異世界転生すると美少女になれるって本当ですか!?   作:DENROK

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超希少魔法金属の名前ですが、”メタトロン”とします。
強そう(小並感)


第10話:世界の中心

 

 

 ナザリック地下大墳墓、第六階層。地下大闘技場。

 

 「クンニしろおらああああああ!!!」

 

 「わぷ!? おまっ、やめれええええ!!」

 

 馬乗りになった少女は、パワードスーツの装甲が覆っていない下腹部を、黒髪の青年の顔面に体重を乗せて押しつける。

 

 少女の服装は全裸の上にパーカー1枚を纏っただけである。

 

 「おらおら! ア! ちょっといいかも!」

 

 「ぶひぇ! やめ、やめろおおおお!!」

 

 顔面をビショビショにしながら黒髪の青年が吠える。

 

 「おっふ…… 息がかかるッ んっ!」

 

 少女は身を捩らせる。

 

 そんな支配者2人の情事を、遠隔地から魔法によって守護者達が観ていた。

 

 

 

 散々顔面に粘液を塗りたくられたあとで、青年は開放された。前髪まで濡れて額に張り付いている。

 

 「なんか良い香りが鼻一杯に広がって、くそ!」

 

 どこからか取り出したタオルで、漆黒のアカデミックガウンを羽織った黒髪黒目の青年──モモンガはゴシゴシと顔を拭う。

 

 「全力戦闘は楽しいわね! 格下相手に無双するよりもずっと楽しいわ!」

 

 「アホか! 修繕費用にいくら掛かると思ってるんだ!」

 

 「ふん、大した額じゃないわ。ちゃんと払える金額で遊ぶ分には全然オッケーよ」

 

 地下闘技場は過去のモノとなり更地と化している。さらに闘技場があった場所の周囲に広がっていた森も所々禿げ上がり土の地面が捲れ上がっていた。明らかに金貨消費の発生しない自然修復可能な範囲を大きく逸脱した拠点ダメージである。

 

 「まぁ、今度から大規模戦闘をするなら山河社稷図を展開してからやりましょうか」 

 

 「まさか仲間達も模擬戦に使われるとは思ってなかっただろうなぁ……」

 

 パワードスーツである機械の獣を纏った少女であるインランの言葉に、モモンガは遠くを見ながら呟く。

 

 ボロボロになった二人の支配者は、もっとボロボロになっている自分達の領地を見ながら、戦闘の後片付けにシモベ達が奔走するのとすれ違うようにしてその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナザリック地下大墳墓。第九階層のバー。

 

 虫の異形が巨体をカウンターの前の椅子に乗せ、ちびちびと酒を呷っていると、隣の席に赤いスーツを着てメガネをかけ髪をオールバックにした悪魔が座る。悪魔の腰からは甲虫を思わせる尻尾が伸びている。

 

 「……デミウルゴスカ」

 

 「友よ、落ち込むことはない。むしろ至高の御方直々に手合わせして頂ける幸運を噛みしめるべきではないかね」

 

 「ソノ通リダ。シカシ……」

 

 「君は強くなっているよ、過去の君に比べればね。至高の御方達の仰るように、我々には経験が圧倒的に不足しているのは事実のようだ」

 

 「アア、自分デモ痛感シテイル。私ハ、自分ヲ一振ノ刀ダト思ッテイタノダガ、トンダナマクラノヨウダ」

 

 「至高の御方に直々に鍛え直して頂けば、素晴らしい切れ味の刀になるだろうね」

 

 「フッ、御方ニハ感謝シテモシキレナイ」

 

 バーのマスターは2つのグラスをカウンターにスッと置いた。黒色と金色の液体がグラスの中で混ざり合っている。

 

 示し合わせたように2体の異形はソレを手に取ると口に持っていった

 

 「「美味い」」

 

 

 

 2体の異形が静かに酒を酌み交わしていると、黒髪ツインテールの美しさと愛らしさが共存するまさに神の美貌を持った少女と、黒髪黒目に利発そうな顔立ちをした青年が仲良くバーの入り口から入ってきた。

 

 「わははははは! やっぱり酒飲むならここよね! あ! あんた達が飲んでるのってアレでしょ! 新作!」

 

 「蜂蜜種と黒ビールの悪魔合体カクテルですよね。何故か美味しいという」

 

 「美味いものと美味いものを混ぜたらもっと美味いものが出来るのは当然でしょ!」

 

 「甘さと辛さが腹の中でぐるぐるして気持ちがいい」

 

 「貰うわよ!」

 

 「「あっ」」

 

 少女が飲みかけのグラスを2体の異形から取り上げると、カパカパと口に流し込んでいく。

 

 「うん! おいしい! マスターおかわり!」

 

 「かしこまりました。インラン様」

 

 「ちょっと、こんなところでまで偉そうにするのはやめて下さいよ。みっともないなぁもう。……お前達、すまなかったな。マスター、2人にも新しいものを用意してくれ」

 

 「かしこまりました。モモンガ様」

 

 少女と青年は、カウンター前の2体の異形の隣の席に座る。

 

 無垢な顔をした少女が、隣の席の巨体の虫の異形を見て声をかけた。

 

 「ところでコキュートス、体の具合はどうなのよ?さすがにあの状態からだとエリクサーでも心配だわ」

 

 「ハッ、問題アリマセン」

 

 「さっきもギルド長が得意のキレ芸でうるさかったのよ」

 

 「いやいや! 胸しか残ってないシモベ見たら誰でもキレますよ」

 

 テーブルに身を乗り出して、黒髪の青年が話しに割り込んでくる。

 

 それに対して、少女は冷ややかな目線を青年に送って口を開いた。

 

 「体で覚えるならあれくらいやんないと意味ないわ。近接職ってそういうものなのよ。攻撃を捌いてナンボの世界なんだから。後衛がえらっそーに高説たれないでくれないかしら?」

 

 「ぐっ、そうなのかもしれませんが、さすがに瀕死にすることはないでしょう!」

 

 「治癒魔法で全部治っちゃうんだから、かすり傷みたいなもんよ。死ななきゃ安いはプレイヤーの常識でしょ?」

 

 「インラン様ノ仰ル通リデス。攻撃ヲ捌キキレナカッタ私ニ問題ガアリマス」

 

 「そうは言うがなコキュートス、お前は知らないかもしれないが、この馬鹿が叩き込んだ攻撃はレイドボス級を削り切るためのコンボだぞ」

 

 「逆よ、それだけの攻撃を受けても死ななかったという点を褒めるべきよ。ちゃんと成長してる証拠じゃないの」

 

 「はぁ……そんなに急がなくてもいいんじゃないですか? なんでも法国曰く次のプレイヤーが来るのは100年後らしいですよ?」

 

 「100年後にはコキュートスは立派な前衛になってるわね。あたしも楽出来そうだわ」

 

 「マコト!マコトニ有リガタキ言葉!私ハ御方々ニ仕エラレテ幸セデス!」

 

 感極まったように、巨体の虫の異形がプルプルと震える。ぽんぽんと金属のような光沢を持つ虫の異形の外骨格の肩を隣の席に座る赤いスーツを着た悪魔が叩いた。

 

 「そろそろコキュートス用にパワードスーツを一機作ろうかしら。約束は守らないとねぇ」

 

 「……メタトロンは生産しませんよ。賢者の石で生産する素材の候補は他に山ほどあるんですから。あんな生産効率の悪い素材は後回しです」

 

 「えぇ。いいじゃない。普通の防具を着れないコキュートスのためよ。そうだ、守護者の装備のグレードを神器級(ゴッズ)で統一しましょうよ」

 

 「それは俺も考えていました。賢者の石を取ってきたことだけはインランさんを褒めてもいいですよ」

 

 「ちょっと! あたしには褒めるところしかないでしょうが!」

 

 「えぇ……」

 

 賑やかになったバーの中で、シモベ達は二人の主を見て微笑む。

 

 朗らかな空気がバーには流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ナザリック地下大墳墓。第十階層。ナザリック執務室。

 

 執務室最奥に設置された黒壇の重厚な執務机の前には2つの椅子が置かれ、それぞれに黒髪の青年であるモモンガと、裸体を1枚のパーカーで隠した超絶の美貌の少女であるインランが座っている。

 

 執務机の反対側には、ナザリックが誇る知性面に秀でたシモベ3人が並び直立していた。それぞれ埴輪に淫魔に悪魔である。

 

 「先にお伝えした通り、法国が会談日時と場所を指定してきましたわ」

 

 清楚な雰囲気を纏った見目麗しい淫魔が金色の瞳に知的な光を宿して、この場で最初に口を開いた。

 

 「そうか、まぁ行くのだが」

 

 「あたしめんどいからパス!」

 

 「いや、お前も来るんだよ。責任者が出なくてどうするのだ。だいたいお前はここに来る前に話を聞いていなかったのか?」

 

 凄まじく渋い低い声で、モモンガが隣の椅子に座るインランを睨みつけながら喋る。

 

 「IQ三銃士の誰かを代理で出せばいいんじゃないの? 埴輪とか」

 

 インランは軽く伸ばした指を、執務机の前に立つ埴輪に向けた。

 

 「ご指名に与り、恐悦しごくぅ!」

 

 軍帽に指をかけ、埴輪がポーズを決める。

 

 それを見てモモンガは胸を掻き毟るようにしてアカデミックガウンの胸元を握り絞めて悶えた。

 

 すわ敵の遠隔攻撃か何かかと、部屋のいるシモベ達にどよめきが走る。

 

 「ないわ! それだけは絶対にないわ!」

 

 「……中途半端な中二病って辛いのね。あたしは結構可愛くて好きなんだけど。埴輪のこと」

 

 憐れみを含んだ視線を、インランは隣に座るモモンガに向けて送った。

 

 「まぁ、いいわ。なんだっけ? この超カワイイ超魅力的なインランちゃんを指名してるんだっけ?」

 

 「はい! ふ、不遜にも! 法国はインラン様が会談に出席されることを強く希望しております!」

 

 赤いスーツを着込んだ悪魔が、眉目秀麗な顔を悪魔的に歪め、発言内容に対して憎悪を込めた声音でインランに向けて返答する。

 

 「まぁ、指名されてるなら、せっかくだし出てあげようかしらぁ。めんどくさいわねぇ」

 

 ふぅと息を吐き出して、少女はそう言葉を零し、椅子の背もたれに深く体を預けた。

 

 それを見て、この部屋にいるシモベ達はありえないほど不遜な要求を行った件の法国に対し、体が煮えたぎるような怒りを抱く。

 

 「この馬鹿な小娘を指名するとはな、お前達はその意図はなんだと思う? ……正直俺にはこの馬鹿を交渉の場に出すことに不安しかないのだが」

 

 「ちょっと、失礼じゃない。あたしは可愛いことにかけては宇宙一だけど、頭脳もそこそこあるわよ」

 

 「お前達、どう思う?」

 

 椅子から前に乗り出し、執務机に両肘を付け、組み合わせた両手の上に顎を乗せた司令官御用達のスタイルになったモモンガは、怜悧な瞳を細め、目の前にいる比類なき頭脳を誇る3人のシモベに問いかけ直した。隣の椅子で囀る少女の言うことは全無視である。

 

 「スレイン法国の上層部の者達が籍を置く,法国の首都である神都と呼ばれる街は、プレイヤーによるモノと思われる極めて強固な結界が張られており、ナザリックの監視魔法を全て弾きます。シモベを送り込みましたがそちらも全て消息不明です。そのため、スレイン法国上層部が何に基づいてこの不遜極まる要求を出したのかは不明ですわ」

 

 「あら、じゃあドローンを送ればいいんじゃないの? アレは魔法的な要素ゼロだから、大抵の魔法による結界はすり抜けるわよ」

 

 「そんな超科学技術の塊を敵になるかもしれない勢力の元に送るわけにはいかないだろう。万が一鹵獲され解析されたらどうするのだ。少しは頭を使え」

 

 「むぅ」

 

 ピシャリとモモンガに話しを遮られ、ぷくぅと頬を膨らましてインランはむくれる。それを見てシモベ達はえもいわれぬ庇護欲に苛まれた。

 

 「でも結局のところ、何も分からないってことでしょ? ダメじゃないの」

 

 「そうだが、おい、もう少し言葉を選べよ。お前達、気にすることはないぞ。出来ないなりに対策を立てればよいだけなのだからな」

 

 インランの言葉を受けて、執務机の前に立つ3人のシモベがこの世の終わりのような暗い雰囲気を放ちだし、慌ててモモンガがフォローする。

 

 「も、申し訳ありません……! あれだけ至高の御方々の薫陶を受けていながらこの体たらく!」

 

 ボロボロと涙を流す悪魔を見て、さすがにインランも事態の深刻さに気づく。その神の美貌に無理に笑顔を浮かべると励ましの言葉をシモベ達に送った。

 

 「あ、あはは! 気にしないで! いいのよ! めんどくさくなったらその神都? とかいう場所を消し飛ばせば解決するんだから!」

 

 そう、スレイン法国が指定してきた会談場所は、スレイン法国の心臓部である神都である。

 

 

 

 




もっと美辞麗句を並べて容姿を褒め称えたい。

それとリョナ と エロ のタグ追加。

俺は止まんねぇからよ……!


★作中で語られる”賢者の石”について★

 作者が捏造したワールドアイテムです。以下説明。

 名称:賢者の石

 効果:魔力または金貨または素材。これらを任意のアイテムに変換する。(変換元の組み合わせや比率は自由に選べる)

 補足:変換レート(変換に必要な対価)と変換に要する時間はレアリティに比例する。 基本的にポーションなどのアイテムを直接生産するよりも、その素材となるアイテムを生産してクラフトした方が効率は良い。

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