ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿3話目になります


第80話

「オレンジの町への行き掛けの駄賃で海賊からお宝を盗んだけど…

 これは大した金額にはならないわね」

 

オレンジの町にいるという《道化のバギー》のお宝を狙ってここまで来たんだけど

道中で海賊を見つけたからついでにお宝を貰ってきたのよね

 

小型船だったからあまり期待はしていなかったけどそれでも落胆しちゃうわね…

 

「さて、オレンジの町も見えて来たしまずは情報集めね」

 

オレンジの町の港に大きな船が見える

 

その主帆には大きな鼻をつけた海賊のマークが描かれている

 

「よし!道化のバギーの一味はまだオレンジの町にいるみたいね」

 

後は船員の数とかを知ることが出来れば忍びこめるんだけど…

 

ベルメールさんはバギーが能力者だって言っていたからなるべく見つからないようにして

お宝を盗み出したいところだわ

 

「より安全に行くなら協力者が欲しいところね…さすがにオレンジの町の

 人達は無理かしら?」

 

相手が能力者でなければ色仕掛けでもよかったけど、能力者は予想外な事も起こる

可能性が高いから色仕掛けはやらないようにベルメールさんからキツく言われてるのよね

 

道化のバギーの一味に見つからないように港から離れたところに船を止めて上陸する

 

「さて、オレンジの町の人達はどこかしら?」

 

オレンジの町を見ると所々に吹き飛ばされたような家がある

 

「…やっぱり海賊って最低ね」

 

オレンジの町の光景に、アーロンにひっくり返されたココヤシ村の人達の家を思い出す

 

「大雑把で不潔で下品で…シュウの爪の垢でも飲ませてやりたいわ」

 

そんな事を呟きながらオレンジの町に入っていくと頭上から人の声が聞こえた

 

「…何かしら?」

 

空を飛んでいる鳥の嘴から人の体が生えているのが見える

 

「何あれ?」

 

人の体はジタバタと暴れているから生きているようだけど…

 

「どうすればあんな状態になるのかしら?」

 

愉快な状態になっていた人が鳥に落とされる

 

落とされた人はそのまま地面に土埃をたてながら落下した

 

「ちょっと!大丈夫!?」

 

土埃を払いながら立ち上がった人は、麦わら帽子を被った青年だった

 

「あ~ビックリした」

 

何事もなかったようにその青年は麦わら帽子の埃を払っていく

 

「ん?お前誰だ?」

 

その青年がわたしが誰かを聞いてきたけど…聞きたいのはこっちの方よ!

 

「…わたしはナミよ」

「俺はルフィだ。で、ここどこだ?」

 

まぁ鳥に銜えられて来たんだから知らなくても無理はないわね…

 

「ここはオレンジの町よ」

「おぉ~、よかった。無事にオレンジの町についたぞ!」

「鳥に頭を銜えられて来て落とされるのを無事にとは言わないわよ」

 

呆れながらルフィに言ってみるけどまったく気にした様子は見えない

 

「いや~、俺も仲間も海図の見方がわかんなくて困ってたんだけどな

 鳥のおかげで辿り着けてよかった~」

「仲間もって…あんた、航海術ぐらい覚えてから海に出なさいよね」

 

わたしは海で生きる術をベルメールさんに8年前からずっと叩き込まれてきた

 

おかげでそこいらの海賊には負けないぐらい強くなったし、船の操船も帆さえあれば

小船で中型のガレー船だって振りきる自信があるわ

 

「そういうナミは航海術を持ってんのか?」

「当たり前じゃない。それに5年はこの東の海を巡ってきたからそこいらの奴に

 負けるつもりはないわ」

 

わたしの言葉を聞いたルフィが満面の笑みになる…なによ?

 

「ナミ、俺の仲間にならないか?」

「仲間って…あんた、何者なの?商人や軍人には見えないけど」

 

航海術も持たないで仲間と海に出るなんてところを考えると賞金稼ぎかしら?

 

「俺はモンキー・D・ルフィ!海賊王になる男だ!」

 

ルフィが大きな声で名乗りをあげた

 

海賊王…つまり、ルフィは海賊って事ね

 

わたしは先程までの緩んでいた気持ちを引き締める

 

悪い奴には見えないけど、海賊なら油断は出来ない

 

「どうだナミ、俺の仲間になれよ」

「断るわ」

「え~、なんでだよ~」

 

わたしはルフィを睨みながら告げる

 

「わたし、海賊が嫌いだから」

 

ルフィが口を尖らせながらブーブー言ってくる

 

…子供みたいな奴ね

 

わたしはハッとして考えだす

 

…ここから見える町の状況じゃあオレンジの町の人達に協力をお願いするのは無理そうだわ

 

でも…こいつなら利用しても構わないわよね?

 

少なくとも悪い奴には見えないし…一時的に手を組むぐらいなら…

 

それに、シュウがいつココヤシ村に帰ってくるかわからないから

急ぐ必要があるものね…よし!

 

「ルフィ、あんたの仲間にはならないけど手を組んでもいいわ」

「ん?なんでだ?」

「あれを見なさい」

 

そう言ってわたしはオレンジの町中を指差す

 

「なんで所々家が崩れてるんだ?」

「今、オレンジの町には《道化のバギー》の一味がいるのよ。

 あれは多分バギーの仕業でしょうね」

「そうか、バギーは悪い奴だな」

 

よし!乗ってきた!

 

「そこでバギーに一泡吹かせるのに手を組みましょう」

「いいぞ」

 

ここまでは順調だわ…後は作戦だけど…

 

「ルフィ、あんた仲間がいるって言ってたけど…どこにいるのよ?」

「ん?その内来るんじゃねぇか?」

 

ルフィが首を傾げながら言ってくる

 

「はぁ…それじゃ戦力として考えない方がいいかしら…」

 

わたしはため息を1つ吐いてからルフィに問いかける

 

「それで、仲間って何人いるのよ?」

「1人だ。後もう1人仲間にする予定の奴がいる」

 

…これは予想外の少なさね

 

でも、モンキー・D・ルフィなんて海賊は聞いた事がなかったし

デビューしたてのルーキーなんでしょうね

 

…仲間もルーキーかしら?

 

「ルフィ、あんたの仲間の名前はなんて言うの?」

「ゾロだ。ロロノア・ゾロ!」

 

ロロノア・ゾロ?…って!

 

「もしかして、《海賊狩りのゾロ》!?」

「ゾロの事知ってんのか?」

「…まぁね」

 

狙ってた獲物(海賊)を何度か先に狩られた事がある商売敵だからね…

 

「でも、なんで海賊のあんたが賞金稼ぎを仲間にしてるのよ?」

「ししし!」

 

ルフィは楽しそうに笑うだけで答えを返してこない

 

はぁ…

 

「ついでに聞いておくけど…仲間にする予定の奴って誰?」

「ん?あぁ、シュウだ」

 

…え?

 

「…シュウ?」

「あぁ、シラカワ・シュウ!グランドラインで賞金稼ぎをしてたっていうすげぇ奴なんだ!」

「ルフィ!シュウは…シュウはどこにいるの!?」

 

気がつけば、わたしはルフィの肩を掴んで大きな声を出していた




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