ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿2話目です


第85話

「久しぶりじゃのう、ベルメール」

「久しぶりですね、ガープ中将」

 

ガープさんを伴いココヤシ村に転移した私は、ひとまずガープさんを家に案内した

 

そして、元上司と部下の2人が再会した事で握手をしている所だ

 

「しかし、儂がいきなり来て驚かんのか?ベルメール」

「シュウが事前に誰かを連れてくると言ってましたからね。心構えは出来てましたよ」

 

ベルメールさんの言葉にガープさんは私を見ながら頭を掻く

 

「シュウ、お前はレイリーに似て凄みを増してきたのぉ」

「レイリーって《冥王》の事ですよね?ガープ中将」

「そうじゃ。グランドラインでのシュウの師でもあるのぉ」

 

ベルメールさんが驚きながら私を見てくる

 

「…これもアカリの縁なのかしらねぇ」

「なんじゃ?シュウ、お前まだ話しておらんかったのか?」

「えぇ、家族が揃ってからと思いまして…」

 

本当はココヤシ村に帰ってきたらアーロンの事で頭が一杯だったとは言えません…

 

「さて、取り合えず中にどうぞガープ中将。養息子の命の恩人を歓迎させてもらうわ」

「ぶわっはっはっは!それじゃ、世話になるぞ」

 

私はその様子を見届けて踵を返す

 

「シュウ?どこに行くつもりかしら?」

 

そんな私にベルメールさんが目敏く気付いてしまう

 

「ナミを迎えに行ってきます」

 

私の言葉を聞いたベルメールさんが俺に近付き両手で顔を包んでくる

 

「…シュウ?あんたちゃんと休んでるの?」

 

私の目を見ながらベルメールさんが言ってくる

 

「三時間程ですが休みましたよ」

 

嘘は言っていません

 

ですが、ベルメールさんは私の状態に気付いているようですね

 

「そんな寝不足の顔をしてナミに会いに行くのかしら?」

 

…自分ではわかりませんが、そんなに酷い顔をしているのでしょうか?

 

「なんじゃ?シュウは寝ておらんかったのか?」

 

家の中からガープさんまで出てきた

 

「ガープ中将、シュウが東の海に向かって来たのはいつかしら?」

「…5日ほど前じゃのう」

 

ローグタウンで1日休んだがココヤシ村に戻ってくるまでは仮眠しかしていない

 

「その5日で3時間しか寝てないのかしら?」

 

笑顔のベルメールさんだが凄い圧力を感じる

 

「いえ、1日はゆっくり休みましたよ」

「…どちらにしろほとんど寝てないのね」

 

ベルメールさんがため息を吐く

 

「シュウ、今日はゆっくり休んでナミを迎えに行くのは明日にしなさい」

 

…だが、ナミが1人で海に出ていると思うと焦りが出る

 

「ナミを心配しなくても大丈夫よ。私が8年みっちりと鍛えたから東の海で生き抜くには

 十分な力を身に付けたわ」

 

元海軍本部大佐のベルメールさんが鍛えたのならその言葉に嘘は無いでしょうが…

 

「それに、ナミは覇気を使えるようになっているから平気よ」

「覇気をですか?」

 

それは正直予想外ですね

 

「えぇ、見聞色を使えるようになったわ。もっとも、武装色は身体強化ぐらいしか

 出来ないから能力者と出会ったら逃げるようにしつこく言い聞かせてあるけどね」

 

なるほど、それなら確かに心配は無さそうですが…

 

「早く逢いたい気持ちはわかるけど、今のあんたじゃ逆に心配されるわよ」

 

私はベルメールさんの言葉にため息を1つ吐く

 

「わかりました。寝不足を解消してからナミを迎えに行きます」

「うん、それでいいわ」

 

ベルメールさんは私の顔を包んでいた手で今度は肩を叩いてくる

 

「それに、ココヤシ村を解放してくれたあんたがいないんじゃ飲めないじゃない!」

「…それが本音ですかベルメールさん?」

 

ベルメールさんとガープさんが笑いだす

 

私はまた1つため息を吐いてから大人しく家に入っていった

 

 

 

 

「おぉ~、はえぇはえぇ!」

 

バギーの船からお宝を頂戴して私はルフィ、ゾロを伴ってシロップ村に向かっている

 

バギー達との戦いでゾロが負傷したけど、致命傷じゃないし応急処置だけして

急いでオレンジの町を出航したわ

 

ルフィ達の小舟は私の船で曳航している

 

「ナミ、お前すげぇな!俺の仲間になれよ!」

「嫌よ、わたしは海賊が嫌いだって言ったでしょう」

 

この2人が航海術を持っていればお宝を奪った時点で別れていたんだけど

手を貸してもらった義理もあるし次の場所まで同行する形にした

 

「この調子なら今日中にシロップ村につくわ。そこで医者にゾロを見せて明日1日を

 補給にあてるわ。その後はココヤシ村に向かうけどそれに

 文句があるならシロップ村で別れるわよ」

「ししし、ココヤシ村にはシュウもいるんだろ?だったら文句ねぇよ」

 

まったく…シュウも変な奴に気に入られちゃったわね

 

「ゾロ?適当に傷を縫っただけなんだけど…血は止まったかしら?」

「あ?…問題ねぇ…それと、恩に着る」

「あら?わたしの恩は高いわよ」

「てめぇは鬼か!」

 

消毒液も糸も無料じゃないんだから当然じゃない

 

「血を結構失っているんだし、今は大人しくしてなさい」

「ちっ…わかった」

 

そう言ってゾロは横になる

 

航海術の無い2人に舵を任せたら遅くなるからわたしが舵を取るけど…

少しは覚えようとしなさいよ!

 

「ナミは医術も出来るんだな」

「はぁ~…あのね、この程度は海で生きるんなら常識よ、常識」

 

ルフィとゾロは興味なさそうにしている

 

「ちょっとした外傷程度ならわたしでもなんとかなるけど、内臓まで達するような

 深い傷だとどうしようもないわ」

 

ルフィは小指を鼻に突っ込んでいる

 

…少しは危機感を持ちなさいってば!

 

「じゃあ次に仲間にするのは医者だな。それと音楽家」

「先ずは迷子にならないように航海士を仲間にしなさいよ!それとなんで音楽家なのよ!」

「海賊は歌うんだぞ!」

 

なんでそんなに自信満々に言ってるのよ…

 

「それに、航海士ならナミがいるじゃねぇか」

「わたしは仲間にならないって言ってるでしょうが!」

 

ルフィの相手をしていると本当に疲れるわ…

 

シュウも大変だったでしょうね…

 

風を読み、潮流を感じとりながら舵を取っていく

 

船は波を掻き分けて勢い良く進んでいく

 

そして日が頂点を過ぎ西へ傾き始めた頃、シロップ村に到着するのだった




次の投稿は11:00の予定です

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