ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です


第96話

「へ~、ここがバラティエなのね」

 

私の能力で家族揃ってバラティエまで転移すると、ノジコが関心したように声をあげる

 

その声に引かれるようにそちらを向くと、タンクトップにジーンズの

いつもと変わらないノジコの姿がある

 

目を移してベルメールさんを見ると、チェックのシャツに片側だけ短いジーンズ姿で

これもいつもと変わらない

 

最後にナミを見ると少し前と変わり肩を出している

 

肩の焼き印は俺が処置をして、今では風車にミカンのタトゥーになっている

 

そして、海賊専門の泥棒として活動してきた影響なのか。動きやすさを重視して

ホットパンツスタイルとなっている

 

ホットパンツから伸びる健康的な脚は、恋人であっても目を引き付けられる程に魅力的だ

 

転移前にはオシャレをと色々と悩んでいたようだが、バラティエには海軍も含めた

荒くれ者達が集まるとの事なので、結局はいつも通りの動きやすい服にしたようだ

 

だが我が家の女性陣は皆美女、美少女なのでどんな服でも映えるというものだ

 

「それでは行きましょうか」

 

私が促すとナミが自然に腕を組んでくる

 

その光景を見てベルメールさんとノジコがニヤニヤとするが、放っておいて歩き出す

 

入口を開けてみると、既にそれなりの客が入っているようだ

 

客層としては指にゴテゴテとした宝石がついた指輪をしている者や、

その者に何かを強請る化粧の濃い女性といった人達が目につく

 

「あ?いらっしゃ…い…ませ…」

 

バラティエに入ると来客に気づいたのか、特徴的な眉毛をした金髪の青年が挨拶をしてきた

 

だが、私達を見たその青年は目を見開き呆然としている

 

そして、一瞬俯いたかと思うと勢いよく顔を上げ…

 

「いらっしゃいませ~お姉様方♪」

 

鼻の下を伸ばしただらしない顔で、踊るようにクルクルと回りながら近付いてきた

 

そんな青年の様子を見たベルメールさんとノジコの眼光が鋭く光る

 

その眼は獲物を見つけた狩人のものだった…

 

「あら、お姉様だなんて嬉しい事を言ってくれるわね、お兄さん♪」

「はぁぁあああいぃぃい♪」

 

ベルメールさんが右手で金髪の青年の顎を撫で上げながら声をかけると、

金髪の青年は鼻息を荒くしながら返事をする

 

「ベルメールさんだけずるいわ。さぁお兄さん、案内してよ」

「喜んで―――!」

 

ノジコが胸を押し当てるようにして金髪の青年と腕を組むと、

金髪の青年は飛び上がるような勢いで背筋と鼻の下を伸ばした

 

そして、金髪の青年に案内されて店内を進んで行く2人の姿に、私とナミは

顔を見合わせると同時に肩を竦めてから後を追う

 

後を追う私に出来るのは、金髪の青年の財布が空にならないように祈ることだけだった

 

 

 

 

「まずはこちらのワインで喉を潤してください。もちろんこちらの奢りです」

 

そう言って金髪の青年は、肩を組むようにして俺を除いた3人にワインを差し出す

 

私には水だ

 

このあからさまな扱いの差にむしろ感動を覚える

 

「あら、ありがとう」

「いえいえ、すぐにメニューをお持ちしますので少々お待ちください」

 

そう言った金髪の青年は、スキップをするような軽やかな足取りで店の奥へと消えていった

 

「う~ん、他人の奢りで飲むワインは美味しいわね♪」

「そうね♪」

 

そう言い放つ我が家の強かな女性達にため息が出る

 

「シュウも飲む?」

「いえ、私は自分で用意しますので結構ですよ、ナミ」

 

ナミが心優しく言ってくれるが、私のワームホールには熟成した物がたっぷりあるので遠慮する

 

「お待たせしました、お姉様方♪」

 

私がワームホールからワインとグラスを取り出していると、金髪の青年が戻ってきた

 

「あ?おい、それは何処から持ってきた」

「私の能力で用意したものですよ」

 

私の手にあるワインとグラスを見た金髪の青年が問い質してきたので答えると、

金髪の青年は首を傾げた

 

「能力?どうでもいいが下手な酒じゃあ店の味が台無しになる。

 悪ぃがそいつの味を確かめさせてもらうぞ」

 

どうやらこの青年は、料理人としてのプロ意識が高いようだ

 

金髪の青年は店の奥に戻りグラスを持ってくると、鮮やかな手付きで

ワインボトルの栓を開ける

 

そして、グラスに注いだワインを口にすると目を見開いた

 

「なんだ、こいつは…」

 

口に手を当て口内に残った味わいを確かめるように青年は話し出す

 

「華やかな香りに深みのある味わい…このワインはどこの…!?」

 

そう話しながらワインのラベルを見ると、青年はまたもや目を見開いた

 

「同じワイン!?」

 

青年が口にしたのは、ベルメールさん達に奢ったワインと同じ物

 

だが、私の方は長期間熟成させてあるのだ

 

「おい、こいつは中身だけ違うものか?」

「いえ、同じ物ですよ。私の能力で15年程熟成させてありますがね」

「15年…」

 

呟くように言葉を溢した青年はもう一口グラスを煽る

 

「こいつに合わせる料理は…」

 

青年は先程までのだらしない顔から一転して真面目な顔で思考している

 

「おい、このワインをうちの店に卸す事は出来るか?」

「大樽で10個は確保してあります」

「…なら5個仕入れたい」

「ちょっと、シュウ?こんなに美味しいのを隠してるなんて酷いじゃない」

 

その声に顔を向けると、私が出したワインボトルを手にしたベルメールさんがいた

 

「どうやら家の女性陣のお気に召したようなので3個でいいでしょうか?」

「あぁ…で、いつ卸せる?」

「今すぐでも可能ですよ」

 

私はワームホールからもう一本ワインを取り出す

 

それを見た青年は驚いた様子で目を見開く

 

「これは手付けとしてプレゼントしましょう」

「あぁ、オーナーに話を通してくる」

 

そう言って背を向けた青年に私は話しかける

 

「今日の食事を奢っていただけるのでしたら二個分の値段でお売りしますよ」

 

私の言葉に青年は背を向けたまま手をあげる

 

青年が店の奥へと歩いていく姿を見ていると、見聞色の覇気で高速で接近する何かを感知する

 

即座にナミ達にバリアを張ると同時に、店内に大きな音が響き渡るのだった




次の投稿は13:00の予定です

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