復讐を斬る(中編)
「やめろー!!」
ロリスは男に辱めを受け続けていた、今すぐ反撃して殺したいところだが今だ脳しんとうが回復しておらず、男にされるがままになっていた。
「このケダモノ、ロリスから離れろ!!」
ミーラは蹴りのダメージが回復して起き上がりロリスを助けようとしたがエヴァがミーラの背中を踏み付けて阻止した。
「何をしますの!?」
「邪魔をするな」
「妹が辱めを受けているのを黙って見ているわけないですわ!」
「お前の都合など知るか」
ミーラはロリスを助けに行こうと振りほどこうとしたがエヴァの足はびくともしなかった、その間もロリスは辱めを受け続けている。
「お、女としてこんなマネをして恥ずかしくないんですか!?」
「恥ずかしい?その言葉そっくり返すぞ、お前らの腕を見込んで依頼したのにあっさり返り討ちにされ壊滅しおって、プロとして恥ずかしくないのか?」
「だ、だけど・・・」
「さっきも言ったがプロは結果がすべてだ、お前らが失敗したことで私は笑い者になったのだ、その腹いせにお前らを辱めるのだ、文句あるか」
「文句ありますわ、ロリスが辱めるなんて納得できませんわ!」
「私がやりたいからやるのだ、文句あるか」
「大ありですわ」
「だったらお前の力で阻止してみせろ」
「言われなくても!」
ミーラは懸命に立ち上がろうとするも踏み付けにされたまま身動きがとれなかった、その間にもロリスは辱めを受け続けていた。
「こ、殺してやる、殺してやる!!」
「やれるものならやってみな、ほれ」
ズボ!!
「ああ!!」
「どうした、どうした、さっきまでの威勢はどうした?」
「うっ、うっ、ひぐ・・・」
「指入れたぐらいでべそ泣きか、ガキだな」
「・・・う、うるさい、うるさい」
体さえ動ければこんな奴一瞬で殺せるのに・・・なんで動かないんだ、私の体・・・
恥ずかしさと同じくらい自分の体のやわさに悔しさを感じて涙を流すロリスであった。
妹の窮地にミーラはある覚悟をした、それも命懸けの覚悟を・・・
「今すぐやめさせろ!」
「そんな言葉で私がやめるとでも思っているのか?」
そんな言葉でやめると思っていない、だが私にはとっておきがある!
「今すぐやめさせろ、さもないと・・・」
「さもないと?」
「私の体の中にある爆弾を爆発させる!」
「爆弾だと?」
「そうだ、やめさせないと自爆してお前も道連れに・・・」
「やってみろ」
「!?」
ミーラはわけが分からなかった、爆弾を爆発させると言ってるのにやってみろと言うなんて、信じていないのか?
「嘘じゃないぞ、本当に爆弾が・・・」
「そうだろうな」
「そうだろうなって・・・爆弾が爆発したらお前は死ぬんだぞ!」
「そうだな、だが今知ったから回避は造作もない」
「造作もないって・・・」
「試してみるか、ガキ」
全く恐れることがないエヴァを見てミーラはハッタリではないと痛感するしかなかった、さらにエヴァは畳み掛けた。
「さあ、自爆してみろ、私を殺せるかもしれんぞ」
自信満々のエヴァを見て自爆しても確実に回避される、そうミーラは直感せざるをえなかった、その瞬間ミーラの中の何かが切れた。
「うわあああ!!」
ミーラは泣いた、大声で泣きわめいた、妹を助ける術をすべて失い、ただ泣くことしか出来なかったのである、その光景を見てエヴァは満面の笑みを浮かべた。
「いいな、負け犬の泣き声は実に耳に心地好いな、ハハハハハ!!」
「・・・」
エヴァの非道な様を見てシヴァは不快を感じずにはいられなかった、すぐにでも止めに入りたかったのだが出来ない事情があったのである。
今ウチが止めにいっても素直に聞く奴やない、それに・・・
シヴァは帝具使いになる見返りに自分と同じ異民族のハーフの子供達の食い扶持を提供するようエヴァと取り引きをしていたのである、下手をすれば子供達が身代わりにされるかもしれない、それゆえただ見ることしか出来なかった。
されるがままのロリスを目の当たりにしてマシロはいても立ってもいられなかった、自分も女だこのような
マネ見過ごすわけにはいかん。
マシロはロリスを助ける決意をし駆けつけようとした、だがエヴァの言葉がマシロの足を止めた。
「別に構わんだろ、あんなガキがどうなろうとも」
「だが・・・」
「あいつらは所詮お前の復讐を果たすための使い捨ての道具だろ」
「・・・」
マシロは反論出来なかった、全くの図星だったからである、最初は。
「はっきり言ってあいつらがいない方が果たしやすいのではないか?」
「それは・・・」
マシロはそれも否定出来なかった、的確な分析をすればそれは正しかったからである。
「だが・・・」
女として目の前で起こっていることを見逃すわけにはいかなかった。
「あのガキが犯されるのを黙って見ていればもう一度自由行動与えてやるぞ」
そのひとことを聞いてマシロの心は揺らいだ、何の邪魔もなく復讐に専念できるからである。
・・・私はどうすればいい、どうすれば・・・
マシロが苦悩している間男はロリスを犯さずただロリスの顔を眺めていた、男は女子を犯す前に恐怖に満ちた表情を眺める趣向があったのである。
「どうした、俺は無防備だぞ、俺を殺さないのか?」
「・・・ちくしょお、ちくしょお」
ロリスは大粒の涙をこぼしながら必死に体を動かそうとした、だが全く動けなかった、まだ脳しんとうが回復していなかったのである。
「その悔しさいっぱいの顔たまらんな」
「この変態野郎!」
「そうさ、俺は変態さ、だからお前を犯すのさ」
ロリスは悔しくてたまらなかった、こんな男に好き勝手されることに。
ちくしょう、だから男は嫌いなんだ、下品で野蛮で醜く、あの時だってそうだった、あの時も・・・
数年前
双子は奴隷商人にとある貴族に売り飛ばされて屋敷に連れて行かれたのである。
「今回の奴隷です」
「ふむ、まあまあだな、よし、買うことにしよう」
「ありがとうございます」
奴隷商人は代金をもらうと一礼をして去って行った、その場に双子と貴族の男だけが残った。
「さて・・・」
いやらしい目つきでじろじろ見つめる貴族に双子は強い嫌悪感を感じずにはいられなかった、ただでさえ不細工な顔なのにますます不細工になったのだから。
「まずはお前からだ」
男はロリスの右腕を掴みロリスの頬を舐め回した、ロリスはあまりの悍ましさに全身に鳥肌がたった。
「いやあああ!!」
「いい声だ」
「ロリスを離せ、このケダモノ!!」
泣き叫ぶ妹を助けようとミーラは男に飛びかかるが腹に蹴りを入れられて思いっきり吹っ飛ばされた。
「うえっ・・_」
もろに腹に蹴りを入れられミーラはその場で嘔吐し動けずにいた。
「姉様!!」
「お前の相手は後だ、しばらく待ってろ」
男はロリスの胸ぐらを掴んでそのまま服を引きちぎった、ロリスの左上半身があらわになり左胸が丸見えになった。
「やああああ!!」
「もっと泣き叫びな、さらにそそるからな」
ロリスは大粒の涙を流しながら目の前の男を心底憎んだ、そして何も出来ない自分自身にも・・・
ちくしょお、これからだら男は嫌いなんだ、下品で醜く汚くて、こんな奴にされるがままの私も・・・
「さて、俺のイチモツ入れさせてもらうぜ」
男はスボンを脱ぎ汚いイチモツを丸だしにしてさらに興奮した、そのせいで後ろから近づいてくるある者に全く気付くことが出来なかった。
「まったく本当に男って下品ね」
「誰だ!?」
男が振り向くとそこには一人の女性が立っていた変わった衣装を着ているが極上の美人であった。
「お、お前は?」
「もうすぐ死ぬあなたにはどうでもいいことでしょう」
「は?」
シュッ!!
女が腕を目にも止まらぬ速さで動かした瞬間男の首が胴体からポロっと落ち、落ちた首がゴロゴロ転がり胴体から噴水のように血が噴きだし地に倒れた。
「・・・」
双子はただ呆然とそれを眺めていた、殺したいほど憎かった男ではあったがいざ目の前で死体に成り果てると何も考えられないのである。
「あなた達大丈夫?」
「う、うん、なんとか」
「そう、よかった」
双子はさらに驚いた、今目の前で人を殺した人間とは思えないほど優しい表情をしているから。
「・・・あなたは?」
「私?私は殺し屋よ」
「う、うん・・・」
目の前で人を殺したのだからそうなのだろう、だが、聞きたいのはそんなことではない。
「あなたの名前は?」
「そっちね、私の名前は・・・」
「メラ様、こっちは終わりました」
突然後ろから別の女が現れた、勇ましくいかにも気が強そうな女である。
「ご苦労様」
「ところでそのチビ達は?」
「おそらく・・・」
「そういうことですか、まったくこの男は最低のゲスですね」
「本当ね」
双子は二人のやりとりを見てると不思議な感じがした、この人は部下だと思うのだがそれにしては二人の間にはかなりの親しみを感じるのである。
「メラ様、引き上げましょう」
「ええ」
この人が去ってしまう、双子は何か言わなければならないと思ったが何を言えばいいのかわからなかった。
「どうかしたの、あなた達?」
「ええと・・・」
「私達と一緒に行きたいの?」
「それは・・・」
はっきり言ってそうである、だが今一歩踏ん切りが着かなかったのである。
「・・・」
彼女が何も言わず無言で双子を見つめている、双子はなぜ何も言わないのか不思議だった。
「私の方から誘わないわよ、あなた達が決断しなさい」
「えっ!?」
戸惑う双子に女性はさらに手厳しい言葉を言い付けた。
「私達と一緒に行くということは殺し屋の世界に踏み込むということ、いつ死んでもおかしくない世界よ、
相当な覚悟で決断しないと」
いつ死んでもおかしくない・・・双子はその言葉に恐怖を感じたが、今までの人生だってろくな人生ではなかった。
親からろくな扱いをされず売り飛ばされ、挙げ句の果てにはゲスな変態の玩具にされそうになった、これからの人生だってろくなものにはならないはず、だけどこの人の元なら殺し屋として死んだとしても・・・悔いはない!!
ミーラとロリスは相づちを打った、二人の想いは一緒だからである。
「私達、殺し屋になります、だから一緒に連れて行ってください!」
「想像している以上に辛い最後になるかもしれないわよ?」
「覚悟の上です、だから鍛えてください!」
「殺し屋の修業は厳しいわよ?」
「それでもあなたと一緒にいたいんです、私達は強くなります!」
覚悟を決めた双子を女性はじっと見つめていた、そして優しい笑みを浮かべた。
「あなた達ならそう言うと信じていたわ、いらっしゃっい」
「はい!」
「ありがとうございます!」
双子は大喜びで女性に駆け寄った、だが大事な事をまだ一つ知らなかった、それはこの女性の名前である、双子の様子を見てそのことを察した。
「まだ私の自己紹介していなかったわね、私の名前はメラルド、メラルド・オールベルクよ、私のことはメラって呼んでね」
「お前らちゃんと様をつけろよ」
もう一人の女性がやや不機嫌そうに言ってきた、あまり歓迎していないのだろうか・・・
「もう、ギル、別にいいじゃない」
「いえ、こういうのはきっちりつけないと」
「もしかして妬いてる?」
「そ、そんなことは!」
顔を真っ赤にしてうろたえて否定するもバレバレである、意外にかわいいところがある。
「紹介するわね、彼女の名前はギルベルダ、あなた達の先輩よ」
「ギルベルダだ、一応よろしくな」
「は、はい」
「言っておくがメラ様の愛を簡単にもらえると思うなよ」
「えっ?」
この人は何を言っているのだろう、双子は一瞬思ったがすぐに理解することになる。
「心配しないで、あなたを蔑ろになんてしないから」
「は、はい!」
やや不機嫌だった彼女の表情が一瞬で満面の笑みに変わった、構ってもらえなくなるかもしれないと不安だったのだろう。
「この子達の修業お願いしていいかしら?」
「もちろんです、任せてください」
この人はいいところを見せたいのだろう、これ以上なくわかりやすかった。
「お前らビシビシいくからな覚悟しとけよ」
「は、はい」
キツイ修業の日々が来ることになる、だが今までと違い絶望感は全くない、ここから本当の人生が始まる、ワクワクを感じずにはいられなかった。
「ほうけてるんじゃねぇよ」
男の一言でロリスの回想は中断した、そして絶望的な現実を痛感することになる。
私がこうなったのも元はといえばアイツのせいだ・・・アイツさえ私達の仲間になっていればメラ様達は死なずに今も私達は幸せの中にいたのに・・・
ロリスの目から大粒の涙がボロボロと流れ落ちた。
「大泣きするか、まあそうだろうな」
男は勘違いしているが、これはどうでもいいことである。
「じゃあ、入れるぜ」
「や、やだ・・・」
「痛いのは最初だけだ、そのうち気持ち良くなるぜ」
まあ、このガキなんかどうでもいい、俺が気持ち良かったらいいんだ、天にも昇るような気持ち良さがな
グシャ!!
その瞬間、男は天に昇った、気持ちではなく男の体が空中に昇ったのである、豪快に・・・男をそうさせた人間がそばに立っていた、それはマシロであった、マシロは男をアッパーでぶっ飛ばしたのである。
「・・・マシロさん?」
ロリスは理解できなかった、何故彼女を置き去りにして立ち去ろうとした自分達を助けるのかを。
何とか年内に書き終えました、やはり文章を書くのは難しいです、来年も投稿するのでよろしくお願いします。