ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です


第89話

「…シュウ」

 

私の想い人であるナミが泣きながら私に抱きついてきている

 

「…シュウ」

「はい、なんですかナミ?」

 

ナミのオレンジの髪を撫でながら私は応える

 

「逢いたかった…ずっと、逢いたかった…」

「私もですよ、ナミ」

 

10年の時を越えて漸くこの瞬間を迎えることが出来たと思うと感慨深いものがある

 

「「「うおぉぉぉおお―――!」」」

 

坂の下側にいる男達が雄叫びをあげている

 

「やれやれ、不粋な方達ですね」

 

私はため息を1つ吐きながらそう呟く

 

「ナミ、あの者達を無力化してくるので離れてくれませんか?」

 

ナミが涙でグシャグシャになった顔をあげる

 

そのナミの顔を手でそっと拭う

 

「シュウ?」

「すぐに戻ってきますので安心してください」

 

ナミの頭を撫でながらそっと離れる

 

ナミの名残惜しそうな様子に笑いが溢れる

 

月歩を使い坂の上空に行き能力を用いてその場で浮かぶ

 

…東の海に戻ってくる前では無理だったが今では出来るという確信がある

 

左手に重力球を造り出す

 

左手を振り上げ重力球を頭上に飛ばし無数の重力球へと分ける

 

見聞色の覇気で範囲内の敵を認識し狙いを定め解き放つ

 

「グラビトロンカノン、発射!」

 

振り下ろした左手に従い海賊達に重力球の雨が降り注いでいく

 

そして…

 

「「「ぎゃあぁぁぁああ!」」」

 

重力球を受けた海賊達は地面に這いつくばる事になったのだった

 

海賊達の無力化を終えた私はナミの方にゆっくりと降りて行く

 

「さて、これでゆっくりと話が出来ますね。ナミ、どういった状況なのか

 教えていただけますか?」

 

私の言葉にナミが反応を示さず呆然としている

 

私は軽く苦笑いをしてからゾロへと話しかける

 

「その者達はあえて無力化しませんでしたが、それでよろしかったですか?」

 

私の言葉を受けてゾロが動き出す

 

「あぁ、問題ねぇ」

 

ゾロが三刀流の構えをとり対峙していた2人の海賊との戦いを再開する

 

「あ、ごめんシュウ…ちょっと混乱しちゃって…」

 

私はナミの頭をまた撫でる

 

「構いませんよ、ナミ」

 

私の言葉を受けてナミが笑顔になる

 

その笑顔は昔以上に輝いて見えた

 

「取りあえずはあそこで寝ているルフィを起こす事にしましょうか」

 

戦いの最中だというのに何故かルフィは船首を掛け布団として寝ている

 

ワームホールに剣を収納し、ナミに手を差し出す

 

「では行きましょうか」

 

私の意図を察したナミが私の手を取り腕を絡めてくる

 

幸せな感触を味わいながらナミと共に坂を歩いて下っていく

 

「ウソップ~!あんたも下りてきなさいよ!」

 

ナミに呼ばれた鼻の長い青年がおそるおそる坂を下りてくる

 

「シュウ、どうやってこいつらを無力化したの?」

「私の能力ですよ、ナミ」

 

ルフィの所へ向かいながらナミに能力を簡単にだが説明していく

 

「へ~、便利な能力ね」

 

ナミと話しながら歩いて行くとルフィの元に辿り着く

 

それと同時に、ゾロの方も対峙していた相手を斬り伏せた

 

「ルフィ、いい加減に起きてください」

 

私は膝を曲げ、寝ているルフィの額を武装色の覇気を込めた指で弾く

 

「いてっ!…おぉ、シュウじゃねぇか!なんでここにいるんだ?」

「私はナミを迎えに来たのですよ」

 

私はルフィと会話をしながら、ルフィに乗っかっていた船首を蹴り飛ばす

 

「ししし、ありがとな」

 

服についた砂埃を払いながらルフィが立ち上がる

 

そして、ウソップとゾロが俺達に合流したその時、坂の上に怒気を纏った

執事服の男が現れた

 

「てめぇら…俺の計画を台無しにするつもりか?」

 

執事服の男の言葉を受けて海賊達が動こうとするが、私の能力により動けずにいる

 

その様子を見た執事服の男がコメカミに青筋を立てる

 

「あの者は何者ですか?」

「ひつじだ、悪ひつじ!」

 

私の言葉にルフィが答える

 

なんとなく敵だということは認識出来た

 

「シュウ、あいつはキャプテン・クロ…海賊よ」

 

ナミがシロップ村で起きた出来事を説明してくれた

 

「なるほど、そういう事ですか」

 

ゾロに斬られた大きな男がクロの怒気にあてられて上体を起こす

 

「ジャンゴ船長!俺に催眠術をかけてくれ!」

 

坂の上にいたサングラスの男が震えながら体を起こす

 

「おや、あの者には少しばかり強く重力をかけたのですが…火事場の馬鹿力でしょうか?」

 

ジャンゴと呼ばれた男は、ナミを狙ったので地面にめり込む程度には重力をかけたのですが…

 

チャクラムを持つ手を反対の手で支えながらジャンゴが大きな男に催眠術をかける

 

催眠術をかけられた大きな男はゾロに斬られた傷が塞がり力強く立ち上がった

 

「ほう…催眠術もバカにしたものではないですね」

 

大きな男は強烈な思い込みにより身体強化程度だが武装色を纏った

 

「…俺がやる」

 

ゾロが三刀流の構えをとり大きな男を迎え撃つ

 

本能のままに戦う大きな男をゾロが危なげなく斬り捨てた

 

その様子を見ていたキャプテン・クロが坂をゆっくりと下りてくる

 

爪の部分が刀となっている特殊な手袋を嵌めたキャプテン・クロは

手の平で眼鏡を押し上げる

 

その眼鏡の奥で光るキャプテン・クロの瞳は怒りに満ちていた




本日は5話投稿します

次の投稿は9:00の予定です

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