して後ろに跳んだ、その瞬間、イバラの体から鋼のように固くした体毛が勢いよく伸びたのであった、直撃していれば即死であった。

 

 

 

かろうじて難を逃れたサヨは心から戦慄していた、羅刹四鬼の人間離れした技にただ絶句するしかなかった。

 

 

 

···あんなこともできるんだ、これじゃうかつに近づけない、どうすれば。

 

 

 

打つ手がなくなりつつあるサヨを見てイバラは退屈を感じていた。

 

 

 

コイツ、たいしたことねぇな、村雨持ってるからしびれる戦いを期待したんだが···かつての村雨使いだったゴスキとは雲泥の差だぜ、にしても、もしアカメが生きていれば面白い戦いになっただろうにな···

 

 

張り合いのない戦いで不満のイバラであった、そしてイバラは戦いを楽しむことを諦め、当初の目的を果たすことにした。

 

 

「ヘイヘイ」

 

 

イバラは再び腕を伸ばし手刀でサヨを攻撃しようとした、だが、その手刀は先程のような速さはなかった。

 

 

いける!!

 

 

サヨは村雨でイバラの手刀の先めがけて斬りかかった、なぜ先程の速さでないのか、サヨは疑問に思ったが千載一遇の好機には違いなかった、これを逃したら勝機はない、そう思った瞬間。

 

 

パシィ!!

 

 

 

イバラは村雨を真横の真剣白刃取りで受け止めた、そして受け止めた村雨を放り投げて右手でパシッと受け止めたのであった、イバラはサヨが仕掛けやすくするためわざと速さを落としたのである。

 

 

「はーい、帝具没収ー!!」

 

 

 

イバラは手にした村雨を見てふと思った···全く、あっさり引っかかりやがって、アカメなら引っかからなかっただろうな、にしても相変わらず禍々しい刀だぜ。

 

 

 

イバラは村雨を見たのは今回が初めてではない、ゴスキが所有者だった時にも一度見ているのだ。

 

 

 

イバラが村雨を眺めていると突然異変が起きた。

 

 

ゾゾゾゾゾゾ

 

 

手にした村雨から得体のしれない気配があふれてきたのであった、その瞬間、イバラの表情が凍りついた。

 

 

「な、なんだ、何が起こっていやがるんだ!?」

 

 

予想もしていなかった事態にイバラは心から恐怖し、完全に無防備をさらしていた、そして次の瞬間。

 

 

 

ゴキィ!!

 

「ぐえっ!」

 

 

サヨは恐怖し隙だらけのイバラの首に渾身の飛び蹴りをくらわし骨が折れる鈍い音がした、首がありえないほど曲がり普通の人間なら即死しているはずだがイバラは死なずに立ちつくしていた、それでもかなりの深手である。

 

 

「···まさか、これを狙って、わざと帝具を手放したのか?」

 

 

 

帝具の拒絶反応を利用した巧妙な作戦、そうだとすれば完全にしてやられた、たいしたことないと見下した自分が大間抜けだと心の中で落胆していると。

 

 

 

「そんなわけないでしょう!大事な村雨をあんたなんかに手渡すわけないでしょうが!!」

 

 

村雨を敵に手渡すなんて普通はありえない、そんなまねができるのは大馬鹿か天才のどちらかしかない。

 

 

 

「···するってぇと、たまたまなのか?」

 

 

 

そんな偶然あるのか、そんな都合のいいことが起こるものなのか?イバラの中に怒りが込み上げやがて爆発した。

 

 

「ふざけるなあ!!」

 

 

 

怒りに我を忘れたイバラはサヨに向かって突撃をしかけた、だが首に大きなダメージを受けて先程の速さはない。

 

 

 

「動きが格段に遅くなってる、いける」

 

 

サヨはイバラの右手の手刀を紙一重でかわしつつ、イバラの右脇腹に村雨で斬りつけた、傷口から呪毒が現れ心臓へ向かっていきイバラの心臓を停止させた。

 

 

 

「がはっ」

 

 

イバラはそのまま地面にうつ伏せに倒れた、心臓が停止したことによりもう立ち上がることはできない。

 

 

 

「···なんて悪運の強い女だ、その悪運好きに···」

 

 

イバラの口からそれ以上語られることはなかった、完全に事切れたからである。

 

 

 

「···勝ったの?」

 

 

 

サヨには勝った実感が全くなかった、圧倒的な実力差があり、村雨を取られてもうだめかと思ったら拒絶反応で取り乱し、その隙をついて首にダメージを与えたが致命傷にならず、再び敵が優勢になるかと思いきやなぜか敵は逆上して隙だらけで突撃をしてきてその隙をついて村雨で斬りつけてギリギリ勝ったのである。

 

 

 

「···全然力不足ね」

 

 

 

アカメならもっと楽に勝っていただろう、ほとんど傷を負うことなく勝っていただろう、自分とアカメを比べるのは

おこがましいということはわかっている、だが、そう思わずにはいられないのだ。

 

 

 

「···とにかく今はシェーレの応援に急いで向かわないと」

 

 

後悔も反省も今は後回しだ、今頃シェーレも苦戦しているはず、今は急いで駆けつけないと手遅れになる、サヨはイバラが持っていた包みを拾ってシェーレの元へ急ぐのであった。

 

 

 

 

 

 


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