サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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相変わらず文章がうまく書けません。


第百八話

サーカスを斬る(中編)

 

 

 

「痛てて・・・」

 

「だから言ったじゃないですか、こうなるって」

 

「けどよ・・・」

 

 

少女の右目に殴られた跡がくっきりでていた、少女は食事に不満があり文句を団長に言ったら殴られたのである。

 

 

「飯が水とふやけた黒パンだけだなんて納得できるわけがないだろ」

 

「そうですが、あの人が受け入れてくれるとは思えません」

 

「やってみないとわからんだろ」

 

「その結果が今のあなたです」

 

「・・・とにかくだ、あれっぽっちの飯じゃあ足りないんだ!」

 

「確かにあなたの芸は体力を使いますから」

 

 

殴られた少女の芸は怪力で大岩を持ち上げる芸である、もう一人の芸は四本の腕でナイフを使ったジャグリングで観客のウケは後者のほうがいいのである。

 

「だろ、だから体力つけるためにもメシをたらふく食いたいんだ」

 

「ですが、それを決める権限があるのはあの人です」

 

「わかってるよ、だからムカついているんだ」

 

団長だからって何でもありだなんてありか?神じゃないんだから。

 

 

「とにかく今夜はもう寝ましょう、明日も興行がありますから」

 

「ちっ、わかったよ」

 

 

どれだけ腹を立ててもメシは食えない、ならばさっさと寝て明日のメシにありつけたほうがいい、少女は寝ることにした、そしてものの五秒で眠りについたのである。

 

 

その後も少女は食事に不満を言った、その度に団長からぶん殴られる、その繰り返しで日々が過ぎて行った、そしてある日突然その日々に終止符が打たれることになる。

 

 

 

「な、なんだよ、今日はアタシヘマしなかっただろう」

 

 

団長が険しい顔で二人のもとにやって来た、だがいつもと様子が違う、団長の手には猟銃が握られていたのである。

 

 

「それともアタシがメシよこせってうざいから脅そうってのか?」

 

 

団長は何も語らなかった、ただ不愉快な表情で二人を見ていたのである。

 

 

「一体どうしたのです?何か言ってください」

 

 

団長はようやく語り始めた、そしてその内容はあまりにも衝撃的なものであった。

 

 

「今何て言った?」

 

「お前らをぶっ殺すって言ったんだよ」

 

「な、何で突然、私達に何か落ち度があったのですか?」

 

 

その瞬間団長はさらに険しい顔つきになった、この行動に不本意があるような。

 

 

「噂になってるんだよ、お前らのせいで病気が流行りだしたって」

 

「はあ!?」

 

「一体どういうことですか?」

 

団長は説明した、この地域で最近病気が流行りだしてその原因がこのとサーカスの得体のしれない少女かもしれないという噂が広まっているのである。

 

 

「ふざけんな!完全にでっち上げじゃないか!」

 

「全くその通りです、私達は全く関係ありません」

 

 

「そんなもんどうでもいいんだよ!そんな噂が流れていることが問題なんだよ」

 

 

団長は噂を信じていない、じゃあなぜ殺そうとするのか?

 

 

「このままじゃあ俺も巻き添えで元凶になりかねないんだよ」

 

 

そんなの知ったことか、アタシ達は好き好んでこんなとこにいるわけじゃあないんだ、と少女は言ってやるつもりだった、だがその前にもう一人の少女が口を開いた。

 

 

「そうであれば私達を追い出してください、このサーカスから私達がいなくなればいいんですから」

 

 

少女も勝手な団長に腹は立っていたが文句を言ったところでさらに怒るのは明らかである、ならば最もマシな展開にしたほうがいいのである。

 

 

「それも手だがな、だが俺はゴメンだ」

 

「な、なぜです?もとは充分とれているのでは?」

 

「ああ、そうだ、だがバケモノの指図を受けるのは癪に触るんだよ」

 

「バケモノ!?」

 

「何を驚いている、お前らのようなガキバケモノでなくて何だと言うのだ」

 

「確かにアタシは怪力を持ち、こいつは4本腕だ、だが人間だ!」

 

「いいか、お前らがどれだけほざいても世間の奴らにとってはお前らはバケモノなんだよ」

 

 

 

ちくしょう、悔しいがアタシ達は周りから見れば普通じゃあない、だから親はアタシ達を捨てたんだ。

 

 

少女が落胆している間に団長は猟銃を少女に向けて発砲しようとしていた。

 

「じゃあな、バケモノ、人間に生まれてこれなかった自分を恨むんだな」

 

 

人間に···少女はそう思ったことは無数にあった、普通に生まれていれば親に捨てられることなく平穏に暮らせていたかもしれない、今ここで死んだほうが苦しい人生を送らずにすむかもしれない、その気持ちが足掻く力を少女からなくしてしまったのである。


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