Re:ゼロから始める異世界生活~希望の剣掲げしサイヤの戦士~ 作:ファイナルスラッシュ
「まさかこんな早く、俺一人になるなんてな......」
西の都を見つめながら青年、トランクスはそう呟き振り返った。
「マイ......」
そこにはつらい時代を供に生き抜いた最後の一人の墓があった。母を、多くの仲間を、そして愛した女性までもを病により彼は失ったのであった。
「父さん、母さん、悟空さん......」
彼の脳裏には、かつて自分の父やそのライバルと供に戦った最後の戦いがよぎっていた。
『俺の力よ!この世界の、人間の盾になれ!みんなの願いをこの一撃に込める!ギャリック砲ぉぉぉぉ!!!!』
『これが、ベジットブルー!!!』
『ファイナル、かめはめ波ぁぁぁぁ!!!!!!』
『みんなの力を、俺に貸してくれ!』
『貴様の正義など、知ったことか!!』
人々の願いを込めた最後の一撃により人類を滅ぼそうとした神、ザマスを倒したトランクス。しかし、概念のような存在となったザマスにより彼の世界の人類はほぼすべて滅び、なんとかしようと悟空が呼び出した全王により世界そのものが消滅するというあまりにも惨い結末となってしまったのであった。そして、ザマスが事件を起こす前に封じられたこの世界へと来たのであったが結局自分達が命をかけて守ろうとした世界ではない。覚悟はしていても日に日に心を疲弊していったマイは不治の病にかかり命を落としたのであった。
「俺は......もう......」
トランクスの心はもう折れかけていた。自分が生きている意味はあるのかと......そんなときだった。
「はっ!!!!なんだ、この妙な気は!」
自分に向かってくる気を感じ取ったトランクスは身構える。また新たな敵が現れたのかと。しかし、現れたのは。
「な、なんなんだ。この光の玉は。気弾ではない?」
彼の目の前にあるのは宙に浮かんだ光の玉であった。
「......あなたがトランクスですね?」
「!!なんなんだ、貴様は!なぜ俺の名前を!」
未知の存在が自分のことを知っているという事実に彼は警戒態勢を強めた。
「単刀直入にいいます、私は12ある宇宙とはまた別の世界から来た神です。トランクス、あなたには私の世界をすくってほしいのです。
「......なぜ俺にそんなことを頼む?俺を知っているのなら父さんたちのこともしっているんだろう?」
「あなたでなければならないのです、トランクス。人々の願い、希望をその身に宿すことができ、神の世界に立ちつつある貴方でなければ。」
「.......」
トランクスは神と名乗る存在に対して警戒せずにはいられないでいた。自分のいた世界はその神によってほろぼされたのであったから。
「私の世界にある神が進入してきたのです、あなたがよく知っているものです。」
「なに!?ま、まさか......」
「そう、ザマスです。」
驚愕したトランクス。まさか全王によって世界ごと消されたザマスがまだ生きていていたことに。
「なぜやつが!よりによって、なぜザマスが生きている!俺の世界を滅ぼしておきながら、なぜやつが!」
「あなたの怒りはもっともです。お願いします、どうか手を貸して頂けませんか?」
「......」
彼は、決意した。その折れかけた心を奮い立たせたのであった。
「わかりました、行きましょう。あなたの世界に!」
「トランクス!」
「この世界には俺がいる意味はない。ならば俺の力を必要としている世界を、今度こそ救うだけだ!」
彼は行く。その背にかつて希望と願いを込められた剣を背負って。
次は未来トランクスの旅立ち時点でのプロフィールを紹介します。