異世界転生すると美少女になれるって本当ですか!?   作:DENROK

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メカ回。 バーナザリック守護者定例会議回。


第27話:

 

 

 

 ガルガンチュアの胸部に埋め込まれた鼓動する赤い物体。

 これは世界級(ワールド)アイテムである。

 通称。無限エネルギー。

 文字通り、無限のエネルギーを生み出す。

 これは半永久的に動力を生み出すという意味と同時にもう一つの意味でも無限であった。

 出力が無限なのである。

 文字通り、無限の出力を誇る。まさに世界の名を冠するに相応しい性能。

 理論上は惑星を超え宇宙全てのエネルギーを賄うことさえ可能である。

 ただし、このアイテムは有線・無線を問わず繋がっているパーツに応じて必要なだけの出力しか行わないため、宇宙全体に動力を行き渡らせるにはそのためのシステムを組む必要がある。

 

 「というわけで、まずは惑星全体のエネルギーをコレで賄うわけよ。そのための無線送電施設を造ったわけね!」

 

 「造ったという過去形なのはおかしいですよね。なんで何の相談もなく第四階層が機械化されちゃってるんですか」

 

 モモンガは第四階層の一角を占める山のように巨大な機械の塊を見て嘆息する。

 

 「それはあんたがアルベドに夢中だったからよ。気持ち良いことしてる時に邪魔したくないし」

 

 「事後に事後報告とかいう洒落ですか?」

 

 「我ながら激うまギャグでしょ?」

 

 インランはドヤ顔で激しくウインクをかました。

 そのまま嘲るように喋る。

 

 「まぁ、アレよね。あたしも後で言おうとは思ってたけどまさかこんなに遅くなるとは思ってなかったわ。どんだけアルベドと盛り合ってたのよ?」

 

 「いえ、まぁ性欲が衰えないもので。インランさんがこんな体にしたせいですよ」

 

 「ほほう、何発くらいヤったの?」

 

 「さぁ? 十回以降は数えてないですね。さすがに終わりが見えなかったので途中で切り上げました」

 

 ジト目でインランがモモンガを見つめた。

 

 「アルベドがマジで精液便所化してる件。あんたちゃんと責任とんなさいよね」

 

 「さすがに妊娠したら出来ちゃった婚ですかね」

 

 「んー? 妊娠はどうなのかしらね。あたしも全くメイドが孕む気配がないし、もしかして種無し?」

 

 暫し二人で考え込む。

 

 「それは…… なんかショックですね……」

 

 「そうね、あたしも今は男なのか女なのか良くわかんないけど、生物としてどうなのかしら」

 

 沈んだ空気を払拭するように口を先に開いたのはモモンガだった。

 第四階層の一角に新たに出現した機械の城とも言うべきモノを眺めながら喋る。

 

 「まぁそれは追々考えればいいでしょう。子供が出来ないのは寧ろ長く楽しめるという見方も出来ます」

 

 「ギルド長がただのスケベになっちゃったわ。たっちゃんとか、ギルメンの皆が泣きそうね」

 

 「おほんっ、それはもういいでしょう! とにかく! コレを説明してください」

 

 わざとらしく話題を逸らしながら、モモンガは目の前の機械の城を指さした。

 

 「んーと、あたしが造ってた宇宙要塞アーマーンの基礎フレームを転用してるから、大して資源は新しく投入していないわよ。動力ケーブルはメタトロン、フレームはメガストラクチャーね。惑星一つ分のエネルギーくらいなら出力しても問題ないはずよ。元々超巨大な恒星を消滅させる兵器を搭載するような宇宙要塞の基礎フレームを転用してるからね。一応暴走した時の被害を最小限にするために、外殻は破壊不可オブジェクトのメガストラクチャーですっぽり覆ってあるわ」

 

 「ふむ、使い道はあるんですかコレ?」

 

 「無線給電装置を組み込めば、何処でも無限エネルギーを受け取れるんだけど。コレ以上の使い道があるかしら? 宇宙要塞アーマーンの機関部を安く組めないか考えてたら閃いたのよね。地上から動力を送ればいいってね」

 

 「発想は素晴らしいと思いますが、ちゃんと地表まで動力が届くんですか?」

 

 当然の疑問をモモンガが口にする。どんなに素晴らしい話も机上の空論では意味がない。

 それに対してインランはこれまで検証で得られたデータを語る。

 

 「元は随伴する無人機に無線給電する装置だから不安もあったんだけど、ガルガンチュアを組み込んでいない試験的に造った装置はちゃんと地上まで届いたわよ。ただ距離が開くと減衰しちゃうから、宇宙まで動力を届けるには無限の出力で距離減衰を無視できる無限エネルギーじゃないと厳しいかもね。地表部に宇宙へ向けた指向性の送電施設を建造してもカバー出来る範囲は限られるし。無限エネルギーの出力でゴリ押すのが無難ね」

 

 「なるほど、ゴリ押しなんですね」

 

 結局の所、世界級(ワールド)アイテムの無限の出力という数字を超えた性能頼りということだ。出力が無限であればいくら減衰しても問題ない。無限からいくら数字を引いても無限なのだから。

 

 「そうね、これでマクロスは2つの動力系統を持たせられそうね。ナザリックからの無線給電と、内部の動力炉の2つ」

 

 モモンガはうんうんと頷く。インランの造った物の中ではまだ使い道があるマトモな部類だからだ。神器級(ゴッズ)のディルドを造られるよりは全然良い。

 

 「ただ、思ったんですけど、常時《転移門(ゲート)》を開いてその穴からマクロスにケーブル引くなり無線飛ばせばいいんじゃないですか?」

 

 「それは今後の検証次第ね。宇宙で魔法がどんな挙動をするかの検証が全然出来てないから、今度マクロスクォーターを宇宙に飛ばして色々検証するわ。トラブルで地表まで帰って来れないかもしれないから最初は遠隔操縦ね」

 

 話が着々と進んでいく。マクロスの建造が終わるのはまだまだ先なので検証する時間には余裕があった。

 未知は検証してしまえば未知ではなくなる。この検証作業も未知を既知にするユグドラシルプレイヤーらしいとも言える。

 

 「そもそもヴァルキュリアの失墜は何処まで出来るんでしょうか?」

 

 「あたしに聞かないでよ。この世界の運営に聞いて頂戴。ただ、あたしの私見ではフレーバーテキストがかなり忠実に再現されてるみたいね」

 

 「では宇宙でも可変戦闘機が使えると?」

 

 「多分ね。本来宇宙戦用の機体だし。ということはジェットエンジンを使ってる設定の戦闘機は全く使えない可能性が高いわね。今後は宇宙用の機体も造りましょう」

 

 ヴァリアブルファイターと呼ばれる可変戦闘機群は、コラボ元の設定的に一部を除いて地上と宇宙の両方で使うことを想定したものである。この世界の法則ではアイテムに込められた設定が優先される傾向があることを二人共実感していた。どの程度設定が活きるのかはある程度手探りで探っていくしかない。

 

 「という名目でメカ造りたいだけですよね?」

 

 「良く分かってるじゃないの」

 

 インランは満面の笑みを浮かべた。実に楽しそうである。

 

 「まぁ、宇宙戦用といえば、アレよね」

 

 「アレですか?」

 

 「そうよアレよ。ガルガンチュアみたいな攻城用決戦兵器だからコストが恐ろしく重いけど、ゆくゆくは量産したいわよね」

 

 「もしかしてギルドメンバーが猛反対したアレですか? 世界観に全く合わないから却下された」

 

 モモンガには思い当たるゴーレムがあった。

 

 「あたしはファンタジー世界に喧嘩を売ってるみたいで大好きだったんだけどねぇ。いいわよね。幻想的な装いのギルド拠点をビーム兵器に蹂躙された相手はどう思うのか想像するだけでゾクゾクするわ。もしもナザリックが攻め込まれた時に実戦投入出来ていたら伝説になってたわよきっと」

 

 「いや、所詮はゴーレムですから、プレイヤー達にタコ殴りにあって瞬殺されて終わりですよ。ただのデカい的です」

 

 「運用次第じゃないの、孔明ちゃんが上手いこと使ってくれたかもしれないわよ」

 

 「その当人が猛反対したんじゃないですか、無駄の塊だって」

 

 「浪漫が分かんない人はつまんないわねー」

 

 インランは頬を膨らませて愚痴を溢す。

 

 「まぁいいわ。随分昔の話だしね。今はあたしの好きにやらせて貰うわ」

 

 「インランさんは元々好き勝手してたでしょ」

 

 インランは目を逸らした。やらかし具合では割とマジでギルドを追放されかねないこともしているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カウンターに突っ伏すようにしてアルベドが呟く。

 

 「腰が痛い……」

 

 「うぷぷ、もう年なんでありんすね」

 

 シャルティアが嘲笑うと、アルベドは得意げに言い返した。

 

 「くふー! これはモモンガ様から頂いた愛の証よ! 痛みを味わうためのあえてポーションを飲まないという贅沢なのよ!」

 

 「くぅっ、わらわだってインラン様に愛して頂いているでありんす! 羨ましくないでありんす!」

 

 ここはナザリック内のバーである。

 定期的に守護者達は時間を取って集まっており、今はその定例会議だった。

 当然アルベドとシャルティア以外にも守護者全員がバーのカウンター席に仲良く並んで座っている。

 二人の大人(?)な会話に近くに座るアウラは顔を赤らめていた。アルベドの太ももに垂れているモノを見てしまい褐色の肌がさらに赤く染まる。

 

 「羨ましいですぅ。私はインラン様の寵愛をあまり頂けておりませんのでぇ」

 

 背中に6対12枚の純白の翼を背負い赤い長髪を背中に流して両目を眼帯で隠した天使のサマエルがアルベドとシャルティアの方を向き、頬に手を当てながら呟いた。

 サマエルは厳密には地上領域守護者だが、階層守護者相当の扱いで会議に参加している。同じ扱いで宝物殿の領域守護者である埴輪も大仰な動作で手元のグラスを傾けてカウンター席に座っていた。

 

 「ふむ、最初に至高の御方の御子を身籠もるのはアルベドかもしれません。楽しみですね」

 

 「フシュゥッ! 実ニ素晴ラシイ。至高ノ御方の御子息ニ爺ト呼バレル日ガ待チ遠シイゾ」

 

 「モモンガ様の御子ですか、実に素晴らしいですね。仮にアルベド殿がモモンガ様の妃となった場合は、アルベド殿は私の義母になるのでしょうか?」

 

 埴輪の発言に場が静まりかえる。無駄に蕩けた顔をしていたアルベドも目が点になった。

 

 「「「え゛ぇ゛……」」」

 

 「インラン様は自分のことはママと呼べと以前私に仰れておりましたので、もしや私には二人の母が居ることに? アルベド殿も今後はママとお呼びした方が宜しいのでしょうか?」

 

 「ま゜!!」

 

 「ちょっ!? アルベド!? どうしたでありんすか!?」

 

 突如アルベドが奇声と共にカウンターに突っ伏して痙攣を始める。

 介抱は隣に座っていたシャルティアに任せ他の守護者達は反対側、埴輪の居る方へと向いた。

 

 「ママ……ですか? インラン様が君にそう仰られたと……?」

 

 「その通りです。宝物殿から出られない私を外に連れ出して頂くなど、まさに母の如き慈愛に溢れた御方です」

 

 こくこくと頷きながら埴輪は手を胸に当てて感動に震えるようにジェスチャーを行う。

 

 「やはり君は至高の御方から特に目をかけられているようですね。そういえば至高の御方々の過去も君はある程度知っているのでしたね? せっかく話せる機会を得られたのですから、何か話を聞かせて貰えないでしょうか?」

 

 「……ウルベルト様の話を聞きたいのでしょうが、私が知ることは本当に僅かなものですよ?」

 

 「構わないとも、自身の創造主の話ならばどんな内容でもかけがえのない至宝ですよ」

 

 埴輪に向き合うデミウルゴスはウキウキとした様子である。普段の冷静沈着さとの差や、気持ち前に乗り出していることからも、興味のほどが埴輪に伝わってくる。

 

 「宝物殿でモモンガ様とインラン様がお話になっていた内容なのですが、なんでもウルベルト様はリアルにおいて、インラン様に新しい職業を斡旋されたとのことです」

 

 「ほう! それはどんなものなのでしょうか?」

 

 「詳しくは分からないのですが、なんでも身分が保証された職業ということです」

 

 「身分ですか?」

 

 「はい、それまでウルベルト様はリアルでは非常に危険な職業に就いていたそうです。インラン様の権限で身分を保障して新しい職業を斡旋したと。そのような事を以前お話になっておりました」

 

 埴輪の言葉を受けて、デミウルゴスは暫し黙考する。

 

 「なぜウルベルト様は危険な職業に就いていたのでしょうか? あえてやる理由が? ふむ、ウルベルト様の野望にとって必要だったのかもしれませんね」

 

 「恐らくそうなのでしょう。御身を危険に晒してもやる価値があったのだと愚考します」

 

 デミウルゴスの考えを埴輪が肯定する。

 

 「リアルとは一体どんな世界なのでしょうか? 君は何か知っていますか?」

 

 「……そうですね。しかし、デミウルゴス殿もウルベルト様や至高の御方々から少しはお聞きになっているのではないですか?」

 

 埴輪の言葉にデミウルゴスは頷く。

 ナザリックの守護者クラスでリアルについて聞いたことがない物はほとんどいないだろう。至高の存在同士の世間話でよく話題に上がるからだ。

 しかし、至高の存在がリアルを語る時は大抵否定的な内容である。

 仕事が辛いとか、いかにリアルが酷く辛いかといった話題であることが多かった。リアルを至高の存在が好意的に語ったことは皆無といっても問題ないかもしれない。それはデミウルゴスが敬愛してやまない創造主であるウルベルトも同様である。

 それなのに、何故か至高の存在は定期的にリアルへと消えてしまうのだ。むしろリアルにいる時間の方が多い。

 ナザリックのシモベ達はデミウルゴスも含めてそのことがずっと不満だった。

 

 「至高の存在はリアルでは人間として過ごしているようです」

 

 「なんと!?」

 

 埴輪の発言にデミウルゴスが驚き、しっかりと話に聞き耳を立てていたこの場の面々も驚愕する。

 

 「以前、至高の御方々が、リアルでは不自由な人間だがこの世界では異形種として自由に過ごせて楽しいと仰られておりました。そしてリアルでは至高の御方々が不自由な人間として過ごしていると考えると、色々と辻妻が合います」

 

 至高の存在の世間話から推測するにリアルは汚染された世界。

 頑健な体を持つ異形種ならば問題にもならない。

 しかし、人間ならば話が変わってくる。脆弱な人間の体には命に関わるかもしれない。

 

 「恐らくですが、インラン様がウルベルト様に斡旋された身分の保障された安全な職業とは、そのままの意味なのではないでしょうか。聞いた話から推測するにリアルには特権階級が住まう清浄な場所があるようですから。そこに近しい場所での職業という意味なのではないかと」

 

 「それは……」

 

 デミウルゴスは愕然とする。

 知らなかった。そんなこと考えもしなかったのだ。

 

 「ひぃっ!」

 

 悲鳴が上がり、デミウルゴスと埴輪がそちらに顔を向ければ。

 アウラが顔を悲痛に歪めていた。

 

 「ぶ、ぶくぶく茶釜様がぁ!」

 

 「お助けしないと!」

 

 マーレも必死な顔で叫ぶ。

 二人共今にも武器を持って飛び出しそうな勢いである。

 

 「……二人とも落ち着いて下さい。私が聞いたところではぶくぶく茶釜様はリアルではせいゆうという職業で身を立てていらっしゃるそうです。モモンガ様はその声をリアルで聞かない日がないと仰られておりました。それだけ精力的に活動されるだけの何かがリアルにはあるのではないでしょうか? 至高の御方がリアルで活動することを望んでいらっしゃるのであれば、我らシモベはそれを笑顔で──」

 

 「でも! 危ないんでしょ! だったらすぐにでもナザリックにお連れしないと!」

 

 「そ、そうですよ! ぶくぶく茶釜様の危険が危ないんです!」

 

 埴輪が神妙な声音で蕩々と語るのをアウラとマーレが遮った。その目からボロボロと涙も零れ出す。

 

 「落ち着きなさい! シモベである私達が至高の御方々を信じなくてどうするの!」

 

 アルベドの一喝で場が一瞬静まりかえる。

 

 「でも! でもぉ!」

 

 ボロボロと涙を零しながら反駁しようとするアウラを、立ち上がったアルベドが頭部を豊かな胸に挟むようにして抱きしめた。

 アウラの鼻一杯に濃厚な栗の花の匂いと汗の匂いが混じった咽せかえるような香りが広がる。脳が一瞬フリーズするレベルの香りの濁流である。アルベドは行為の後で風呂に入っていないのだろうか。

 

 「至高の御方々はきっとリアルで御身にしか果たせない偉大な使命を果たされているのよ。大丈夫だわ」

 

 「う、うん…… ちょっと臭いから離してくれる?」

 

 「え? そ、そう?」

 

 アルベドの双丘から顔を引き抜いたアウラはグシグシと涙を拭う。少し落ち着いた様子に見える。

 今度はアルベドはマーレに向かって両手を広げた。

 

 「マーレも泣き止んで頂戴。ホラ、いらっしゃい」

 

 「うぐっ、ぐずっ、くさそうなので、いいでず」

 

 マーレは涙をゴシゴシと拭ってしっかりと拒否した。

 デミウルゴスが再び口を開く。

 

 「……至高の御方々は何故危険を冒してまでリアルに向かうのでしょうか?」

 

 「ふふん! わたしはインラン様に寝物語でリアルでの事を沢山聞いているでありんす!」

 

 思わぬところから言葉が飛び出し、この場の視線がそこに集まる。

 まさかのシャルティアである。シリアスから限りなく遠い存在かと思われたが、とんだダークホースであった。

 

 「リアルにはえろげーなるものがあるそうで、ペロロンチーノ様はそれにお熱でナザリックにあまりお戻りにならないそうでありんす」

 

 「あっ」

 

 埴輪が思わず言葉を溢し守護者達が顔を向ける。

 

 「いえ、なんでもありません。どうぞシャルティア殿、話を続けてください」

 

 「えろげー? 何それ?」

 

 「何でもとんでもなく面白く魅力的な娯楽だそうでありんす。ナザリックにはどうしても持ち込めずに、ペロロンチーノ様とインラン様はえろげーをナザリックに持ち込もうとそれはもう大変な試行錯誤を行ったとか。ナザリックの外でも他のプレイヤーが持ち込もうとして命を散らすほどだそうでありんす」

 

 「ふむ、そこまでするほどのリアルにしかない魅力があるということなんだね?」

 

 デミウルゴスは真面目な顔で考え込む。

 埴輪は明後日の方向を向いていた。

 

 「ウウム、武人建御雷様ハ、リアルデ武ヲ磨キ上ゲラレテオラレルノカモシレヌナ。アエテ脆弱ナ人間ノ体ニナリ危険ナ環境ニソノ御身ヲ置クコトデ」

 

 「確かに、武人建御雷様ならばそういうお考えをお持ちになられるかもしれないね。リアルは危険だが、それに見合うほどの魅力があるのかもしれない」

 

 コキュートスの言にデミウルゴスも同意する。

 

 「つまり、我々シモベ達が御方々にリアルに勝る魅力を提示出来なかったということなのかしら」

 

 アルベドの言葉に場が再び静まりかえる。

 最初に静寂を破ったのは埴輪だった。

 

 「しかし、モモンガ様とインラン様はナザリックに最後までお残りになって下さいました。この事実を受け止め、我々はナザリックが御方々にとってより魅力的な場所になるように尽力するべきなのではないでしょうか」

 

 その言葉を受け、この場の守護者達の表情が変わる。

 

 「私は元よりそのつもりですがぁ、皆さんはご自分の創造主と今ナザリックに残っている御方々のどちらを取るんですかぁ? 私は他の至高の御方にはお会いしておりませんし、インラン様がナザリックにいらっしゃいますからぁ、あまり偉そうなことは言えませんねぇ。んー、でもぉ、インラン様がナザリックから出て行かれるのであればなんとしてもついていっちゃうかもぉ?」

 

 それまで静かにしていたサマエルが間延びした声で語った。

 

 「確かに、最後まで残って頂いた慈悲深き御方々に全力で忠を尽くすのがシモベとしての在り方なのでしょうね。しかし私もウルベルト様にお帰りになって頂けるのであれば全てを投げ打ってしまうでしょう」

 

 「う、確かにわたしもペロロンチーノ様にご帰還して頂けるのであれば……」

 

 「あたしもぶくぶく茶釜様にお戻り頂けるならそうしたいよ……」

 

 「うぅ、もう一度ぶくぶく茶釜様に会いたいです……」

 

 「武人建御雷様ハ誰ヨリモオ強イ。アノ御方ガリアルヲオ選ビニ成ラレタノデアレバ、私ハナザリックノ刀トシテアノ御方ノシモベに相応シク在ルダケダ」

 

 ボロボロと守護者達の口から本音が溢れていく。

 

 「私は創造主たるタブラ・スマラグディナ様からナザリックの王であるモモンガ様を守る盾となるべく生み出されたのよ。たとえ創造主がこの場にいらっしゃらなくとも、その使命を全うするわ」

 

 アルベドは毅然とした顔でそう宣言した。

 守護者統括に相応しい言葉を受けて、他の面々も覚悟を決める。

 ナザリックに残った二人の至高の存在に忠を尽くす覚悟を。

 確かに自身の創造主は何にも代えがたい存在である。だが、最後まで残った慈悲深い二人の至高の存在もまた何よりも尊い存在なのだ。

 

 「んー、それじゃーですねー。インラン様にリアルから至高の御方々に帰還して頂けるように、お願いしてみますぅ?」

 

 「「「え?」」」

 

 「いやぁ、お願いするだけならぁ、タダじゃないですかぁ? せっかくですしぃ、お願いしてみましょうよぉ」

 

 至高の存在にシモベが何かを願う。要求する。

 あまりにもぶっ飛んだサマエルの発想に他の守護者達は体に震えが走った。

 考えるだけで胸が潰れるような恐れが起きるというのに、ソレを事も無く言ってのける胆力。

 サマエルが守護者達から一目置かれた瞬間である。

 

 

 




 アルベドの胸から濃厚な精液の匂いが迸るのはパイズリしまくったせい。ありんすにモモンガに愛された証を全身で見せびらかすために行為後禄に体を拭いていない。
 そんなところでパフパフされたアウラはご愁傷様です。
 アルベドの服はマジックアイテムなので汚れないせいでぱっと見わからないという罠。

 シャルティアはなんだかんだ言いつつもインランの寵愛を受けまくってるので元気。
 寝物語で頻繁に慰められているのが大きい。
 アルベドも同じような理由で元気。


 ☆無限エネルギーのメタ的解釈
 接続されたパーツに対して過不足ない量のエネルギーが流れ込む。接続は無線・有線問わない
 惑星の全ての機材に接続されていれば当然全ての機材に必要なだけのエネルギーが流れ込む
 接続機材の数や規模に制限はない。宇宙の端から端でもなんらかの手段で繋がっていれば必要なだけのエネルギーが届く

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